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マーケティング NEW2020年8月 5日

「答え」と「方向性」を導き出す クロス分析から成功戦略を引き出すための SWOT分析手法

項目の羅列だけでは もったいない

 SWOT分析は、フォーチュン500のデータを用いて1960年代から70年代にスタンフォード大学で研究プロジェクトを導いた、アルバート・ハンフリー氏により開発された手法です。この手法では、「内部環境」と「外部環境」の良さと悪さを明確にしていきます。内部環境の分析は「強み(Strengths)」や「弱み(Weaknesses)」といった自社の分析で、一方外部環境の分析は「機会(Opportunities)」や「脅威(Threats)」など市場の競争環境から導き出されるもので自社ではコントロールできない領域のものです。この2つの側面にある4つの軸から、状況を評価していきます。
 既によく知られた分析手法ではありますが、これらの項目を洗い出して物事の解決に至ったというのを残念ながらあまり聞いたことはありません。このSWOT分析は、殆どの人が「強み」「弱み」「機会」「脅威」をそれぞれ箇条書きにして整理するだけと思われております。確かに、自社の現状認識はできるかもしれませんが、このままだと結局次の一手は見えてきません。これを活かすためには、内部環境と外部環境を掛け合わせることで、より最適な戦略を導き出すことをします。具体的には次のような内容です。

①SO戦略(強み×機会)
強みと機会の両方を最大化する戦略で、前向きな成長戦略です。自社の強みを活かして、さらに伸ばしていく対策となり、積極的な投資や人材配置をして他社との競合で優位に立つ戦略になります。例として、強みが「手厚い顧客対応」で機会が「顧客ニーズの多様化」であれば、SO戦略としては「顧客ニーズを新商品の開発に活かす」などになります。

②ST戦略(強み×脅威)
強みを最大限に活用して脅威を最小化する戦略で、差別化すべき検討事項になります。他社が手を引くまで我慢すべきなのか、提携などを踏まえて圧倒的な強さにするか、たとえ強みであってもニーズが無いなら撤退縮小するかなどを検討します。例として、強みが「手厚い顧客対応」で脅威が「新規参入業者の増加」であれば、ST戦略としては「手厚い顧客対応が具体的にどのように行われ、他とは何が違い、満足いただいているかをPRする」などになります。

③WO戦略(弱み×機会)
弱みを最小化し機会を最大化する戦略で、転換すべき改善対策事項になります。自社の弱みを克服してチャンスの波に乗るには何をどう改善していくかを考えます。 例として、弱みが「商品ラインナップが少ない」で機会が「顧客ニーズの多様化」であれば、WO戦略としては「商品を企画するためのリソースを増やして、ニーズのある商品開発をしていく」などになります。

④WT戦略(弱み×脅威)
弱みも脅威も最小限に抑えるための戦略で、致命傷を回避するための撤退縮小すべき検討事項になります。自社の弱みが致命傷にならないように、優先して決着しないといけません。例として、弱みが「商品ラインナップが少ない」で脅威が「新規参入業者の増加」であれば、WT戦略としては「競合が増え成熟している商品分野から撤退する」などになります。

 このように、単に項目を羅列させるだけでなくクロスして分析を進めることで、①積極戦略、②差別化戦略、③改善戦略、④致命傷回避・縮小撤退などの「答え」や「方向性」をあぶり出せることが物事の解決に導いていきます。

項目の洗い出し方、考え方

 分析手順の着地点はだいたい見えてきましたが、元となる各要素の洗い出しにも手順があります。SWOTと表現されていることから、ついS(強み)から始めてしまいますが、マーケットインや後のクロス分析を考えると、本来はO(機会)にS(強み)をぶつけることで「積極戦略(SO戦略)」を導き出します。よって、先にO(機会)やT(脅威)の外部環境を洗い出してから、次にS(強み)やW(弱み)の内部環境を洗い出します。
 まず、O(機会)にじっくり時間をかけて検討するのですが、今後チャンスとなる世の中の変化、顧客の変化、業界の流れで事業の目標を達成する助けになるものは何かを考えます。(1)周辺の高価格商品は何か、(2)周辺の低価格商品は何か、(3)Webでよく売れているものは何か、(4)既存商品の周辺サービスや業務を受注するとどうか、(5)技術革新や輸入品で代用品・代替品でチャンスはあるか、(6)同業・競合をライバルではなく顧客・協業を考えるとどうか、(7)二番煎じでマネしたらどうか、(8)手間を省きたいことを工夫して受注対応するとどうか、(9)円高・円安で変動あるとメリットあることは何か、(10)少子高齢化で何か特定分野でできることは無いか、などを考えます。  次に、T(脅威)を洗い出しますが、自社の努力だけではどうすることもできない外部からの影響を挙げます。市場の変化や法制度の変更によるものが多く、先に検討したO(機会)の裏側に隠れていることもあります。
 その次に、S(強み)ですが、「強み」は「自社の良いところ」ではありません。あくまで、同業・競合(それも複数)と比較して自社はどうかという視点で洗い出します。また、社風や自慢も違い、観念的な組織論も排除しなければなりません。(1)専門性、(2)価格対応力、(3) 迅速性、(4)一貫体制、(5)サポート力、(6)水平展開力、(7)マーケティング力、(8)ITシステム力、(9)地理的な優位性、(10)協力企業とのつながり、などを考えます。
 最後に、W(弱み)について考えますが、これは「悪い点」や「劣っている点」では無く、市場や一般的なことと比較して対応できていないボトルネックを挙げます。情緒的な弱みよりも、あくまで戦略的・現実的に負けている事項を考えます。

目的を明確にして分析する

 SWOT分析は、必ず目的を明確にしておく必要があります。例えば、得られた結果を経営戦略の見直しに活かすのか、新規事業の発見のために行なうのかで全く変わってきます。他にも、重点商材の発見、重点顧客の整理、新商品開発のためなど、様々な物事の頭の整理のために分析することができます。

 昨今では、思いつきやひらめきの戦略は、なかなか通用しにくくなっております。また、やみくもに改革を行なうことで、かえってダメージも大きくなる危険性があります。SWOT分析を使うことで、思いつきではない新しい戦略を立て、取り組むことが楽しく、希望の持てるワクワクできる戦略が発見できるのではないでしょうか。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■SWOT分析は単に各項目を羅列するだけでなく、クロス分析で新しい戦略が得られる。
■各項目は、先に外部環境(機会・脅威)を洗い出してから、次に内部環境(強み・ 弱み)を洗い出す。
■何のためにSWOT分析をするか、目的を明確にしてからはじめる。

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