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「デジタルwith紙」で価値をつくる データから人の五感に響く紙で訴求するデジタル印刷の活用方法
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デジタル印刷は従来のPODとは異なる
POD(プリント・オンデマンド)やオンデマンド印刷という言葉は、もう20年以上前から存在していてご承知の方も多いかもしれません。弊社からは最近「デジタル印刷」の活用をご提案させていただいておりますが、よく「デジタル印刷って、オンデマンド印刷と何が違うの?」と聞かれます。そもそも「オンデマンド」という表現はビジネス用語で、「必要なときに」「必要な量だけ」という意味があります。
PODは、小ロットで短納期という対応を求められたサービスの総称です。対して、デジタル印刷は、印刷技術面での総称であり、印刷の版を必要とせず、デジタルデータを紙などの媒体に直接印刷することをいいます。デジタル印刷の最大のメリットは、データから直接印刷できるので印刷内容を1枚ずつ変更ができる技術であることです。
ただ、この1枚ずつ印字内容が変更できる機能があっても、価値として殆ど活かされませんでした。理由はいくつかあります。
-あくまで従来の印刷機の代わりとして、少部数の際に使われていた。
-粉体トナーによる印刷品質は、従来のオフセット印刷とは違っていた。
-速度は遅く、一台で出力できる数量は限られていた。
PODという表現には上記の印象が大変強く、営業的にビジネスするうえでも妨げになっていました。高速化・高品質化・大型サイズ化する中で、弊社ではあえて「デジタル印刷」という表現を使っております。デジタル印刷は、データを余すことなく活用できる受け口を持っており、従来のオフセット印刷に負けないスピード、クオリティに変化しつつあります。そうなると、いかにデータを継続的に駆使して、流れ(ワークフロー)を構築して、どう取り決め(契約)をするか?といったこれまでとは異なる視点での会話をしなければなりません。
消費者向けサービスで活用されるデジタル印刷
"デジタル印刷=高品質"として一番最初に普及したのは、「フォトブック」などの消費者向けサービスではないでしょうか。フォトブックは、デジタルカメラに撮りためた写真をWebブラウザや専用のスマートフォンアプリ等で編集を行ない、1冊の本として作成したものをいいます。インターネットを通じたサービスであれば、使う写真を選択し、レイアウト配置を編集しながら決定し、配送先を入力し、注文するといった流れが一般的です。各社サービスとも印刷方式は様々ですが、最近では一般的な印刷雑誌や出版物と同レベルのデジタル印刷品質で提供するものが増えております。
注文後、印刷所には注文・顧客情報を含めたテキストデータと編集後の印刷可能なPDFデータが届きます。デキストデータを元に、注文ごとに印刷必要なページ数や冊数、サイズ等の情報が分かる作業指示書を発行します。PDFデータは効率的に印刷できるように、複数注文を一括で印刷できるように面付け処理が行なわれます。殆どのフォトブックサービスでは個別のID番号を1冊ごとに付与して注文情報を管理しているので、フォトブックの裏表紙に印字されたバーコードで配送情報を読み出し宛名ラベルを発行できるようにしております。このように、印刷品質の担保は勿論、データを駆使して時間管理を行ない、各種エラー時の対応等のワークフローを決めたうえで、サービスが提供されております。
出版業界に広がるデジタル印刷
出版大手の講談社やKADOKAWAには、書籍製造のプラットフォームとして高品質印刷を実現できるデジタル印刷機や高速インクジェット輪転機が導入されております。従来の方式では文庫本を最低部数で重版後に在庫し、売れ残った分に関しては廃棄する方法を取っていました。ただ、在庫すると倉庫の維持や廃棄のために費用がかさむ問題がありました。デジタル印刷を導入する狙いとして、小部数でも重版ができる体制を作り、総在庫数を減らし、逆に在庫が不足した際には数百部単位ですぐ生産できるようにすることでした。
これは、過去のPODによる出版の取り組みとは少々異なります。PODでは用紙も限定され、オフセット方式による従来の印刷品質には程遠く、書籍本来の大事な風合いを失っていました。そのため、元々の書籍自身を絶版扱いにして、新たにISBNコードを取得して別の書籍として販売されておりました。しかし、デジタル印刷による書籍製造のプラットフォームでは、従来と同じ銘柄の書籍用紙を採用し、オフセット方式同様の印刷品質を可能にしております。また、小部数では妨げになる「見返し」をせず、表紙自身の印刷仕様を統一して従来同様のカバーや帯紙を被せることで、従来の書籍とは遜色の無い仕上げにするなど工夫がなされております。
クラウドサービスとデジタル印刷
営業・マーケティング・経営・会計・事務・分析等におけるデータ管理をするうえで、今日では様々な分野でクラウドサービスが運用されております。クラウドの特徴は、従来自分のPCや携帯端末に個別に保存していたデータを、インターネット上に保存する使い方やサービスであることです。それにより、自宅や会社、カフェ、図書館、外出先など、さまざまな環境からデータを閲覧、編集、更新することができます。身近な例を挙げると、GmailやhotmailなどのWebメールは、クラウドサービスです。連絡先やメール文章が全てインターネット上に保存され、Webブラウザや専用のアプリケーションから操作できます。
データがインターネット上に保存されている事から、最近ではクラウドサービスから印刷物を手配できる環境が整いつつあります(先述したフォトブックサービスも同様)。個人で必要としてさほど精細なものを求めない場合は、手元にあるプリンタからの出力で十分でしょう。ただ、自分以外の人にお渡しする印刷物であれば、印刷や配送に必要なデータをデジタル印刷のワークフローと連携することで、たとえ離れた場所であっても対応できるようになります。アイデアとして、営業であれば、クラウドでの名刺管理にスキャンするだけでその顧客先(相手)に御礼ハガキが送付できます。マーケティングであれば、メール配信した内容に受信者(相手)が反応すると、その反応した相手に合った内容の詳細情報が書類やパンフレットといった形で届けることができます。
このように、「データ」と「紙」の組み合わせ方が、改めて見直されております。「データ」については、クラウドサービスなどを活用しつつどう統合管理するかが鍵となります。また「紙」については、紙本来の質感や利便性を活かしどう人の五感に訴求するかが重要です。「デジタルVS紙」の議論は終わり、「デジタルwith紙」で価値をつくる新たなステージに変わろうとしております。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■デジタル印刷では、従来のオフセット印刷と遜色無い品質やスピードを満たす必要がある。
■データ連携を行ない、ワークフロー上におけるサービスレベルを決めて運用することが求められる。
■インターネット上に保存されているデータが統合管理されていることで、人の五感に響く新たな価値が生まれる。
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