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ブランディング NEW2024年1月10日

企業のビジョンとBtoBブランディング① 「わたしたちは何を目指すのか」を具体化し 企業文化の醸成へと導く

 企業は、当然ながら目的があるからこそ存在しています。企業活動は、何をすることで目的を果たせるのか模索しながら継続していきますが、目指すべき姿を明文化したのがビジョンとも言えます。例えばフジプラスグループは「変化を楽しみ、時代に求められる、永遠のベンチャーマインド企業へ」と、掲げているように。企業として社内外に発信することはもちろん、わたしたちは、働く全メンバーが、ビジョンを正しく理解し、企業文化としてしっかり定着させるまでを意識しています。  ビジョンはその性格上、総論的な抽象表現になることが多く、具体的に何を意識して、企業文化として育てていくのか?どのようにブランド力を高めていくのか?と疑問に思われるかもしれません。そこで今回は、経営とブランディングの関係を理解する「入り口」部分をお伝えしていきます。

なぜかまかり通る虚構 ビジョンと実務は別モノ?

 「書かれた内容は納得できるけど...」「きれいごとに聞こえてしまう」「だいたいどこの企業も同じようなこと言ってる」等々、企業の掲げるビジョンに対する辛辣な意見も耳にします。多くの企業が自社の公式サイトにビジョンを掲げていますが、目指すべき姿を表現するにあたり、最大公約数的に絞り込んだ結果、図らずも「よくある文言」が並んでしまう現象も見られます。経営者や経営層を中心に苦労して作ったとしても、正しく伝わらなければ意味がありません。ここで、よくある誤解を 解いておこうと思います。文面としてのまとまりを意識するため、いわゆるスマートな表現になっているケースも多いですね。ただし、ビジョンは「見栄え重視の看板」ではありません。言葉の根底にある「思い」を正しく結びつける本質的理解が必要です。「ビジョンでこう言っているけど、実際は違う」と言う人がいるとしたら、正しく解釈できていない証拠なのです。ビジョンを分解し具体化してはじめて、実務に必要な視点にたどり着くことができますので、それを元に自分が仕事で担っている役割を見据えて落とし込んでいくプロセスこそが重要なのです。その検討や熟考なしに、言葉の表面だけ捉えてしまうと、誤解が生じます。ビジョンの考え方を実務に活かすのが、あるべき姿なのです。

BtoBのブランディングは見えにくい? 伝わりづらい?

 もう一つのポイントはこうです。一般的にBtoCでのブランディングは想像しやすい一方で、BtoBの場合は「わかりにくい」と言われがちです。一般消費者対象のBtoCのブランド戦略は、その性質上、日常生活の中で体感する機会も多く身近です。コンビニに入れば「今日から〇〇キャンペーンが始まるのか。最近、若者向け企画が多いな」、ファストフード店で「あれ?健康志向メニューが増えてる」と気付くなど、現状のメインターゲットとは異なる層向けブランディング戦略等も、比較的容易に消費者に伝わります。  一方BtoBの場合は、概ね企業同士の商談の中で、商品購入やサービス利用が決まるため、ブランディングの介在余地は限定的なのでは?との意見も耳にします。確かに、決定権は経営層にあるため、「経営層の心に刺さるものを狙えば良い」との考えに至る理由もわかりますが、実は、経営層の選定基準自体も多様化しています。商品やサービスのクオリティは大前提ですが、営業担当者との信頼関係やコスト面等の従来型要素に、社会的責任やコンプライアンスなどクリアすべき条件が加わりました。最近は、こうした背景も手伝って、価値観の変化と共にBtoBブランディングへの注目度も上昇傾向。つまりBtoBビジネスにおいて、ブランディングが企業の成長のカギを握るという認識と共に、実践のための環境が整ってきた、とも言われています。

架空企業の例から考える1 自社のビジョンを正しく理解することから

 都合上、架空のフルーツの卸専門会社を例に説明します。フルーツの魅力を広めるとのミッションを掲げるα社は、スーパー、百貨店、食品加工メーカー、レストラン、カフェ向けにフルーツを販売しています。最近刷新されたα社のビジョンは、「フルーツで笑顔あふれる世界を作りつづける」というもの。人事担当者Aさんが、新規採用のための企業説明会で学生と話をするにあたり、自身も改めて理解を深める必要を感じ、ブランドマネジメント全般を担うBさんと打合せしました。

●α社が言う「笑顔あふれる」は、「主食でもおかずでもないけれど、心も豊かにするおいしいフルーツを食べて笑顔が生まれ、幸せを実感できている」状態。これを軸に企業としての理想像を探る。

 α社が目指すのは、納品先を通じてフルーツや加工品を食べた消費者に「おいしい」と実感して笑顔になってもらうこと。ここまではAさんも説明できますが、それ以上の解釈に自信がなく、説明会で質問される場合に備えて、確認したい点でした。Bさんの説明により「笑顔」を創出する対象は、α社の事業をフルーツの安定供給で支える生産者や取引先も全て含むと理解しました。国内外を問わず、フルーツを通じて笑顔あふれる世界が生まれ、好循環し続ける仕組みを作ることが重要なのです。

架空企業の例から考える2 基準は「世の中全般に正しく伝わる」価値提供

 α社は取引先だけでなく広く世の中にメッセージを発信します。お米のような主食でもなければ、肉や魚のようなおかずでもないフルーツの、どんな価値に注目し、どう定義するかで、事業への評価やブランドイメージも大きく変わります。AさんはBさんとの会話の中で「生きるための栄養源でなく、味や見た目の効果も加わり心の満足をもたらす嗜好品の一種」という定義に共感しました。贈物としてのフルーツ、美しく加工されたケーキやジャムを想像すればわかりやすいお話です。

●フルーツは、プチ贅沢にも欠かせない食材。特別感のレベルは、どこで何を食べるかでグラデーション的に多様だが、フルーツを食べる「口福感」が「幸福感」に結びつくという情報発信が重要。

 フルーツは人間が生きていく上で必須かと問われるとそうではないものの、人生には適度な「余白」も必要です。Bさんから「その余白に収まる食べ物がフルーツだとしたら、当社が担う役割も明確ですよね?」と言われハッとしたAさん。「既に事業として扱っているものを、改めて定義付ける発想はなかった」との正直な感想は、BtoBの「ブランディング迷子」になった時のヒントにもなります。企業としてこう見られたい、こう評価されたい、という理想に近付くために必要なプロセスなのです。

[終わりに]

 BtoBのブランディングで、まず大切なのは、自社が目指していることを正しく理解すること。これが大前提ですが、そこに至るために欠かせない大切なものはズバリ「会話」です。経営層から組織としての表明があり、しかるべき部門の責任者から「当社のビジョンはこうで、これはこういう意味です」と説明があるのは当然なのですが、そこでストップしてしまうと「ブランディングはお飾り」という間違った解釈が独り歩きする危険が生じるわけです。日頃から仕事に取り組む上で、各部署のチーム単位で語り合える環境があれば、たとえ誤解があったとしても、早めの軌道修正が可能となります。もっと言えば、ブランディングを「カッコ良く見せるもの」と捉えていた場合、企業文化を醸成していく以前に足並みが揃わず苦しむことになります。文化の醸成は並大抵のことでは実現できませんが、企業として何に向かって何を目指しているのかを正しく理解し行動することが、結果として働くメンバー自身の自尊心や達成感につながっていくのは確かでしょう。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■あらためて「ブランディングは経営と直結しているカテゴリー」という認識が重要。
■ビジョンに根差した方向性への理解が進むと、BtoBブランディングにも効果がある。
■「定義付け」と「会話」で事業への理解を深め、未来に向け企業文化の醸成に努める。

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