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イノベーション NEW2021年2月 3日

紙の「価値」を再定義する 課題解決や感動体験を生み出せるデジタル印刷を活用する「紙」利用の変革とは

デジタル印刷の正しい理解と考え方

 デジタル印刷とは、デザイン制作されたデータを直接機械に送って印刷ができる方式のことをいいます。ただし、過去の記事でも書かせていただきましたが、弊社ではPOD(プリント・オンデマンド)という表現とは使い分けており、あくまでデジタル印刷は次の条件を満たすものと定義付けております。

  • オフセット印刷に遜色ない再現性、印刷品質であること
  • フローの全体に対し、トータルで従来よりスピードが速いこと
  • 大容量なデータを継続的に駆使できること

 そう考えると、デジタル印刷は多品種・少ロットとかではなく、多品種・大ロットで断続的にジョブ化することが重要であったり、単発営業による印刷受注ではなく、仕組みを使って継続的に取り組み、ルール等を決めた契約締結をすることなどが大事な考え方となります。
 これは、ブランドオーナーも印刷会社もデジタル印刷を駆使しようとすると、これまでの印刷の「常識」だったこととは異なる「非常識」に挑戦しないといけないということです。印刷は単に安くて、早くて、それでいて効果があってという概念は、いま一度見直してみてはいかがでしょうか?

紙の「価値」で課題解決

 印刷物は、これまで情報を世間に素早く、確実に伝える役割が中心でした。しかし、大半の人がPCやモバイルを所持し、手軽に情報入手できる世の中に変わりました。PCやモバイルは、情報の伝達速度、入手の手軽さ、情報そのものの変化を感知しやすい優れもので、これまでの印刷物あるいは「紙」の課題が解決されたものとして「デジタル」に置き換わっていることが多いです。
 そうなると、改めて印刷物や「紙」そのものの価値を再定義しないといけません。そこで、新たに生じている課題をいくつかご紹介します。

①デジタルシフトによる情報過多
PCやモバイルのデジタルが出現したことにより、いつの間にかデジタル vs 紙といった二項対立構造が生まれました。ただ、紙より安価に使えるデジタルは利便性が高いがゆえに、いまではデジタルによる情報過多で必要な情報を見落としてしまったり、いま必要としない情報が送り続けられるといった状況になりました。そこで、改めて「紙」の特長が見直され、紙での情報を必要とする人にのみに送ることがデジタル印刷などで実現しつつあります。

②「紙」資源のムダ使い
環境負荷を減らし森林保全するためには、印刷物や「紙」は適正な量で使われないといけません。従来の印刷手法だと、ある程度まとまった量を作らないとコスト(単価)が下がりませんでした。また、印刷物の不足を恐れ、予備を作って在庫を持ち、結局に使われずに廃棄されることもまだまだ多いです。デジタル印刷であれば、必要分のみ用意すればいいのです。また、再生紙を使い資源を循環させることなども効果的でしょう。

③CO2増加による温暖化
ECの拡がりにより、荷物の配送量は世界的にも激増しております。印刷物もまた、一か所で一括で作られることが多く、納品先への配送が複数かつ遠距離になることも多いです。移動量が多いと、それだけ単純にCO2の排出も増えるという見方です。ではこれを、納品先に近い印刷工場で印刷し、納品すればどうでしょうか。いわゆる適地生産は、CO2排出量を抑えるための一つの対策になります。

 このような課題解決ができる印刷物や「紙」の使い方を、デジタル印刷の活用と合わせて考えると、解決方法も見つけやすいです。あくまで目先のコストではなく、「価値」の利用なのです。

紙の「価値」で感動体験

 印刷物は、デジタルと違い五感への訴求力が強いモノとして存在します。例えば、Eメールなどのデジタルだと「その場」で読まれないとすぐ忘れられることが多いですが、紙のダイレクトメールなどは良いものを受け取ったと感じると保管してでも後で必ず読まれることが多いです。欲しい情報等であれば、なおさらです。
 この「保管しておきたい」あるいは「長く置いておきたい」という価値を、どこまで高めることができるかが紙の価値にもなりそうです。

①自分の名前が入っているアイテム
自分の名前を公共の場で呼ばれたり、表示されたりすると、誰もがハッとすることと思います。それが、写真の中に刻まれていて、その写真のカレンダー等で受け取ったとすると、何となく自分が大切にされている気分にもなりますし、簡単には捨てられなくなります。

②自分の情報が入っているダイレクトメール
いまやクラウド上で個人の属性・行動などが管理~追跡されるような時代であり、デジタルではEメールやリターゲティング広告などにも活用されております。そのようなレコメンデーションは、スピードの速い(手元に到達するまでに時間が短くできる)紙であれば、デジタル同様に実現できますし、デジタルより効果は断然長く続きます。

③自分が主人公になっている書籍や絵本
デジタルでは早くに実現されておりましたが、自分が物語の主人公だったとすると、その物語での感動や記憶は「自分ごと化」され忘れられないものです。それもいまや書籍や絵本で実現できる技術があり、名前の差し込みや、写真や、それこそ属性情報に応じて変化するようなストーリーであれば、その感動体験はカタチとして長く置いておきたくなります。

 このように、デジタルとは少し異なった感動体験を与えられるような「紙」は、デジタル印刷でこそ実現できる新たな価値になります。

デジタル印刷でつくる「紙」の未来

 デジタル印刷が、日本国内ではまだまだ浸透していないのが現状です。それは、日本が世界から環境対策などで遅れをとっているのと同じように、変革が遅いのです。また、印刷物や「紙」そのものは、決して安価ではなく「価値」の高いものであるべきです。その価値があるはずなのに、合理的に、効率的に、そして慣習かのように消費されたまま、変わらず垂れ流され、そして多くは捨てられています。
 これからは新型コロナウイルスの影響で、間違いなくニューノーマル(新常識)に変わります。いまこそ、デジタル印刷を活用しつつ、本当に必要な「紙」だけを残すことが求められているのではないでしょうか。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■デジタルが課題解決したように、印刷物や紙も課題解決できる使い方で「価値」の再定義が必要である。
■印刷物や紙は、デジタルにない「保管しておきたい」価値を感動体験などを与えられるような要素で高めなければならない。
■デジタル印刷は、ニューノーマルに対応する変革のための一つの手段として活用できる。

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