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有意義な会議にはコツがある!③ 会議の「質」を高めるためのフレームワークのご紹介
前回「有意義な会議にはコツがある!② メンバー全員で「参加型」会議に変えるための発言や考え方の工夫とは?」では、傾聴姿勢からの5W1Hを使った質問方法、チャンキングやリフレーミングによる思考方法を用いた"気づき"の生み出し方について触れました。今回は、意外と基本こそが大事な「質」の高い会議を行なうためのフレームワークをいくつかご紹介します。
会議の生産性を高めるフレームワークOARR(オール)とは
OARRとは、Outcome(目的・成果・ゴールなど)、Agenda(議題・スケジュールなど)、Role(出席者の役割)、Rule(約束事)の重要な要素の頭文字をとったものです。どの企業も会議は定例化されているものの、会議の目的や話す内容が不明確であったり、単に集合するための会議、開催することが目的になってしまっている会議になっていたりすることが多いです。このOARRは、基本に忠実ながらも会議の生産性を良くする要素が凝縮されたフレームワークになります。
Outcomeについては、抽象的な表現だと目的がぼやけてしまいます。例えば「○○○について」だと、その会議の着地点、すなわちゴールが見えません。それよりは「○○○の採用可否について決定する」とか、「○○○の体制について案を作る」とか、具体的に何をするかを明確にしたほうがいいと思います。
次にAgendaについては、前述のOutcomeで明確にした目的をブレイクダウンした項目について、どの順で、どれくらいの時間をかけて進行するかを決めておきます。大事なのは、このAgendaが会議前までに必ず決められていてメンバーに共有されていることです。
その次のRoleですが、具体的に誰が進行させて、誰から意見を出してもらい、誰が決定者で、誰が記録を残すか、会議の進行をスムーズにさせるために大事な要素です。単発の会議であればまだいいのですが、定例会などでは特に記録は重要です。記録はその場で議論された要点をまとめるだけでなく、次回の論点に関係することもあり、会議を有効に継続させるためには欠かせません。
最後にRuleですが、これは意外と設定されていないことが多いかもしれません。例えば、均等に意見を言うようにするとか、発言の時間を長すぎないようにするとか、批判ではなく必ず代替案を提示し議論をするとか等になります。
多くのアイデア出しを可能にする「ブレスト」の思考法とは
ブレストとはブレインストーミングの略で、まるで嵐が起こるかのようにアイデアを出し、混ぜ合わせ、自由に意見を交わしながら新しい面白いアイデアを出すための方法です。よく耳にする手法かとは思いますが、実はブレストにはいくつかアイデアを出すための思考法があるのでご紹介します。
まずは「希望点列挙法」というものですが、これは"理想は?"とか"夢は?"といったテーマには沿っているものの現実を飛び越えて根本から異なる発想でアイデアを出していく手法です。奇抜なアイデアが生まれる反面、現実離れしすぎて実現困難な場合もあります。そこでもう一方の「欠点列挙法」を組み合わせると、出てきたアイデアを複合的に整理することができます。この欠点列挙法では、そもそものテーマに対しての "欠点" や "不満点" を挙げてアイデアを出すうえでの懸念点を出していきます。この対極的なアイデアを組み合わせることで、現実的ながらも新たなアイデアや着眼点を見つけることがあります。
他にも「マインドマップ」という発想法ですが、これは出てくるアイデアを放物線上に関連付けながら分岐させていき新たな発想に辿り着くことを目指す手法です。最初に何かテーマがあるとして、そのテーマの5W1Hの切り口から分岐を開始します。様々な角度から洗い出されるので、網羅的に思考を深掘りすることができます。また、一方で「KJ法」という手法もありますが、これは出てきたアイデアをグルーピング化して、論理的に意見をまとめるための手法です。無数に出てきたアイデアの中には、似通ったものも存在する場合もあるのでこのKJ法を使って取りまとめていきます。
もう1つ挙げるなら「なぜなぜ分析」と呼ばれる手法があります。これは挙げられているテーマや出てきたアイデアに対して"なぜ?"を5回以上繰り返すことで、深く掘り下げられた本質的な内容や結論を確認・理解できるようになります。これらの手法を上手く使い分けることで、多くのアイデア出しや現実的な絞り込みを最適化することができます。
参加者全員のモチベーションを最大化させる「すごい会議」とは
「すごい会議」は1970年代に米国人ハワード・ゴールドマンによって、コーチングをベースに開発された会議の方法論です。これをライセンス契約した大橋禅太郎氏の手によって、書籍を中心に知られることになりました。このフレームワークには、いくつかの手順やルールがあり、準備物としてホワイトボードや付箋、模造紙などを用意します。
手順についてですが、大まかには ①テーマに沿った各自のゴールを決める(理想を挙げる・良い結果を挙げる)、②問題点を挙げる、③問題点を絞る、④事実を挙げる、⑤解決方法を挙げる、⑥解決方法を絞る、⑦解決策を実施する、といった流れになります。これだけだとごくごく一般的な課題解決フローに見えますが、特に②~⑤を挙げる際に"言い換え"を行なうことで問題そのものを解決に向けて着手する(考え始める)キッカケを与えることができます。例えば「○○○という課題がある」と言った後に「どうすれば○○○を解決できるだろうか?」と言い換えるのです。そうすることで少なくとも発表者にとっては自分ごと化されたテーマとなり、解決に向けて心も身体も動き始めるようになります。
なお、ルールについてはいくつかあり、例えば書いた付箋を発表者は必ず"読み上げる"のみ、司会者も聞いた発表に意見を言わず淡々と進行させるというものです。他にも、会議に遅刻をさせない、アイスブレイクとして甘いお菓子や飲み物を用意しておく、全体時間や時間配分を決めておく、などがあります。
※「すごい会議」の詳細 → https://www.sugoikaigi.jp/
様々な会議のフレームワークについてご紹介してまいりましたが、会議の「質」を高めるために押さえておくべきポイントに注目していただきたいと思います。このちょっとした型に当てはめるだけで、会議の「質」は大きく変わることでしょう。そしてこの「質」をコントロールするのは、参加者全員が迷子にならないようにゴールの意見集約~合意形成まで辿り着かせることができる、会議の進行役のファシリテーターこそがカギを握るのは言うまでもありません。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■OARRは会議の生産性を高める基本形であり、ゴールを明確にして進めるためのフレームワークである。
■ブレストは単に自由にアイデアを捻り出すだけの手法ではない。アイデアを広げる希望点列挙法やマインドマップ、アイデアを集約する欠点列挙法やKJ法、アイデアを深掘りするなぜなぜ分析などがある。
■「すごい会議」は、目的を達成するためにも参加者全員のモチベーションを上げ、難しいことでも「どうすれば出来るか?」という思考に切り替えるキッカケづくりに有効。
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