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ブランディング NEW2024年4月 8日

企業のビジョンとBtoBブランディング② ビジョンと共にあるストーリー 社内共有のカギは可視化にあり

 前回は、企業のビジョンを起点にしたブランディングの捉え方を、一般的に「見えにくい」「わかりにくい」と言われがちなBtoBのケースとして、架空の企業の事例を取り上げ解説しました。社外の方々から「こんなことが得意で、こういう人がいて、こうなることを目指している会社」だと理解してもらうには、まず自社のビジョンを本質から理解することが必須、というお話でした。社内での浸透を促すには、ビジョンを具体化して伝える「会話」の役割が大きいことを受け、今回も架空の企業事例を示しながら、社内共有のポイントを解説していきます。どんな対応手段があるのか、どんな発想が必要なのか、特に、リブランディングというステージで起こり得る現象もふまえながら見ていきましょう。

だれでも同じように説明できる それが究極の理想形

 大手企業では、BtoBでもブランディング部門の存在が定着した感はありますが、弊社のような規模感だと、近年設置した、あるいはまだ専門部署がない、というのが実情でしょう。部門横断メンバーがプロジェクト的に取り組むケースもありますが、BtoB企業にとってもブランディングの重要度が増すのは確かなので、社内での意識を高めるには、どんな取り組みが必要かつ効果的なのか、紐解いていきましょう。ビジョンとして掲げられた文面を読んだだけでは、単に「知っている」状態に過ぎません。繰り返しますが、「理解する」には、ビジョンの内容を咀嚼したうえで、自分の役割に落とし込む必要があります。さらに、自社のCI(ビジョン等のメッセージ発信以外にも代表的なものは、ロゴ、キャッチフレーズ、イメージカラー等)の浸透度合いによっても、社内で自社のブランディング情報を共有するのにふさわしい手段も異なります。まずは、社内のだれもが「CIが伝えたいのは、こういうことだ」と明確に言えることが重要です。その条件をクリアすると、自他ともに認めるブランド価値で勝負していくためのギアとなり、次のステップへと動き出します。

だれが何をすればいい?どうなるのが正解?

 別の側面にも着目してみましょう。BtoB企業のブランディングについては、社内の空気感として、考え方自体は前向きに受け止めるとしても、具体案に対しては、情報共有が十分でない段階では、一部違和感や反感のような 「ちょっとした抵抗」が生じます。あからさまな反対ではなく、言葉にはしないものの「一定の距離」をとられる感覚です。やはり、急な変化を積極的には望まない層も一定数あります。ただ、自社が向かう方向を正しく理解し前進する話ですので、連載①の最後にふれたように、社内で適切な方法で伝え、ビジョンとの関係等の背景を理解してもらわねばなりません。推進する責任者・担当者の動きに加え、最終的には上層部、経営層からの働きかけが重要です。
 経営層が管理職メンバーとビジョンについて語り、管理職が自部署メンバーに対し職位や理解度に合わせ解説することで、だれもが正しく理解し、そこから始まるストーリーをブランディングとして受け止めることができます。やがて「ブランディングの正解って何?」という課題と向き合う時がくるのも、成長過程にはつきものです。正解は一つではなく、しかも自ら作り出すものですが、客観的な目標は必要なので、「こんなふうに、これを達成します!」と宣言しておくのが理想。見えやすい、わかりやすい目安があると共感につながるものです。別角度からの自社分析は、リブランディングに相当すると言っても良いでしょう。そこで、引き続き「フルーツで笑顔あふれる世界を作りつづける」をビジョンに掲げる架空のα社の例を、若手社員によるプロジェクトチームが発足し、ビジョンからマーケティング戦略までカバーしブランド構築する企画をスタートした設定で解説していきます。対話から答えを導く姿勢で、2つの課題の検証例に注目してみましょう。

架空企業の例から考える1
「笑顔」の定義 その1 ベネフィット=安心感

 まず一つ目の議論は、「贈りものとしてのフルーツ」の価値について。最終着地点から遡る形式で議論しました。最終的な顧客(選んで買って贈る)側のベネフィットは、贈り先の方に「良いものをもらった」と感動をもたらすこと。関係先のヒアリングを経てメンバーは、正しい情報を伝える仕組みがないと気付きます。α社の納入先のショップが、その先の顧客に説明できる手段のことです。フルーツのおいしさと共に、そのフルーツにまつわるオリジナルストーリーも届けるツールに着目しました。

●「笑顔」を生み出すのは「安心感」という視点。贈り物として高品質のフルーツであることは大前提で、いかに安心安全な方法で生産され、感動的なおいしさに仕上がっているか、の解説が必要。(資料1参照)

 これまでは「フルーツをショップに供給する会社」という認識だったメンバーにも変化が。良い商品を届けることから始まる信頼の好循環サイクルを創ること。ビジョンに照らし合わせ、企業として達成したい理想像を思い描き、アイデアを言葉にしながらたどり着いた答えは意外とシンプルでした。資料としてストックしてある画像や動画を活用すれば、フルーツの魅力を伝える動画コンテンツを作れる!というもの。伝えやすい仕組みを作れば、良さを理解してもらえるはず、という視点でした。

架空企業の例から考える2
「笑顔」の定義 その2 ベネフィット=幸福感

 二つ目の議論は、「日常の延長としてのフルーツ」の価値を、同じく逆算方式で議論。認知度も上がり、カフェメニュ―のひとつとして定着した感もあるフルーツサンドや、新たなブームのフルーツパフェのリサーチを行い、カフェで楽しむ顧客のベネフィットは、おいしさの満足感は当たり前、写真をSNSにアップし体験を発信し、記録に残す楽しさに注目しました。自ら消費者目線で体験し、見た目だけじゃない、本当においしいメニューを楽しむ時間そのものが価値だと気付きました。

●「笑顔」を生み出すのは「幸福感」という視点。フルーツは見た目の華やかさを活かしたビジュアル的な発信で影響大。特別なフルーツを素敵に味わえるのはここ!という取引先とのコラボを想定。(資料2参照)

 消費者目線ということで、「お金を使いたくなる動機」という切り口から、フルーツが生み出す「価値」について、議論を重ねました。気分が上がる瞬間とフルーツの関係を突き詰め、心地良さを提供するカフェという空間で食べるフルーツ体験に注目しました。心にも効くメニューを前に高揚する感覚を得る意味を考えると、飽きさせないことが軸になります。フルーツのプロの知識を活用し、チェーン展開しているカフェとコラボしてSNSを使った魅力発信コンテンツの必要性に気付きました。

[終わりに]

 ビジョンの解釈を、具体的に分解して考えるプロセスを理解していただくために、引き続き架空の企業の例でお伝えしてきました。具体的な商品やサービスを通じて、自社のブランド価値を高めていくには、機能性由来の価値と、個性由来の価値を掛け合わせて抽出されたものと丁寧に向き合うことが欠かせません。ビジョンのメッセージを、「自分たちらしさ」の価値を具体化できると、ひとつの壁を越えたとでも言えますね。当たり前になり過ぎて気付かない価値もあったり、「自分たちらしさ」の検証や見直しの機会にもなるでしょう。
 ビジネス全般で、「ストーリーテリングが重要」と言われることも多いですが、ブランディングに関しても引用されます。何か伝えようとする際に、その何かを具体的に思い描けること、つまり可視化する過程が重要なのです。共感を通じた理解(しっくりくる感覚)にたどり着くには、まずストーリーテラーが必要ということでしょう。自社のビジョンを「自分たちらしさ」と結び付けて、進んでいけることが理想ですね。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■社内で価値を共有できてこそ、社外から正しく理解され価値を評価してもらえるようになる。
■ブランディングに関わる当事者が、ビジョンを可視化し伝えやすく「整える」ことが重要。
■自社らしさとは何か?の問いに、だれもが同じように答えられる状態になるのが理想。

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