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イノベーション NEW2023年8月25日

「イノベーション」だけではない新規事業開発 STP分析によるセグメンテーションから導き出す 既存市場における事業開発手法とは

既存市場の再セグメント化による気づき

 多くの企業で取り組まれる新規事業開発ですが、「新規市場」を創造する方向にするか、「既存市場」から新たな価値を探し出す方向にするか、この方向性が曖昧なまま取り組まれていないでしょうか。どちらにおいても新たな発想や、意外と見落としていたことに気付ける着眼点が必要であり、「新しい価値を創造する」ことには違いありませんが、はじめに方向性を見極めておくことが大切かもしれません。
 「新規市場」は全く新しい市場なので、既存のものが新規に置き換えられる、いわゆる"破壊的イノベーション" が求められます。たとえば最近では、AIと自然な対話ができるChatGPTなどのGenerativeAIの領域が該当しますが、思い返せばこれはまさに有りそうで無かったものです。実際のところ、人々の生活やコミュニケーションなどを根本的に変えてしまうほどの影響力があり、今後これらがどのように使われ進化を遂げるか、一般の人には全くもって未知なる領域とも言えます。ただ、ここまで聞いていただいただけでも、新規市場における事業開発のハードルが高いと感じていただけると思います。
 一方「既存市場」であっても、新しい価値を創造し、潜在的な需要を引き出すことは可能です。たとえば、①特化することで絞り込まれたニーズを生んだり、②必要十分 な機能のみにそぎ落とすことで新たなニーズを生んだりすることがあります。これを既存市場の再セグメント化といいます。
 ①の例を挙げると、大手GMS(=General Merchandise Store)から分社化して成長した企業では、首都圏に住む消費者の生活圏内に、生鮮食品が揃う1000店舗以上のSM(=Super Market)チェーンを展開。特化させたのは消費者からの「近さ」であり、絞り込んだのは都市生活の食のニーズに合わせた「品揃え」です。
 また、②の例を挙げると、体重減や体型改善などの結果にコミットする企業は、これまで顧客が要求する目標に向けて伴走し、運動や食事の面などで結果が出るまでアドバイス。削ぎ落して必要十分にしたのは「運動」であり、毎日ほんの数分だけ、一般的なジムでは必要な服装や着替えなども不要な環境を用意したことで、新たなニーズを生み出しました。
 この「既存市場」の再セグメント化の成功例においては、既存市場ながらも明確で、異なる地位で差別化できているという気づきがあります。この差別化はブランディングにも通じますが、「あのサービス」なら「この会社」と一瞬でイメージができるレベルでこそ、再セグメント化が成功していると言えるでしょう。

STP分析とセグメンテーション

 新たな事業を創造するためには、「既存市場」の未開拓な市場セグメントを探し、その中からターゲットを絞り込み、競合他社とは衝突しないようにどの部分に優位性を確立するかを考える必要があります。このように、市場を細分化し、ターゲット層を抽出し、自社の競争優位性を確立するための作業をSTP分析といいます。
 分析はまずセグメンテーションから始めてみましょう。基本的には、自社の「強み」「弱み」「機会」「脅威」などを明確にしたSWOT分析を済ませたうえで、どの戦略で、どういった事をしたいかがある程度具体的になっていることが前提です。その上で、取り組む分野において新たなセグメントを見つけ出します。セグメンテーションは最終的には「二軸」でマトリックス化するのですが、その二軸に採用するセグメント変数を探しあてるのが最も難しいです。この変数には4種類あり、①地理的変数(国、地域、人口、発展度、気候、宗教、文化、生活習慣など)、②人口動態変数(年齢・年代・ライフステージ、既婚・独身などの家族構成、会社員・自営業などの職業、業界、業種、性別、学歴、年収など)、③心理的変数(顧客の性格・優先順位などのパーソナリティ、趣味・趣向などのライフスタイルなど)、④行動変数(価格・品質などのベネフィット、購買頻度、使用状況、購買心理、商品知識など)であるとされています。
 実際のセグメンテーション例を見れば、もう少し理解しやすいかもしれません。よくある二軸は「価格×機能」「価格×場所」「価格×ニーズ」などの「価格」を一軸とした掛け合わせ、あるいは価格以外の「機能」「場所」「ニーズ」をそれぞれ掛け合わせるパターン(「機能×場所」「機能×ニーズ」「場所×ニーズ」)、ときには同じ変数を掛け合わせるパターン(「機能×機能」「場所×場所」「ニーズ×ニーズ」)もあります。
 具体例を見てみましょう。仮にカフェとして「価格×ニーズ」だと【高価/安価】×【ちょっと使い/ゆったり使い】、「機能×場所」だと【メニューが多い/少ない】×【駅前/郊外】、「機能×ニーズ」だと【伝統的/スタイリッシュ】×【ビジネスパーソン/主婦・学生】などが考えられます。なお、「価格」以外の変数は1通りとは限らないので、他にもいくつものパターンが想定できます。

ターゲティング~ポジショニングで見えてくる実際の差別化例

 次にターゲティングですが、事業開発においては未開拓な市場セグメントより創造することが求められますので、まずは前段で考えたセグメンテーションに対し、既に提供されている製品・サービスがどの位置に存在するかを配置してみてください。あともう1つ確認していただきたい事は、未開拓な市場セグメントが何らかの課題解決や新たな創造につながるかどうかです。その可能性が大きければ大きいほど、売上・利益となるポテンシャルも大きいかもしれません。
 ターゲティングができれば、最後はポジショニングを行ないます。ポジショニングとは、セグメント内の製品・サービスを見て、最終的に自社の立ち位置を決めることです。言い換えると、事業開発において他社には無い独自の提供価値を決めることになります。この決定に際しては、経営戦略上で本当に必要かどうか、その製品やサービスが本当に実現可能かどうかを判断します。
 STP分析の実際の例を、「ファストフード」で見てみましょう。セグメンテーションは「価格×機能」であるとして、ファストフードにおける「機能」を考えると、やはり提供スピードが【速い/遅い】になるでしょうか。仮にいくつかのハンバーガーチェーン店をこの【高価格/低価格】【速い/遅い】の二軸に配置すると、殆どの場合"低価格で速い" か "高価格で遅いか" に分かれます。そこで、野菜などの具材を好みに変えられる有名なオーダーサンドイッチチェーン店を見てみると、"高価格で速い" に位置することが分かります。これは明らかに、ターゲティング~ポジショニングを意識した差別化をされていることがわかります。


 全く未開拓な市場を見つけることは容易ではありませんが、いわゆるレッドオーシャンではなくブルーオーシャンでの新規事業開発が現実的な戦略になります。ただ、このような市場分析における結果はあくまで現時点のものであり、状況は常に変わっていくでしょう。そう考えると、差別化における価格以外の提供価値は、これまでの常識をひっくり返す覚悟と変革が不可欠であることは言うまでもありません。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■新規事業開発は「既存市場」でも可能であり、何かに特化したり必要十分にすることで再セグメント化はできる。
■セグメンテーションは「価格」「機能」「場所」「ニーズ」などの変数から二軸でマトリックス化することである。
■ターゲティング~ポジショニングにおいては、課題解決や新たな価値創造、他社には無い独自の提供価値になっているかが大事である。

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