お客様の「感動」を「つくる」ことを目的とした、
旬の情報満載の販促・マーケティング系コンテンツです。
Idea4U コンテンツ
「イノベーション」だけではない新規事業開発 STP分析によるセグメンテーションから導き出す 既存市場における事業開発手法とは
既存市場の再セグメント化による気づき
多くの企業で取り組まれる新規事業開発ですが、「新規市場」を創造する方向にするか、「既存市場」から新たな価値を探し出す方向にするか、この方向性が曖昧なまま取り組まれていないでしょうか。どちらにおいても新たな発想や、意外と見落としていたことに気付ける着眼点が必要であり、「新しい価値を創造する」ことには違いありませんが、はじめに方向性を見極めておくことが大切かもしれません。
「新規市場」は全く新しい市場なので、既存のものが新規に置き換えられる、いわゆる"破壊的イノベーション" が求められます。たとえば最近では、AIと自然な対話ができるChatGPTなどのGenerativeAIの領域が該当しますが、思い返せばこれはまさに有りそうで無かったものです。実際のところ、人々の生活やコミュニケーションなどを根本的に変えてしまうほどの影響力があり、今後これらがどのように使われ進化を遂げるか、一般の人には全くもって未知なる領域とも言えます。ただ、ここまで聞いていただいただけでも、新規市場における事業開発のハードルが高いと感じていただけると思います。
一方「既存市場」であっても、新しい価値を創造し、潜在的な需要を引き出すことは可能です。たとえば、①特化することで絞り込まれたニーズを生んだり、②必要十分 な機能のみにそぎ落とすことで新たなニーズを生んだりすることがあります。これを既存市場の再セグメント化といいます。
①の例を挙げると、大手GMS(=General Merchandise Store)から分社化して成長した企業では、首都圏に住む消費者の生活圏内に、生鮮食品が揃う1000店舗以上のSM(=Super Market)チェーンを展開。特化させたのは消費者からの「近さ」であり、絞り込んだのは都市生活の食のニーズに合わせた「品揃え」です。
また、②の例を挙げると、体重減や体型改善などの結果にコミットする企業は、これまで顧客が要求する目標に向けて伴走し、運動や食事の面などで結果が出るまでアドバイス。削ぎ落して必要十分にしたのは「運動」であり、毎日ほんの数分だけ、一般的なジムでは必要な服装や着替えなども不要な環境を用意したことで、新たなニーズを生み出しました。
この「既存市場」の再セグメント化の成功例においては、既存市場ながらも明確で、異なる地位で差別化できているという気づきがあります。この差別化はブランディングにも通じますが、「あのサービス」なら「この会社」と一瞬でイメージができるレベルでこそ、再セグメント化が成功していると言えるでしょう。
STP分析とセグメンテーション
新たな事業を創造するためには、「既存市場」の未開拓な市場セグメントを探し、その中からターゲットを絞り込み、競合他社とは衝突しないようにどの部分に優位性を確立するかを考える必要があります。このように、市場を細分化し、ターゲット層を抽出し、自社の競争優位性を確立するための作業をSTP分析といいます。
分析はまずセグメンテーションから始めてみましょう。基本的には、自社の「強み」「弱み」「機会」「脅威」などを明確にしたSWOT分析を済ませたうえで、どの戦略で、どういった事をしたいかがある程度具体的になっていることが前提です。その上で、取り組む分野において新たなセグメントを見つけ出します。セグメンテーションは最終的には「二軸」でマトリックス化するのですが、その二軸に採用するセグメント変数を探しあてるのが最も難しいです。この変数には4種類あり、①地理的変数(国、地域、人口、発展度、気候、宗教、文化、生活習慣など)、②人口動態変数(年齢・年代・ライフステージ、既婚・独身などの家族構成、会社員・自営業などの職業、業界、業種、性別、学歴、年収など)、③心理的変数(顧客の性格・優先順位などのパーソナリティ、趣味・趣向などのライフスタイルなど)、④行動変数(価格・品質などのベネフィット、購買頻度、使用状況、購買心理、商品知識など)であるとされています。
実際のセグメンテーション例を見れば、もう少し理解しやすいかもしれません。よくある二軸は「価格×機能」「価格×場所」「価格×ニーズ」などの「価格」を一軸とした掛け合わせ、あるいは価格以外の「機能」「場所」「ニーズ」をそれぞれ掛け合わせるパターン(「機能×場所」「機能×ニーズ」「場所×ニーズ」)、ときには同じ変数を掛け合わせるパターン(「機能×機能」「場所×場所」「ニーズ×ニーズ」)もあります。
具体例を見てみましょう。仮にカフェとして「価格×ニーズ」だと【高価/安価】×【ちょっと使い/ゆったり使い】、「機能×場所」だと【メニューが多い/少ない】×【駅前/郊外】、「機能×ニーズ」だと【伝統的/スタイリッシュ】×【ビジネスパーソン/主婦・学生】などが考えられます。なお、「価格」以外の変数は1通りとは限らないので、他にもいくつものパターンが想定できます。
ターゲティング~ポジショニングで見えてくる実際の差別化例
次にターゲティングですが、事業開発においては未開拓な市場セグメントより創造することが求められますので、まずは前段で考えたセグメンテーションに対し、既に提供されている製品・サービスがどの位置に存在するかを配置してみてください。あともう1つ確認していただきたい事は、未開拓な市場セグメントが何らかの課題解決や新たな創造につながるかどうかです。その可能性が大きければ大きいほど、売上・利益となるポテンシャルも大きいかもしれません。
ターゲティングができれば、最後はポジショニングを行ないます。ポジショニングとは、セグメント内の製品・サービスを見て、最終的に自社の立ち位置を決めることです。言い換えると、事業開発において他社には無い独自の提供価値を決めることになります。この決定に際しては、経営戦略上で本当に必要かどうか、その製品やサービスが本当に実現可能かどうかを判断します。
STP分析の実際の例を、「ファストフード」で見てみましょう。セグメンテーションは「価格×機能」であるとして、ファストフードにおける「機能」を考えると、やはり提供スピードが【速い/遅い】になるでしょうか。仮にいくつかのハンバーガーチェーン店をこの【高価格/低価格】【速い/遅い】の二軸に配置すると、殆どの場合"低価格で速い" か "高価格で遅いか" に分かれます。そこで、野菜などの具材を好みに変えられる有名なオーダーサンドイッチチェーン店を見てみると、"高価格で速い" に位置することが分かります。これは明らかに、ターゲティング~ポジショニングを意識した差別化をされていることがわかります。
全く未開拓な市場を見つけることは容易ではありませんが、いわゆるレッドオーシャンではなくブルーオーシャンでの新規事業開発が現実的な戦略になります。ただ、このような市場分析における結果はあくまで現時点のものであり、状況は常に変わっていくでしょう。そう考えると、差別化における価格以外の提供価値は、これまでの常識をひっくり返す覚悟と変革が不可欠であることは言うまでもありません。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■新規事業開発は「既存市場」でも可能であり、何かに特化したり必要十分にすることで再セグメント化はできる。
■セグメンテーションは「価格」「機能」「場所」「ニーズ」などの変数から二軸でマトリックス化することである。
■ターゲティング~ポジショニングにおいては、課題解決や新たな価値創造、他社には無い独自の提供価値になっているかが大事である。
あなたにオススメのコンテンツ
イノベーション伝統を尊重しながら継続的「進化」を目指す! 多様な文化が共存する街・神戸から イノベーティブな視点で新たな価値を創造
2025年4月 1日 NEW
イノベーション超高速意思決定が成長をけん引する リベラルアーツから学ぶ日本企業に必要なこと
2025年4月 1日 NEW
イノベーション価値の連鎖から生まれたパーソナライズパッケージ 『オリジナルコアラのマーチ』に迫る
2025年1月10日 NEW
イノベーション競うのではなく共創こそが正しい道 社会課題と向き合い続け 「ありがとう」で満ち溢れた社会を目指す
2024年10月10日 NEW
イノベーション気負わない行動力とは?オポチュニティクリエイターが架ける人と人をつなぐ橋
2024年7月10日 NEW
イノベーションリユース再定義のススメ リサイクルだけに迷わされるな! 持続可能性に向けて今企業がやるべきこと
2024年7月10日 NEW
イノベーション「今」に対応し提案し続けるエキスパート ハイブリッド施策でお客様に寄り添い 給食事業で社会課題を解決する!
2024年4月 8日 NEW
イノベーション地域密着にこだわり続ける意味 「しごとぎや」としての信頼を糧に 「人」とのつながりから広がる未来
2023年10月 4日 NEW
イノベーション「イノベーション」だけではない新規事業開発 STP分析によるセグメンテーションから導き出す 既存市場における事業開発手法とは
2023年8月25日 NEW
イノベーション脱炭素で「気候変動」に対応する 可視化とパートナーシップによって実現できる CO2排出量削減に向けての取り組み
2023年7月28日 NEW
イノベーション商業広告からアートへの転身 消えゆくネオンに新しい光を灯す! Z世代+SNSで起こす現代のムーブメント
2023年7月 7日 NEW
イノベーション大切なのは現場の「今」を伝えること 「ものづくり新聞」でワクワクを発信!中小ものづくり企業の未来を変える
2023年3月16日 NEW
イノベーションChatGPTは単なるチャットボットAIではない? 複雑な内容も理解できる形に変換できる進化したAI技術から未来を考える
2023年2月14日 NEW
イノベーションテクノロジーが生み出した新たな経済圏 企業が知っておくべきクリエイターエコノミーとは
2022年10月12日 NEW
イノベーション遺伝子を切り口に「予防」意識改革 ゲノム解析というソリューション提供で日本の健康課題を解決に導く!
2022年9月 7日 NEW
イノベーション自らの強みを知り未来につなぐということ 貴重なアスリート経験を活かすことで「セカンドキャリア」もいっそう輝く!
2022年7月 6日 NEW
イノベーション新規事業開発のフレームワーク 無駄をなくし短期間で新規事業開発を成功に導くためのリーンスタートアップとは
2022年7月 6日 NEW
イノベーション企業や製品が互いに連携・補完し合う パートナーシップで圧倒的な強さを作り出す ビジネスエコシステムでできること
2022年6月 8日 NEW
イノベーションサステナビリティ経営の基礎 企業が進めるべき社会的責任としてのESG経営とは?
2022年5月18日 NEW
イノベーションQR・ARとは違う使い方次第でさらに広がる スマホを「かざすだけ」で通信ができるNFC普及のカギとは?
2022年2月 2日 NEW
イノベーション自ら発信するフジプラスとして 『Idea4U』10年の歩みを振り返り 未来を見つめ今伝えたいこと
2022年1月 5日 NEW
イノベーション「作って捨てる」から「使い続ける」へ 資源を循環させるこれからのビジネスモデル「サーキュラーエコノミー」とは?
2021年12月15日 NEW
イノベーションテレビ局アナウンサーという視点から 「表現のプロ」から見た大切なこと 今日から実践できる「伝える力」の磨き方
2021年7月21日 NEW
イノベーション進むコネクテッドワールド システムや「紙」の価値を変える新たな価値創造のためのAPI連携の本質とは
2021年6月23日 NEW
イノベーションだれでも電子書籍・紙の本が作れる「仕組み」の提供 新たな価値を創造しながら進化し続ける!「出版」の既成概念を超えたWebサービス
2021年5月26日 NEW
イノベーション紙の「価値」を再定義する 課題解決や感動体験を生み出せるデジタル印刷を活用する「紙」利用の変革とは
2021年2月 3日 NEW
イノベーション失敗を糧に「セカンドチャンス」でも勝負し続ける! 人のぬくもりを感じるデジタル活用の原動力は 「反骨精神」をまとった飽くなき挑戦者の熱い想い
2021年1月27日 NEW
イノベーション兵庫県の食材に特化!「おいしい」から始まる新展開 「食卓」と「生産者」をつなぐ新たなビジネススタイル
2020年12月 2日 NEW
イノベーション急速に進むパラダイムシフト 価値観の大転換期を迎えた今 従業員への「価値提供」が企業発展のカギ
2020年11月18日 NEW
イノベーション水からはじまる健康づくりとは? 水の機能を追求し続け見えてきた「メディカルカンパニー」という未来
2020年9月30日 NEW
