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プランニング NEW2020年9月30日

コミュニケーション・プランニング発想って?⑤ 設定したペルソナに「効く」施策を導くコツは エンドユーザー視点の日常感覚を磨くこと

前回は、ペルソナを活用したシナリオ設計の話でしたが、「情報収集はもちろん、いかに適切に情報整理できるかが肝心だと納得できた」という意見もいただきました。そこで今回は、この続きとなる施策の実施段階に着目します。情報を集約・整理してせっかくペルソナを導き出しても、発信メディア、販売チャネル、訴求ポイント等、トータルでふさわしい施策が実施できなければ、効果を得られず終わってしまいます。理論上はこうだ、数字ではこうなるはず、という客観的な分析も大切ですが、それだけでは通じません。何しろ、相手は感情をもつ人間なのです。それぞれのペルソナにふさわしい訴求方法をどう考えていけば良いのか、具体的に解説していきましょう。

1.コンテンツから着想!ペルソナ別施策アイデア

 これからお伝えするのは、簡単に言うと、「設定したペルソナに、どんな情報を、どんな方法で、どんな形で、どんなタイミングで、どのように発信すれば反応がありそうかというお話です。数多くのアイデアパーツが集まったとしても、組合せ次第では効力を発揮できません。想定したペルソナにベストな組合せを考える段階が、プランナーにとって「山場」であり「見せ場」とも言えます。
 そこで今回は、「あるブランドオーナーが既存顧客・新規顧客共に、今後の販促企画を考えたい」想定とします(※架空の話)。ヒアリングを経て取材した結果、健太さん、美咲さん、大輔さん3名のペルソナが浮かび上がりました。身近な感覚で「なるほど」と思っていただけるよう、BtoC事例として地方都市にあるカフェ併設のコーヒー豆販売店(実店舗からスタートし、自社ECサイトでの販売を伸ばしたい)の設定です。取材を経て、ショップ紹介、商品ラインナップ、豆の種類・特徴、売れ筋(人気)商品、店主のこだわり、コーヒーの淹れ方のうんちく、フードとのペアリング提案等々のコンテンツがすでにある状態として、これらの「素材」をどう「料理」して実践に活かすのか、順を追って説明していきましょう。

2.「効く」施策づくりに不可欠なペルソナの検証

 この架空のコーヒー販売店については、先ほどふれたように、今後の販促に向け、ひと通り取材して7つのコンテンツにまとめた状態にあります。それぞれの内容が、設定した健太さん、美咲さん、大輔さん、どのペルソナの心に響くのか?という切り口から考えていきます。(※下記資料1参照)

 健太さんは、首都圏在住の32歳独身男性、会社員。以前購入した際に会員登録済(既存)。トレンドチェックも欠かさず、日頃からネットでの購入も多めで、時には地方のこだわりの味をお取り寄せするタイプ。コンビニコーヒーも飲むが、家ではちょっといい豆のおいしさを楽しみたいと思っている。この場合、商品情報や人気ランキング、豆の詳細情報、ファンでもある店主のコメント、食べ物との相性が気になるだろうという予測で、健太さんにとって価値ある情報はとなります。
 美咲さんは、関西在住の27歳独身女性、会社員。これまでお店の存在を知らなかった(新規)。リモートワークになり、以前の「会社帰りにカフェ」習慣から「おうちカフェ」にシフトし、スイーツと共に楽しむように。コーヒーカップや雑貨を買ってスタイリングにもこだわる。家で過ごす時間が多 くなり、気分転換のSNSチェックも以前より増えた。健太さんと同様に検証すると、美咲さんにとって価値ある情報はとなります。
 大輔さんは、地方都市(お店のある地元)在住の43歳既婚男性、自営業。これまでお店の存在を知らなかった(新規)。いわゆる「コーヒー飲み」で、あえて手動ミルを愛用し、自らハンドドリップで淹れるのがお気に入り。スタートはネット検索でも、買うものはお店で会話しながら決めたいタイプ。同様に検証すると、価値ある情報はと予想できます。

3.ゴールまでの動きを正しく集約しておく

 それぞれに価値ある情報が抽出できたら、情報キャッチの段階からゴール(商品購入)までの経路を予測し、実行すべき施策を明確にしておきます。
 まずは健太さんから。直接リーチできる会員情報があるので、会員向けメール配信もひとつの答えです。存在を思い出してもらい、再度興味を持ってもらい、興味を深掘りするブログからECサイト(売り場)へ誘導し、会員向けの限定割引等のオファーで最後の一押し。限定割引という「おもてなし」に感した記憶によって、ブランドイメージ・アップの効果も得られますね。
 美咲さんは、リモートワークという環境変化により、新規開拓対象として急浮上したペルソナです。SNSから情報入手する機会が多かったり、画像や動画で直感的に理解すると行動につながりやすかったり、SNS用に自ら写す写真の演出にもこだわったり、日々の生活を細かく分解することでふさわしいストーリーが見えてきます。SNSから、画像・動画も豊富なLPを経てECサイト(売り場)へ誘導し、会員登録での初回購入特典で最後の一押し。「一緒にスイーツも買える」というわかりやすい訴求も忘れずに、といったところです。
 大輔さんのように、知識も豊富でリサーチにも余念がなく、情報収集はネットを最大限活用しつつも、買う段階でまず人とのやり取りから始めたいペルソナには、店頭への誘導から。通うことで信頼関係が生まれると、ネット購入とのハイブリッド型に移行するケースも多いので、最終的にはECサイトでの売り上げアップにもつながるというストーリーです。

 このように考えると、だれに、どんな情報を、どんな方法で、どんな形で、どのタイミングで、どのように発信すれば、「買いたい!」気持ちに導くことができるか、答えが時系列で浮かび上がってきましたね。順番に考えていけば、自然と適切な方向性が見えてくるわけです。こうしてたどり着いた施策は、様々な要因によって一度に実行できない場合もありますので、予め特に何を優先させるか明確にしておくことも必要です。

[終わりに]コンテンツの活用とエンドユーザー視点の大切さ

 様々な施策を打ち出しても、すぐに答えが出るもの、時間をかけてはじめて答えに結び付くもの、様々です。何らか打ち出したあとの一喜一憂はだれもが経験ありでしょうがオリジナルコンテンツを最大限に活かし、効率的に展開していく方法が、これからのスタンダードだと思います。もちろん、今までもそうですが、いっそう強まるのは確実でしょう。何か一つの目的のためだけにコンテンツを作るというよりは、作ったコンテンツを複数のメディアで複数回発信する発想が一般化すると思います。かく言うこの『Idea4U』も、情報誌という紙媒体として展開してきましたが、2020年7月から『Idea4U+』としてオンライン上でも公開しています。定期的にご購読いただいている方とは違うニーズから、検索によってたどり着くコンテンツとしての役割がオンされた格好です。
 いずれにしても、エンドユーザーの気持ちを想像しながら、必要なことは何か?と考え、果たしてこれは本当に心を動かすのか?と迷った時は、必ず自分自身がエンドユーザー視点で考えてみることです。そこで「面白そう!」「買ってみたい!」と共感できたら、可能性ありです。共感して心が動かなければ、最終的な購買行動につながりません。共感できるかどうかが、全ての鍵を握っているとも言えそうです。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■コンテンツをうまく組み合わせて、ペルソナにふさわしい施策をコーディネートする感覚が必要。
■「売りたい」「買いたい」の間に必要なのは、価値ある情報をめぐる適切なコミュニケーション。
■エンドユーザー視点で魅力的かどうか検証すると、「効く」施策かどうかの目安になる。

【ご注意】
コミュニケーション・プランニングとは、フジプラスが独自に用いている造語であって、一般に認識された用語ではありません。対話を通じて様々な要素を引き出しながら企画提案を行い、お客様の課題解決をしていく手法を、こう名付けました。

コミュニケーション・プランニング発想って?⑥[最終回]へつづく

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