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ブランディング NEW2023年1月11日

企業も個人もブランディングの時代② 「こうありたい」「こう見られたい」実現への道のりは険しく遠いもの

 企業のブランディングに関しては、様々な誤解やカンちがいがはびこっている、と言ったら言い過ぎでしょうか。どうしても、BtoCの一般消費者が商品に対して思い描くブランドイメージの話が中心になりがちです。以前ふれたように、個人を引き合いに出すと、話の糸口としてわかりやすいので、今回も随所に例えを散りばめてお伝えしていきます。タイトルにあるように、「こうありたい」「こう見られたい」は単なる願望であり、願望を叫び続けたところで、すぐに世の中が認識してくれるほど生易しいものではありません。企業が広く世の中にメッセージを届け続け、「そうだ、確かにこの会社はこうだ」と認識してもらうには、元々備わっている「目に見えない価値」を可視化し続け、共感・納得を引き出す工夫の継続が欠かせません。こうした課題を含め、さっそく深堀りしていきましょう。

「イメージ」という幻想と正しい行動の狭間で

 かつて、お客様との何気ない会話の中で、「会社のイメージって、最初に出会った社員の方で決まりますね」と言われ、思わずハッとして背筋がスーッと伸びました(姿勢を正すとはまさにこれです)。良い意味でのコメントでしたが、逆の場合も起こり得るわけで、以来、常に心に留めています。個人に置き換えると、全国展開するブランドのイメージも、利用する店舗スタッフの対応に大きく左右される、というようなお話です。企業としての情報発信や広告・広報活動によって、そのブランド自体に好印象を持っていたとしても、店舗で残念な接客だったら、その場で買うのを躊躇するだけでなく、イメージダウンによって、ブランドへの興味が急速に失せる可能性もあります。
 企業で掲げるビジョンのように、明文化された目標があれば、実現のために社員(※様々な立場を含め広く従業員という意味合い)が果たすべき役割にまで落とし込めていれば、だれもがやるべきことの軸を意識し行動できるため、ブランドイメージはブレないはずです。「目指すべき方向性を正しく理解=判断基準の明確化」であり、自信を持って自ら判断するという思考自体が、日々の仕事への向き合い方に影響するのです。

見たくない現実とも向き合う覚悟が必要

 苦手なこと、弱みについては、真正面から受け止めるには覚悟が必要ですね。例によって個人に当てはめ、自分の短所を近しい人から指摘される場面を想像してみましょう。どんな言葉でも受け止める覚悟で腹を括ったとしても、マイナスなことをズバッと言われたら、落ち込んだり、通り越して怒りがこみあげたり、感情がブレにブレてしまって大変でしょう。
 ただし、企業が自らを正しく理解するには、「外」からの意見が不可欠です。自分の姿を直接自分の目で見ることはできないので鏡に映すのと同じく、何かを介在しない限り認識できません。重要なのは、お客様や協力会社など、日頃からお付き合いのある方の視点です。組織の中にいると、見ているのに認識できないことも多々あります。特に長年組織に属していると、客観視すら難しくなります。指摘されたことが非常にシビアな内容でも、目を背けないことです。自分の姿を鏡に映してまじまじ見つめるのは、コンプレックスの再確認のようで嫌ですよね。よほどのナルシストでない限りつらいですが、組織も同様で、認識しつつも見て見ぬふりをして先延ばししてきた課題も含め、全身で受け止める必要があるわけです。

カンちがい事例1 私たちこうです!の宣言も「入り口」に過ぎない

 一般的にブランディングは、「方法論」やスペシャリストのノウハウを参考に、自社を現状分析して方向性を絞り込みます。担当者としては、まずインナー的動きから固め、整理した上でアウターを加え、結果的に同時進行となりますが、経験してわかったのは、慎重になるほどに、図らずも自らトラップを仕掛けている心境に陥ってしまうこと。(肌感覚思考の穴に落ちそうになる=トラップと表現)。準備だけで熱量が相当高まり、スタート地点である種の達成感を感じてしまう現象です。

●最初から完璧を目指しすぎると、客観的視点を見失ってしまい正しく判断できなくなる。伝えたい層に「認識」「理解」してもらうため、優先すべきことは何か?という軸から離れないことが肝心。

 当たり前だと頭では理解できているはずなのに見失いがちなのは、情報発信にしろリアルな行動にしろ、純粋に「アクションとしての入り口(=初動)」でしかない、ということ。具体的反応については、定量データを集めての検証は難しいカテゴリーなので、お客様や取引先、協力会社、さらには家族や友人へのヒアリングも参考に、次になすべきことを仮説として導き出すのも1つの手法です。「継続は力なり」を実感するためにも、小さなトライを重ねながら、簡単はあきらめないことです。

カンちがい事例2 自認している姿が「実像」とは限らない

 これはフィクションですが、ありそうな話として引用します。例えば自社のブランディングを話し合う場でのこと。Aさん「当社の強みは◯◯なので、集中的にアピールしよう」、Bさん「◯◯なイメージ刷新を狙って、斬新な方法で情報発信しよう」。内容はともかく、2人とも「自社=◯◯」の前提で作った自社像を眺めながら、無難にアイデア出ししているだけです。例えフラットに見ようとしても、在籍年数が多いほどバイアスがかかるため、2人の間ですら解釈に差異が生じているはずです。

●外部からの視点で見つめ直し、「実像」を捉え直すつもりで社内中を回って情報収集すると、必ず意外な発見がある。自ら可能性を狭め、誤解の上に自社イメージを構築することだけは避ける。

 「最初に会う社員がその会社のイメージになる」と言われた件のように、同じ企業でも、どの部門、さらには誰と接点があるかで印象も異なります。ただし、コーポレートブランディングの第一歩は、切り口や印象が様々だとしても、その行き着く先で「同じ感覚」「同じ空気感」を漂わせることができるかどうかです。プロセスや実現する方法、時間軸は違っていても、目指すものは同じだと広く理解していただくことが肝心。決して自分たちの思い込みによるイメージ像の押しつけではないわけです。

[終わりに]

 発信した結果、想定と異なるリアクションを得た際に、「こんなふうに受け止められるのか」とがっかりすることもあります。ただ、様々な反応を見て、何が伝わり何が伝わらなかったか、ギャップも含め、次のアクションの根拠にできるのは価値あることです。弊社でもアウターブランディングとしての発信後に、残念な結果であっても「気付き」は大切だと思いました。何しろ行動しなければ、幻想もしくは妄想レベルの「姿」を、自分たちの「実像」だと勘違いしたままですから。そんな誤解を下地にしたマーケティングを実践しても効かないことは、火を見るより明らかです。
 繰り返しになりますが、長期スパンで見ることは必須です。ブランディングにおいて短期間で見える成果は稀で、性急に「答え」を求めてはいけません。ただし放置するわけではなく、じわじわ染み出す成果を検証し、成果につながる具体案を出し続けることが大前提です。ブランディングをこれから進めていこうという方にお伝えしたいことがひとつ。正解の法則も既定路線もないので、組織に属するメンバー全員が自身の役割を理解できるよう工夫しながら、手探りでも前に進むことです。弊社は、「感動」を「つくる」ことを目指しています。全社全員の思い、価値創出の目的、お客様の反応を集めたら、共通項として「感動」がある、という理想形を求めて...。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■自社の検証も不十分なまま情報発信しただけでは、ブランディングの実践とは言えない。
■成果がはっきり見えないことを言い訳にせず、検証し根拠を探って挑戦し続けることが大事。
■コーポレートブランディングは、「外」からの評価によって姿を変えながら進化するもの。

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