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「使いやすさ」を考え「体験」を設計する UI/UXの重要性から見る これからのモノとコトの関係性について
UI/UXの重要性について
UIはユーザーインターフェース(User Interface)、UXはユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略であり、UIは商品やサービスと利用者を繋ぐ接点のこと、UXは利用者が商品やサービスを利用した際に得られる体験のことです。これらの重要性は、ハードやソフトが多くなるにつれて求められるようになり、様々なサービスが増えることでその重要性はさらに高まっております。
日常生活に関わるUI/UXを見てみると、例えばコンビニのコピー機は日に日に利便性が高まっています。単純なコピーだけでなく、データプリントや宅配便の配送手続き、コンサートのチケット発券など、実に多くのメニューを持っています。他には、公共交通機関の券売機も多機能になっています。元々は自社路線の切符販売から始まっていますが、他社連絡切符や定期券の販売、ICカードのチャージなどにも対応しています。以前は窓口対応が中心だった特急券なども券売機での手続きに対応しており、いまや座席の指定も画面を見ながら簡単にできるようになっています。
他にも、銀行窓口とATM、スーパーのレジでの支払い手続きとセルフレジサービス、テレビ・エアコン・掃除機などの家電もごく普通のものからIoTで制御できるものまで、私たちの生活環境には実に様々な機能との接点があり、そして新しい体験が生まれています。これらのUI/UXは、当然ながら私たちの生活をより便利で快適にするのですが、一方で機能が増えれば増えるほど操作が複雑になり、使いにくくなってしまうこともあります。
このUI/UXの重要性を決定的にしたのは、インターネット接続によるオンラインサービスの登場です。これまでは固有の装置による個々の操作性に影響されてきましたが、いわゆるオンラインサービスは、PCとインターネット接続したブラウザによる操作性が重要です。そして、その奥行きをさらに深めたのが、2007年のiPhoneのようなスマートフォン、さらにはタブレットの登場です。特にタブレットは、小売店舗の会計レジ、飲食店のオーダー、工場の作業現場でのデータ管理など、今日では実に多くのシーンで取り入れられており、まさに画面の中の操作性がUI/UXの良し悪しを大きく左右していると言っても過言ではありません。
UIを構成する要素例
ここから少しだけUIについて深掘りしていきますが、UIを構成する要素には次のようなものがあります。
①レイアウト:要素の配置や大きさにより、機能や情報の見つけやすさを左右する
②カラー:表示される情報の視認性に影響し、印象や反応などを左右する
③文字:情報の伝達を基本とするが、フォントを選ぶとさらに読みやすさや伝達度合いを左右する
④画像やマーク:配置によって、視認性や操作性を向上させる
⑤ナビゲーション:操作を進めたり戻したり、移動して情報を見つけるための仕組み
⑥インタラクション:操作のためのボタン、リンク、入力フィールドなどであり、情報と対話するための仕組み
⑦アニメーション:利用者の反応を良くしたり、状況を理解しやすくしたりする
⑧バリデーションやフィードバック:利用者が検証・確認するための情報を提供する
これらの①~⑧は、利用者が情報を理解し操作をしやすくするための要素としては非常に重要です。これらの要素が適切に組み合わさることで、利用者が簡単に目的を達成できるUIが求められます。
UIの改善において見直すべきポイントの一例は、運用しているWebサイトに「どんな目的」で訪問してもらい、「どういう行動」をしてほしいかが明確になっているかどうかです。具体的には検索性なのか、最新情報に焦点を当てるのか、1つのメインの情報に特化させるのか、この「目的」次第でWebサイトの見せ方は大きく変わってきます。検索性であれば、Google検索のTOPのように、検索窓と検索ボタンだけというシンプルな見せ方もありますし、最新情報に焦点を当てるのであれば画面を左右に分けて、そのどちらかのファーストビュー内で、新しい情報順に項目を表示したほうがいい場合もあります。また、1つのメインの情報に特化するのであれば、ファーストビューで大きなイメージ(動画とか画像とか)を表示して、見てほしいページに誘導するなどの方法があります。
UIを考えるうえで、目的無く"全方位"に対応させようとするほど、意外と「使いにくいUI」になりやすいです。そういう意味では要素の「足し算」よりは「引き算」のほうが大事なのかもしれません。
UXを構成する要素例とUIとの関係性
前段のUIが「使いやすさ」なら、ここから深掘りするUXは記憶に残るような素晴らしい「体験」についてです。UIがモノなら、UXはコトになります。そのUXの要素については、次のようなものがあります。
①視覚的な魅力:デザインやカラー構成など、多くの人が見て「素敵」と思えるようなもの。
②スピード:出来る限りの迅速な「レスポンス」に期待されるもの。
③ステップ:何かを達成するまでのタスクが明確で、その「現在地」が分かるもの。
④オプション:一般的な選択肢だけでなく、その人に合わせた「フレキシブル」な変更が可能なもの。
⑤パーソナライズ:受け取る側の好みやニーズに合わせた、「カスタマイズ」された体験を提供するもの。
⑥感情的な結びつき:製品やサービスにおいて、「好き」と思える体験が継続的なもの。
⑦一貫性:同じ品質の製品やサービスが、「変わらず」提供されるもの。
⑧安全性:利用者を守るため、プライバシーなどの「セキュリティ」が配慮されたもの。
これらの①~⑧は、常に利用者との関係性とその満足度によって決まるものばかりです。全てを満たす必要はありませんが、UXは利用者から何を期待されているかによって設計されます。
では実際に、UXに求められるものとはどういった内容なのでしょうか?例えばカフェにおいては単に「コーヒー」という商品だけでなく「くつろぎ」の時間や空間を提供すること。アパレルショップにおいては、既製品の「服」の販売だけではなく「似合うデザイン」で「合うサイズ」の服を提供すること、などが挙げられます。また「買う」という選択肢以外に、「借りる」とか「シェアする」とかの選択肢が提供されると新しい体験になることもあります。あとITツールにおいては、例えば利便性を高めるため老若男女に対応させるなら、「手入力」ではなく「音声入力」といった手段の提供も有効ですし、デジタルによってこれまで数値等で可視化できなかったものが「可視化」されることも新しい体験でしょう。
既にお気づきかもしれませんが、UIとUXの関係性をみると、UIが満たされてこそ素晴らしいUXを提供できる側面があります。双方のバランスをとりながら、利用者の体験全体を通じて設計することが求められているのです。
商品・サービスを提供するとき、どうしても売り手側の目線を優先させがちかもしれません。ただ、このUI(モノ)とUX(コト)の考え方を理解することで、偏った視点を解消できるだけでなく、自社の事業におけるライフサイクルの "現在地"に気づくことができます。デジタル時代は変化のスピードが速いからこそ、常にこのUI/UX視点での継続的な改善や変化への意識が大切だということでしょう。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■UI/UXは、ITが進化するにつれて重要性が増し、機能増加と利便性向上とのバランスが常に求められている。
■UIは利用者の操作性と理解のしやすさが大事で、利用者の目的や行動が想起できているかがカギとなる。
■UIがモノならUXはコトであり、利用者の目的・行動から得られる期待を「体験」としてどこまで設計できるかが求められている。
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