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自らの強みを知り未来につなぐということ 貴重なアスリート経験を活かすことで「セカンドキャリア」もいっそう輝く!
日本たばこ産業株式会社 京都支社 部長 中塚 美由紀氏
アスリートと聞くとどんなイメージですか?特別な才能をもつ有名な方を思い浮かべ、接点のない別世界の存在、という印象を抱く方もいらっしゃるのでは?ところが、身近なところに、実は「元アスリート」の肩書を持つ方も...。「実像」がまだあまり知られていない世界について、JTマーヴェラスにてバレーボール選手としてご活躍後、現在は管理職というセカンドキャリアを手に歩んでおられます、日本たばこ産業株式会社(以下JTと表記) 京都支社 部長 中塚美由紀氏に、自らのご経験から多くの方に伝えたい思いや課題等を語っていただきました。

「JTマーヴェラス」公式ページはこちらからもご覧いただけます:
https://www.jti.co.jp/sports/marvelous/index.html

日本たばこ産業株式会社(JT)の企業ロゴ
目の前の目標突破に全力でのぞむ 知られざるアスリート的学校生活
バレーボールとの出会いは小学5年生、出身地・広島はバレーボールが盛んな土地柄で、周囲の勧めで始めたそうです。中学2年生の時、まだ経験の浅い段階で参加した練習試合で強豪校の指導者の目にとまり、その後高校へのスポーツ推薦が決定。高校入学と同時に、寮生活がスタートします。実家から電車で30分の距離とはいえ、寮のすぐ横の専用体育館で毎日練習の日々で、実家に帰るのは年に1回、1泊2日がせいぜい、という状況でした。
「当時、平日は放課後に夜まで練習、土日は朝からひたすら練習!まさに根性バレー。それが当たり前でした。夏休み等の長期休暇は、実業団チームのところに全国から強豪校が集まって、延々と練習試合をするんです。始業式や終業式などの学校行事の出席も免除されていました」とは驚きです。「全国大会や世界選手権への出場のような特別な体験ができたかわりに、一般の高校生が味わうはずの日常は一切体験できずじまい。学校帰りの寄り道やおしゃべり憧れでした」とのこと。家族と会えるのは試合を見に来てもらった時だけ、先輩と同部屋の寮生活で気が休まる時間すらなかった生活は、「3年間限定だから耐えることができたんです。そんな中、将来の展望を考える余裕は無かったですね。目標の将来像に向かって確実にステップアップしていったトップアスリートの話題も聞きますが、私は目の前のことを必死にやるだけ。せいぜい明日のことで精一杯でした」という言葉が、当時の厳しい練習の現実を物語っています。
アスリート特有の悩みアレコレ リーダーシップの取り方も課題
高校卒業後、JTに入社。JTマーヴェラスの選手として合宿所に入り、「バレーボールが仕事」という環境は、「社会人」としてかなり特別です。一般的な見方だと、アスリートとして競技に専念することで給料を得る生活は、特別な才能に恵まれた方へのリスペクトしかないのですが、当のご本人の心境は全く違っていたようです。「現役時代は勝つことを目標にバレーボールに打ち込みますよね。それは誇るべき事実。でも引退すると、バレーボールしか知らないというコンプレックスになって壁にぶちあたる感覚です。何が分かっていないのかが分からない、という不安に襲われました」とは意外過ぎる事実でした。
現役引退までの最後の4年間、キャプテンをつとめた中塚氏。「リーダーシップの取り方も最初は強引でした。キャプテンとはこうあるべき、と自分で勝手にハードルを上げて苦しみました」。キャプテン1年目は、初めて一部リーグに上がったものの、シーズンを1勝19連敗で終え最下位に。多くの選手が辞め、残ったメンバーで先輩後輩関係なしで何でもやるしかなく、「キャプテンらしく」などと言っている場合ではなくなりました。だれかが欠けて試合ができないリスクを避けるためにも、何でも言い合える環境を目指しました。これを機にコミュニケーション量が増えた結果、お互いをしっかり理解できるように。「勝って結果さえ出せばいい」と割り切っていた頃から見れば大きな方向転換ですが、この経験が中塚氏のリーダーシップの原点になったのは間違いありません。

アスリートから会社員への転身!本質を理解し突然乗り越えた瞬間
引退直後、社会人としての知識がないというコンプレックスは、「能力がないのではなく知る機会と経験がなかっただけ、と気付けなかったのが原因」と分析。「厳しい指導のもと自分と戦い続けると、自己肯定感が低くなりがち」との指摘には、ただ納得。勝負の世界は、努力しても負けたら終わりで、反省が常態化して欠点にばかり目が行き、自信が持てないのです。特に女子アスリートは自己評価が低めで、完璧でない限り「できます」と言わない傾向があるようです。
中塚氏ご自身は、モヤモヤを抱え5~6年過ごした頃、社内の状況を見て「選手時代にも似たようなことがあった」と突然気付きます。大きな組織で起きることも、本質的にはそう違わないと腹落ちしました。キャプテン経験を武器に上司の心境を思い、「本音はこうでは?」「今求められているのは何か」と行動した結果、感謝される機会も増えたそう。これを機に目覚め、「アスリート思考の特徴でしょうか、純粋に上のランクがあるなら上を目指そう!と。当時の上司や先輩社員が、暖かく見守ってくださったからこそ、です。感謝しかありません」と満面の笑みで語ってくださいました。
かつてはバレーボール選手でキャプテン、現在は管理職として活躍中の中塚氏の姿は、具体的な一人のロールモデルとして、特に現役選手に勇気を与えていることでしょう。JTではJTマーヴェラスの現役選手に対するキャリアプログラムが実施されているとのこと。「研修の一環で、OGからのアドバイスとして私も講師を務め、社内でどうキャリアを積んだのか、今から知っておくべき情報や心構えを中心に伝える機会も頂きました」。
大切なのはセルフプロデュースと見極め!周りのサポートがあってこそ飛び立てる!
引退したばかりのアスリートにセルフプロデュース力を求めるのは酷な話で、サポートは必須です。「所属企業は、選手が競技に集中できる環境づくりと共にセカンドキャリア教育も大切にしてほしいですね。企業の広告塔としてまずは勝利を!という現実もありますが、技術向上と同様に引退後の人生のための人間形成も必須です」と中塚氏。選手が現役時代から引退後の生き方を意識することと、周囲のサポート体制の両輪が揃うと、セカンドキャリアへの移行もスムーズでしょう。心身共に自己研鑽を重ね、特訓・自主練も厭わないアスリートは、結果を出すため入念な準備を続けます。「例えばバレーボールはつなぐスポーツなので、次にボールを渡す相手の動きを想像してプレーします。チームにどう貢献できるか常に考える姿勢は、職場や得意先での対話でも強みになるはず」とのこと。控え選手は、チーム最適の視点で「何をすべきか」判断するからこそ、コートに立つ選手が試合に集中できる点は、ビジネスにも当てはまります。
キャプテンと管理職の両方の経験からこうもおっしゃいます。「勝つために集結した同世代女子選手を率いるより、年齢、キャリア、働く目的が違うメンバーを束ねて成果を出す会社のマネジメントの方が大変」。さらには、「有言実行が好き。『こういう組織にしたい』と言葉にすると、不思議と助けてくれる人が現れたり、専門家とつながったり。一人で解決しようとせず、周囲を巻き込んで一緒に進んでいきたいですね」と。新たな船出には、過去のキャリアの振り返りが欠かせませんが、「これをやり切った、とはっきり言える何かがあるのはアスリートの強み。セカンドキャリアでも必ず役に立ちます!」と力説されていました。一方周囲は特別視しすぎず、一時期アスリートとして過ごした人材、という捉え方で良いのかもしれません。本人が言わないだけで、皆さんの身近にも過去のキャリアを活かせずもがき続け、セカンドキャリアにたどり着けない元アスリートがいらっしゃるはずです。
「私自身は、引退してずいぶん経った今でも、商談時等にJTマーヴェラスというブランドに助けられることがあります。マーヴェラスに対して私が恩返しとしてできるのは、後に続く後輩たちのセカンドキャリアへの道筋をつけるため、今いる場所でベストを尽くすことだと思っています」というお話は非常に印象的でした。スポーツとは縁のない企業でも、元アスリートの転職先として一般化し人材活用が進めば、社会の意識も次第に変わるはずです。今回の取材を通じ、これからは、様々な背景を持つ多様な人材が幅広く活躍できることが企業を活性化し、ひいては世の中を元気にするのだと実感しました。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■アスリート自身の認識と、世の中一般の視点のギャップを埋めると何かが変わる。
■アスリート本人の意識改革と共に、早い時期からのセカンドキャリア教育が重要。
■企業による元アスリートへの理解が進めば、人材活用の可能性も広がる。
日本たばこ産業株式会社については、こちらからご覧いただけます。
https://www.jti.co.jp/
※所属及び記事内容は、2022年7月当時のものです。
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