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これって「常識」?「当たり前」を疑うことで見えてくる② 目的達成に最短距離を求めない思考!答えは試行錯誤の向こう側にある
連載①では「変化」の受け止め方について、心の動きを起点にいくつかお伝えしました。今や業種に関わらず、ビジネス展開する上での様々な「変化」に直面しておられる方がほとんどだと思います。そこで今回は、もうひとつ掘り下げる格好で、ビジネス現場で起こりがちな事例を参考に、何か新たな取組みを始めるにあたって、どうしても「お手本」や「バイブル」を求めがちな背景や心理を紐解いていきます。人はだれしも、「こうすればうまくいく!」という最短距離での成功への道を求めてしまうものですが、ここに落とし穴があることも。さらに、「こんな時は、こうすべき」「こういう場合は、こうなるはず」といった、単なる思い込みや誤解、過去の経験による「常識」の記憶が、本来たどり着くべき選択肢への扉を塞いでしまうことだってあります。アップデートが必要な「常識」を検証しながら、必要とされる着眼点や思考方法を中心にお伝えしていきましょう。
ついつい「絶対的お手本」を求めがち
まずは想像してみましょう。社内の事案でも、お客様対応でも構いません、何か新たな取組みを任されたとします。ただし、社内で相談できる人がいない内容という前提です。まず思いつくのはネット検索でしょうか。キーワードからヒットした情報を順番に見ていき、コレ!という情報をキープしつつ検索し続け、数を絞り込みじっくり検討。内容にもよりますが、「ベストな方法で一気に進めたい」のが本音でしょうか。予算が十分な場合、専門の会社に外注!という方法もありますが、その選択肢は無しとすると、最も信頼できそうな情報を仮説的に「答え」として設定したくなります。進め方の目途をつけたいし、上司への報告書提出が迫る状況下にあると、書かれている内容が自分たちに当てはまっていると感じがち。思い込みからの錯覚には要注意!また、ベストセラーや評価の高い書籍を読んで安心するパターンもありますよね。時代を超え普遍的事実として支持される内容もありますが、基本概念や土台となる知識の話。鮮度が命の具体的戦術に関しては、現状に合わないことも。「絶対的お手本」を求めるあまり、目の前で起きている事実を見失うことがないよう、目的に合わせた判断基準を持っておくことが重要です。
スマートさだけを求めない!答えはひとつじゃない
じゃあどうすればいいの?という話ですが、最小限の労力&最短距離でたどり着くべき!という発想を疑ってみます。「え?効率化や、生産性アップは大切でしょ?」と思った方、ごもっともです。ただこれも、到達目標地点へのマップがあり、経路が見えている場合に限った話。それ以外は、一か八かの賭けのような状態に陥る可能性があるのです。効率的かつスマートな施策は理想ですが、勢いだけで目指してもうまくいかない。必死で下調べして目標を絞り込み、到達に至るマップを作り上げ、明確な道筋を描いてこそのスマートさだったりします。見える所で効率化できているのは、見えない所で想像以上の努力を積んでいる成果だと考えるべきかもしれません。
効率を求めすぎると、失敗した時に「言われた通りやったのに」と思いがち。絶対的に正しい答えは絶対にないと承知しつつ何とかなる!と突っ走ったところで、期待した結果が出なくて当然です。環境やタイミングなど条件が違えば、同じようにはいきません。要領よくやろうと意識しすぎてスルーした事柄はなかったか?実情に合わせて調整したか?効率化のつもりが手抜きになってなかったか?振り返って初めて見えてきます。正解もひとつではない前提で、実情を把握しながら課題抽出を行います。「初めて」の何かに臨む際は、新人もベテランも関係なし。等しく謙虚な気持ちで準備が整うかどうかが結果を左右します。ここで、思い込みや誤解の罠にとらわれてしまった事例から、有効な考え方をおさらいしておきましょう。
常識を疑え!その1 「ブログを始めたものの読者がほぼゼロでがっかり」
小規模の商社に勤務するAさん。営業部メンバーで話し合い、マーケティング戦略として「まず自分たちで出来ることからやってみよう」と検討した結果、「プロじゃなくても大丈夫!ブログで大成功」といった情報を参考にブログをスタート。部内で一番文章が得意なAさんが任され、何回か投稿したものの、アクセスもほぼなく自信喪失。成功事例を参考に文章を書いているのに、何がいけないのかと自問自答。さっさと諦めてほかの対策をすべきでは?と弱音を吐き始めている。(※わかりやすく伝えるためのフィクションです。以下同様。)
●「コンテンツを公開すれば読んでもらえる」は幻想。すぐに結果が出るという過度の期待、思い込み、誤解は禁物。やり切る前に諦めるのもNG!まずは、コツコツ投稿し続けコンテンツ数を増やすことに集中する。
「読んでもらえない=文章力がない」とは限らないので、早合点しないことです。いくつか要因があるはずですが、その前に「発信すれば何か反応があるはず」という発想とサヨナラしましょう。一定数コンテンツが出揃うまでは、検索でそう簡単に引っかからないと肝に銘じること。想定ターゲットにふさわしい内容か?目的に適したトーン(文体も大事)か?など仲間の意見を取り入れながら確認・検証し、ああでもない、こうでもないを繰り返し、自分たちの答えを探し求める歩みを止めないことです。
常識を疑え!その2 「DMを送ったが反応が薄すぎてがっくり」
メーカー勤務のBさんの発案で、「顧客との接点拡充のため、紙DMを送ろう」ということに。ここ数年、メーリングリスト宛てのメール配信のみだったため、別アプローチを考えた結果でした。ただし若手のBさんはDM送付対応経験がなく、上司の助言通り過去のリストに掲載されている全員宛てに、同じ内容で送る一番シンプルな方法で実施。「DMを送ればある程度成果が出るはず」という誤解(情報・理解不足)もあり、目立った反応がない状況に戸惑っている。(※わかりやすく伝えるためのフィクションです。以下同様。)
●一般的なDMのレスポンス率を知り、そんなに低いの?と感じるのは担当初心者あるある。さらに「数年ぶりのDM=リストが古い」ため、1回完結の企画はそもそも難しい。段階的対応のシナリオが必要。
久々の紙DM送付の成果を期待する気持ちもわかりますが、好条件が重ならない限り奇跡は起きません。リストが古ければ、返送される割合も高くなるので尚更です。反応が芳しくなく「悲劇」としてとらえている状態は、正しい知識を得ていないがゆえの誤解。従って、知識を吸収しかつての「常識」をアップデートすれば解決できる問題です。そう簡単には事は運ばない現実を受け止め、リストの精度を高めてから改めてアプローチする等、対処方法はいろいろ考えられるでしょう。
[終わりに]
ゴールへの最短距離にこだわりすぎると、判断を誤るという話をしてきましたが、現実でもスマホで調べた近道が、実は急勾配の坂道だったなんて話もあります。ですから時には、遠回りに見える道を進んだとしても、歩みを止めず発見を楽しむことです。検証しながら、じわじわ答えを導き出せたら万々歳。とにかく最短距離で進むべし!の「思い込み」から脱出し、道なき道をものともしない柔軟な思考を身に付けたら怖いものなしです。変化のスピードも上がる一方の今、日々変わる情報をリアルタイムでチェックしながら、走りながら考えるのが当たり前になっていますよね。
目まぐるしく変化することへの対応を任された時、「お手本」や「バイブル」がないことを嘆くのではなく、過去の知見に自分たちの経験から得た知識をプラスしてたどり着く達成感を想像してワクワクしましょう。正しくもがけば、必ず答えが見つかります。ちなみに、これは決して過去の遺産的な根性論ではありませんので、念のため。段階的に指標を設定し、見える化してやる気を継続させる仕組みを設定したうえで、あきらめずもがくことは大切だ、ということで話を締めくくっておきます。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■つい目的達成の最短距離を求めがちだが、「完全なる成功バイブル」など存在しない。
■泥くさくてもいい!理論と議論と実践の試行錯誤で、もがきながら答えを見つけ出す。
■あきらめない強い思いも、「知識の獲得」「別視点での気付き」による成功のモト。
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