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イノベーション NEW2022年6月 8日

企業や製品が互いに連携・補完し合う パートナーシップで圧倒的な強さを作り出す ビジネスエコシステムでできること

あらゆる業界で有効なビジネスエコシステム

 エコシステムは、同じ領域に暮らしている生物が互いに依存しあって生きている状態をいい、生態系に由来する言葉です。これをビジネスやITの分野に当てはめると、製品やサービスなどがお互いに連携し合うことで大きな収益を得ようとする取り組みが有効と考えられており、その仕組みをビジネスエコシステムと呼んでいます。
 実際の例をいくつか見てみましょう。一番有名な取り組みとしては、GAFAと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleのような事例ではないでしょうか。例えば、Appleが提供するiPhoneやMacBookなどの製品は、キーボード、スクリーン、半導体、カメラなど様々なパーツが提供できる企業としっかり連携することで、需要に十分応えられる量を世に送り出しています。もちろん、製品として提供するAppleも、パーツを提供する各企業も、お互いの存在が無くてはならない関係として連携がなされています。また、Amazonでは多くの店舗(企業)が出店しているECモールを運営されていますが、単にPCからブラウザで購入できるサービス程度にとどまらず、タブレット(Fireタブレット)で繋がっていたり、AIスピーカー(Amazon Echo)で繋がっていたり、実店舗(Amazon Go)で繋がっていたりと壮大な経済圏を作り出しています。
 他にも、ビジネスエコシステムは社会環境の変化による必要性から生み出されることもあります。例えば自動車業界では、コネクテッドカーや自動運転、電動化やシェアリングなどまさに技術や業態そのものの大きな変革の波が押し寄せています。コネクテッドカーはIoT技術で情報を双方向で共有し、例えば道路状況(混雑回避など)に対応するためには必要ですし、自動運転は人的による事故を防止するために国や地域との連携も必要になってきます。また、環境保全のために電動化(EV化)が進められたり、そもそもシェアリング等により車を「所有しない」という生活者の選択肢も充実しつつあります。これだけだと、単に技術やサービスの話に聞こえますが、これには業界の壁を越えたデジタルトランスフォーメーション(DX)によって実現していることが殆どなのです。

ビジネスエコシステムの形態と指標

 このビジネスエコシステムは、多くの場合はデジタルプラットフォーム上にて成立しております。即ち、前提条件として、デジタルプラットフォームに乗れない仕組み(つまり、システムと連携できない状態)であれば、最低限として自社の強みがデジタルプラットフォーム上で実現できる環境を整えておく必要があります。
 そのうえで、ビジネスエコシステムには、大きく4つの形態が考えられます。1つ目はクラウドサービス(またはエコシステム)どうしが繋がり、利用価値を高めるような「連携」です。いまは様々なクラウドサービスがAPI仕様を公開し、連携できるような可能性を持っています。2つ目はD2Cやシェアリング・エコノミーなどの「新たな機会提供」です。モノで溢れる世の中なので、デジタルでリアルなモノを繋ぎ有効利用ができる仕組みの提供が該当します。3つ目は様々な企業(プレイヤー)、あるいはモノやサービスがそれぞれの強みで繋がり、新たな価値を作る「全体最適化」です。この形態にはプラットフォーマー、サービサー、メーカーが、それぞれの役割で繋がります。さいごの4つ目は、既存のエコシステムに新たなデジタルサービスを提供するような「創造」です。新たな発想で新たな価値を提供する形態なので、何より創造力が求められます。
 こうして生まれるビジネスエコシステムは、いくつかの指標(パフォーマンス)で測ることができます。ハーバード・ビジネス・スクールのマルコ・イアンシティ教授によれば、3つの指標があるといいます。1つ目は生産性(Productivity)であり、即ちイノベーションにより低コストで新たな商品開発に繋げる力です。この生産性が高いほど、次に繋がる発展も期待できます。2つ目は堅牢性(Robustness)であり、複数企業の連携であっても環境変化も速いので、連携しながらも的確かつ迅速に対応できる力を指します。これは成功・失敗にも大きく左右します。3つ目はニッチの創出(Niche Creation)であり、新たな役割を担うニッチ企業が継続して生み出される力です。これは新たな機会や多様性により、健全な発展が見込めます。

「参加型」でプラットフォーマー以外が得られるものは?

 ビジネスエコシステムは、スピード感を持って取り組むことで、先行者利益が得られたり市場に新たな参入障壁を作れる可能性があります。ただ、これはどちらかと言えばプラットフォーマー視点の話であり、プラットフォーマーを含むいわゆるキーストーン企業(ビジネスエコシステムの中核プレーヤー)以外の「参加型」企業の場合は、具体的にはどういった取り組みやメリットがあるのでしょうか。
 事例として、とあるメーカーが先程紹介したAmazon ECモールを活用していた例があります。そのメーカーが新たな需要の創出をするために、Amazonでの購買履歴やビッグデーターから消費者の嗜好を読み取り、Amazon限定販売の新製品を発売したところ、大ヒットとなったようです。これは、メーカーがエコシステムから新たに得られた情報があったことで実現ができたこと。エコシステムを使って、メーカーとしての価値を高める有効な戦略であったと言えます。
 また、弊社もビジネスエコシステムに参加している事例があります。弊社の強みは、種類が多く複雑な印刷プロダクトであってもデジタルでスピード対応ができる点です。これは、弊社の立ち位置を明確にして様々な常識を変えたことが、実現に大きく貢献しております。プラットフォーマーとパートナー契約をすることで、断続的に印刷物を届ける製造インフラを担っております。


 このように、ビジネスエコシステムに関わることができれば、自社だけではできなかった事に対してチャンスが生まれます。これまで提供してきたサービスの向上につながることもあれば、これまでに無い新しいビジネスを生み出すこともできます。もちろん、新たなニーズを作り出すことにもなるかもしれませんし、これまで解決できなかった大きな課題を解消することにもなるかもしれません。この考え方には、実に大きなインパクトがあることは十分ご理解いただけたのではないでしょうか。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■ビジネスエコシステムは、製品やサービスなどがお互いに連携し合うことで大きな収益を得ようとする取り組みや仕組みをいう。
■4つの形態「連携」「新たな機会提供」「全体最適化」「創造」があり、3つの指標「生産性」「堅牢性」「ニッチの創出」がある。
■プラットフォーマーで無くても「参加型」で自社の価値を高める有効な戦略になる。

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