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プランニング NEW2020年7月29日

コミュニケーション・プランニング発想って?④ 課題解決のためのプランニング思考はペルソナを活用したシナリオ設計に着地する

リサーチとヒアリングを経て集めた情報から、「必要な情報→価値ある情報→活用可能な情報」と、段階的に凝縮していくことでアイデアとなります。前回の記事について、「イメージがある程度見えている段階では、ヒアリングは、互いのモヤモヤした部分を取り除く、答え合わせ的なものに思えました」との意見もいただきました。企画目的は販促での成果ですから、脈絡のない単発的アクションを実施する発想ではなく、目指すゴールに向かってストーリーを書き上げるイメージです。その主役は、ペルソナとして明確にする必要があります。「答え合わせ」をしながら、主役がはっきりしたところから課題解決のストーリーが動き出します。

1. 情報からアイデアの輪郭が見えてくる?

 「パッと突然アイデアが降りてきた!という話は、都市伝説のようなものです。一部の天才を除けば、順序立てて情報を整理し、十分な検討を重ねて練り上げるのがアイデアです。その方法とはこうです(※下記資料1参照)。例えば、リサーチとヒアリングで得た情報A・B・C・D・E・F 6つの個別情報がある時、いきなり足し算発想はNG。情報のグループ分けをして組合せる掛け算発想で、見える景色が変わります。6つのうち、主たる要素と補足的要素に区分けした結果、前者がA・B・C、後者がD・E・Fだと判明したとします。さらに前者と後者で関連付けできる情報を組合せ、[A×D]、[B×E]、[C×F]という3つが抽出できたとすると、これを根拠にストーリー展開していきます。3つの切り口を起点に考えると、販促対象のモノやサービスを最も必要としている(=解決すべき課題がある)人物像、つまりペルソナが浮かんできたら、はいできた!とはなりません。必ず検証は必要で、遡ってしっくりこない設定は、迷わず排除します。集めた情報を、掛け合わせて解決施策に昇華させ、慎重に検証して判断する、という一連の流れがあってこそ、アイデアが生まれるというのが現実なのです。

2. ペルソナが頭の中で勝手に動き始める?!

 これから販促シナリオを設計しようとしている段階で、まずは、モノやサービスに関する情報をどのような人に届けるのが効果的(つまり、関心を示してくれる、買ってくれる)か、という視点が欠かせません。販促対象のモノやサービスについて、情報発信すべき人物像(ペルソナ)を明確すると、基本情報(属性や名前等)が決まってきます。続いて、そのペルソナが日常生活を送る姿を頭の中で想像し、命が吹き込まれたように生き生きと動き出してくれたら、それは正しい設定である証拠。「こんなライフスタイルかな」「こういう趣味かもしれない」「家族で過ごす時間を大事にしてそう」等々、浮かんだイメージを挙げていきます。そうして設定できたペルソナには、とことん付き合ってもらいます。そのペルソナが解決したいこと、そこから得る幸せとは?という課題の芽から、共感ポイントが見えてきます。関連キーワードからは、そのペルソナに「効く」コピーやアプローチ方法のヒントまで!ちなみに、ざっくりしたペルソナ設定だと、確実に行き詰ります。BtoBでもBtoCでも同様です。例えばBtoCの例で、同じ年代の女性でも、既婚か未婚か、働き方のスタイル、居住エリア、好きなブランド等々、ライフスタイルの詳細に踏み込んでおかないと、生活イメージが思い描けず、後の具体的なステップに進めなくなる事態に陥ってしまうように。

3. シナリオ設計には、「仕組み」が欠かせない!

 続いて、設定したペルソナに向けた具体的なシナリオ設計ですが、まずやるべきことは、対象のペルソナにどんな行動をとってほしいかの絞り込み。どんな状態を「成果」とみなすか着地点を明確にしてから、ペルソナを導く「仕組み」を作っていきます。着地点へと向かう行動のためのフックを意識して、「どんな課題を解決したくて、その商品に関心を持つのか」という視点が大切です。また、購買意欲にストップをかけそうな要因への対策も欠かせません。先回りして解決するコンテンツを作成して納得感に導く、「仕組み」で購買意欲を高める方法です。解決したい課題(悩み)が違えば、「効く」コピーもデザインも違うのは当たり前なので、極論を言えばひとり一人にふさわしいツールが必要ということに。もちろん、コスト面等の条件もあるため、実際には個別化された販促ツールは一部に限られます。いずれにしても、対象のペルソナにとってわかりやすく、かつ魅力的なストーリーのバックには、「良いシナリオ」があるのは紛れもない事実です。

 ここで、店頭POPや什器のリニューアルで売り上げアップを目指すコスメシリーズという想定で、事前調査により次の基本情報に当てはまる2種類のペルソナに絞ったとします(※上記資料2参照)。①「20代後半・実家暮らしの独身女性・会社員」、②「30代後半・既婚/子あり(5才・9才)・会社員(フルタイム)」。同じ商品を必要とする女性でも、属性やライフスタイルにより動機も違います。①は、鏡に映る自分の疲れた顔を目にし、会社帰りにコスメのセレクトショップでじっくり比較して購入し、寝る前にケアする姿が浮かびます。②は、働くママとして日々忙しいためケアがおろそかになり、仕事帰りに駅ナカショップでサッと買って帰り、隙間時間に時短ケアのイメージです。この時点で、①と②の訴求ポイントの違いは明白です。さて、ここで何に注目しますか?シナリオ設計とは、対象のペルソナに対し購入への道筋を作ることなので、店舗形態や所在地によって異なるペルソナを想定した「メインのペルソナ別展開」も、ひとつの考え方です。①の心を動かすコピーは?目につきやすい什器デザインは?②は時間切れで店頭で決心できない場合を想定すると、什器やPOPにQRコードを載せ、スマホで読み取るECサイトへの誘導案もありでしょう。ペルソナが具体的に見えていて、「購入」という着地点が明確であれば、ペルソナの行動をイメージしながら、「こうすればいいかも」発想を繰り返すことで、こんなふうにアイデアを広げていくことができるわけです。

[終わりに]課題解決のためには検証と継続が肝心

 設定したペルソナに向け、「これは絶対いける」と見込んだ企画でも、期待通りの結果につながらないことも。リサーチや調査データに基づく詳細な分析を経てもあり得る話です。ご存知かと思いますが、消費行動は理不尽なもの。商品選択のメカニズムは数値化しにくく、予測に反する気まぐれ行動も少なくありません。きつねうどんを食べようとうどん屋さんに入ったのに、匂いにつられてカレーうどんにした、というような経験はありませんか?それでも、シナリオは重要です。正しく分析し、結果を精査し、把握できた事実を次に生かすことで精度が上がるのも事実。大切なのは、続けることなのです。人は、日々様々な情報に囲まれて生きています。また、生活・行動様式にも影響するような自然災害や感染症等、決して喜ばしくはない出来事も増える中、消費行動は複雑化の一途。そんな中、タイミング良く、必要な人に正しい情報発信できる価値はむしろ上がっていきます。常に「常識」をアップデートしながら、だれのどんな課題を解決するための情報発信なのか、を考えること。それが唯一、シナリオの「正解」へと近づく方法だと思っています。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■まずはリサーチやヒアリングから得た情報をもとに、丁寧にペルソナを設定することから。
■ペルソナをシナリオ通りの行動に誘導するには、わかりやすく魅力的な仕掛けが不可欠。
■これからは、本当に必要な情報を、必要とする人に届ける価値がアップしていく時代。

【ご注意】
コミュニケーション・プランニングとは、フジプラスが独自に用いている造語であって、一般に認識された用語ではありません。対話を通じて様々な要素を引き出しながら企画提案を行い、お客様の課題解決をしていく手法を、こう名付けました。

コミュニケーション・プランニング発想って?⑤へつづく

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