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顧客から愛あるアンバサダーへ! 企業と顧客を繋ぐコミュニティ時代のファンマーケティング

顧客との関係構築を重視したアプローチは古くからありますが、ファンマーケティングは比較的新しい手法です。ソーシャルメディアの普及やデジタルテクノロジーの発展により、企業が顧客と直接的に繋がり、コミュニケーションをとれる時代になりました。ファンマーケティングは、顧客を単なる購買者ではなく、愛あるファンやアンバサダーとして捉え、彼らとの強い結びつきを築くことに焦点を当てた戦術です。ファンの真の価値を数値化する手法や、ファンの愛がブランドや企業にどのような影響を及ぼすのか、宍戸氏にお話を伺いました。
株式会社BOKURA
代表取締役 宍戸 崇裕 氏
2015年8月に設立し、現在9年目。「良いものが正しく届く世界に」をミッションとして、企業とファンを繋ぐ「ファンマーケティング」を実施。企業に寄り添い、ファンを創る、見つける、育てる、巻き込むなどの活動をクライアントと伴走する。2023年7月、ファンを多角的に数値化するファン定義4種をはじめとした、BOKURAのソリューション全般にて特許を取得。これまでの実績約280社、スポーツチーム32チーム。
たどり着いたマーケティングのあるべき姿
前職でデジタルマーケティングを手掛ける中、「フォロワーを増やしたい」という要望が多くありました。しかし、一概にフォロワーと言ってもその熱量は千差万別です。一時的な施策でフォロワーが1万人増えても、翌月には5千人が離脱したりする。単にフォロワー数を増やすことは本質ではなく、中長期的に売上を支え、推奨や拡散をしてくれるファンを増やす必要性を感じていました。実家が100年続く八百屋で、ファンを大切にすることが商売の基本だと肌で感じていたこともあります。
これまで、企業が消費者に情報を届ける手段は広告がメインでした。でも、受け取る側には広告は一方的だし多すぎて"ウザい"。比較的新しいインフルエンサーも企業から報酬をもらっていて信用できない。一方で、ファンは誰に頼まれるわけでもなく、純粋に「推し活」をします。利害関係のないファンの情報は良質なメッセージであり、リアルで信頼度も高い。広告を打てば効果は出ますが、やめればそれで終わり。表現は悪いですが、広告は「ドーピング」、ファンとのコミュニケーションは「筋トレ」に近い。筋トレは、即効性はないものの効果は長く持続します。
マスマーケティングからの転換が必要だと考え、辿り着いたのが、企業やブランドを応援するファンをSNSやレビューサイトから見つけ出し、個別にコミュニケーションすることでした。それによりファンレベルを上げ、新しいファンを生み出し、ファンの声を商品・サービスに反映するのです。ファンマーケティングは、いわばファンへの神対応です。一人ひとりと真摯に向き合い、心が動くような交流ができれば、ファンは益々ブランドに愛着を持ち、企業への信頼や顧客エンゲージメントを高めていきます。
ファンを数値化し、それぞれに効果的な施策を
BOKURAは、戦略立案から設計、運用、目的達成までの一気通貫した支援を強みとしています。まずはファンの定義を行い、KPI(ゴールに向かう中間指標)やKGI(ビジネスに対する主要目標指標)を設定。その後、ファンを可視化し、SNS投稿やアンケートをもとにファンレベルを点数化します。
多くの企業は売上のみで顧客をランク分けしますが、当社は「売上」だけではなく「愛情」「知識」「推奨」という4象限でファン度合いを点数化します。例えば、高額商材は頻繁には買わないので、個人の売上よりも「どれだけ推奨してくれるか」が鍵となります。また、チェーンの飲食店では、来店頻度や制覇したメニュー数が多ければ売上貢献度が高い、生活圏内に何店舗あるか知っていたら知識点が高い、裏メニューを編み出して楽しんでいる人は愛情点が高いなどと判断します。ファンの定義や点数は、クライアントと議論を重ねてマトリクスを形成します。
さらに、VoF(Voice of Fan)分析を経て、ファンレベルに合わせた施策でファンの人数や熱量を上げていきます。1万人のファンがいたら1万通りのファンサービスがあっていい。万人に同じ広告を打つのではなく、分類やランクに応じた施策で高い効果を狙います。
ファンとのコミュニケーションは、BOKURAがその企業の社員と同じレベルの知識を有した上で代行し、事前に返信の際の一人称から、文体、口調、顔文字の利用まで綿密に設計します。SaaSで提供する管理ツールは、ファンの熱量(スコア)を可視化し、インサイトの把握やファン候補の発見も可能です。ファンを1人つくった時の売上効果は、顧客単価から試算し、それをベースに増加人数×複数年の売り上げ貢献額を算出することで、費用対効果が見えるようにします。今後はAIを活用し、労働集約作業を自動化していく予定です。
ファンの「好き」から広がる愛の連鎖
ファンづくりの施策は人の手による地道な活動が多いです。それは、レビューサイトに投稿してくれた一人ひとりに丁寧なお礼やお詫びのコメントを返すことや、SNSのタグからユーザーを見つけ出してコミュニケーションすることだったりします。公式アカウントからウィットを効かせたコメントを送ったり、たくさん購入してくれた投稿者に感謝状を送ったり、素朴な疑問を投稿した人に丁寧に回答したり、一人ひとりと真摯に向き合ってハートフルな交流を実施することで、ブランドだけではなく、企業の好感度も上がり、投稿が何万件とリポストされるなど、ファンコミュニティが活性化したケースもあります。ブランド愛が深まるにつれ、ファンは自然発生的にブランドのマスコットを刺繍で作ったり、店頭で品切れを見つければ店員さんに伝えたり、徐々に自走するようになりました。ファンの描いたイラストがLINEの公式スタンプになるなど、ファンを巻き込んだ活動も広がり、売上も向上。さらに、ファンの喜びや感謝の声が企業側に届くことで従業員満足度が上がり、ファンのためにもっといい商品を出したいと予想外の好循環も生まれました。
BOKURAのソリューションは、何も最先端技術を駆使したものではありません。お店に行けば「いらっしゃいませ」、帰る時には「ありがとうございます」といわれますが、SNS上ではそんな当たり前のことができていない。BOKURAは、それを支援しているにすぎません。「バズらせる」とかではなく、ファンとの交流を大切にすれば、ブランドを応援してくれる人が増え、それが企業の大切な資産となります。自社が困難に直面した時に支えてくれるのはファンだからです。
BtoBのファンづくりは繋がりをつくること
これまでの実績はBtoCが多いですが、対企業のBtoBでもファンづくりという意味では変わりません。但し、BtoBは購買プロセスが複雑で意思決定者が複数いる、感情ではなくロジカルな購買判断が求められるなどの特徴があるため、アプローチに調整は必要です。BtoBのファンの対象は、顧客企業であり、従業員であり、従業員の家族であり、外注先パートナー企業です。ユーザー同士を繋げる場の提供はBtoBにおいて極めて重要で、当社もクライアント企業間で繋がりをつくるために定期的に交流会を実施しています。繋がりができれば、あのツールはいいよとか、サポートがいいよとか、ファンが営業してくれるようにもなりますし、このような取り組みがBOKURA自身のファンづくりにも繋がると考えます。
おわりに
これまでもソーシャルメディアを中核にしたマーケティング手法に関して取材をしましたが、ファンに徹底的に焦点をあて、詳細に定量化までした例はありません。企業成長はファンに支えられているとわかっていても、定量性がなければ経営の意思決定に影響を与えることは難しく、そこへのあくなきチャレンジをインタビューにて強く感じました。この熱意がファンマーケティングをさらに発展させることを確信しました。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■広告などの一時的なマーケティングではなく、ファンの愛こそが企業やブランドを支えている。
■顧客を単に売上でランクづけするのではなく、多角的・定量的に評価することで、ファンの可視化が可能になる。
■SNSを正しく活用し、個別のコミュニケーションを惜しみなく行なうことで、ファンの心を掴むことが大事。
株式会社 BOKURA についての詳細は、こちらでご覧いただけます。
https://bokura.biz/
※所属及び記事内容は、2024年1月当時のものです。
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