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イノベーション NEW2026年4月 1日

ファンを引き付ける力を企業の課題解決に!! 情報コンテンツとしての価値から広がる 「メディア&ソリューション」の存在感

最近、書店に足を運んで「紙媒体が進化している」と感じたことはないでしょうか。雑誌というものが単なる情報源を超え、手元に置いておきたい「コレクションアイテム」としての価値を持ち始めているように感じます。とりわけ趣味関連の雑誌においてその傾向は顕著。各ジャンルにおけるコアなファンからの絶大な支持を生み、そこから新たなビジネスの可能性を広げています。今回は、過去のDNAを引き継ぎながら「メディア&ソリューション」という独自の道を切り拓く、株式会社ワン・パブリッシングの取締役社長・松井謙介氏にお話を伺いました。

株式会社ワン・パブリッシング/取締役社長
松井 謙介 氏

北海道札幌市出身/20年間雑誌(コンテンツ)制作に従事。現在はメディア運営のマネジメントをしながら、コンテンツの多角的な活用を実践中。自社のメディアのみならず、企業のメディア運営や広告のコピーライティングなども手掛ける。 リリースの作成なども行っている。著書に「生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術」(マイナビ出版)がある。

事業の特徴について教えてください

 ワン・パブリッシングは学研プラス(現:Gakken)のメディアビジネス部という部門が前身で、2020年に創業したパブリッシャーです。学研プラスはもともと教育系の出版社でしたが、2000年代に入り、教育・福祉事業に大きく舵を切っていきました。そのなかで我々の部門は、大人向けのメディア事業を行っていたユニークな組織でした。特に雑誌出版が事業の中心であり、代表的なものとして、『ムー』『GetNavi』等があります。会社自体は現在7期目と非常に若いですが、展開している媒体には、ものすごく長い歴史があります。例えばオカルトメディアの『ムー』は、47周年を迎えていて、ありがたいことに、間もなく50周年という大きな節目となります。社名よりも雑誌名のほうがずっと有名であり、それはそれで大きな強みだと思っています。
 そんな雑誌中心の部門でしたが、2020年にさらなる事業の拡大を目指し、学研プラスからカーブアウト。ワン・パブリッシングは、日本創発グループと学研プラスのジョイントベンチャーとしてスタートしました。日本創発グループは、基本的にはBtoBの事業に強い企業。そこに、私たちのようなBtoC事業を行う出版社が加わることで、何か新しいものを生みだせるのではないか、という期待を背負っての船出でした。創発グループと関係を持ってからは、一つの目標として「BtoB売上の拡大」を掲げました。実際に多数あるグループ会社とのシナジーは作りやすく、加速度的にBtoBの売上は拡大していったのですが、同時に出版社ならではの難しさもありました。
 それは、私たちの構成メンバーとして編集者が6割を占めており、自分たちが作るメディアに対して大きなプライドを持っているということ。読者と何十年間か向き合ってきたベテラン編集者たちが、そのターゲットをBtoBに変えるのは容易なことではなかったのです。
 正直に申し上げて、編集者がBtoB案件で企業と向き合い始めた当初は、「企業のコンテンツを作った先に、何があるのか?」という戸惑いを、各社員が持ち続けていました。ただ、結果が出ればやはりモチベーションも上がるもの。ここ2年ぐらいでB toB事業の比重が大きくなり、今では全体の35%で、もう40%が見えているぐらいです。現場のメンバーも、BtoBの仕事の面白さにどんどん目覚めて、クライアント企業と共に、面白いコンテンツを続々と開発してくれていますね。

企業のアイデンティティとして大切にしていることは何ですか

 大切にしているのは、自社を「出版社」ではなく「メディア&ソリューション企業」と定義している点。この認知を、社外はもちろん社内メンバーにも深く浸透させるため、表現は会社創設時から変えていません。大切なのは「メディア」と「ソリューション」が両軸で存在し、双方を支え合う関係であること。なぜ両軸なのか、それは双方が不足を補い、長所を伸ばしてくれるから。歴史あるメディアを運営しているから、企業が私たちを信頼してくださり、コンテンツ制作を任せてくれる。逆にソリューションの現場では、ペーパーメディアだけではなく、SNSやAIの知見も必要になる。そして今度はソリューション事業からそのノウハウがメディア制作に還元されていく――その、持ちつ持たれつの関係が、ワン・パブリッシングの価値を最大化してくれているのです。
 現在は出版事業が売上を牽引していますが、ソリューション事業の伸び率は非常に大きく、近い将来にはこの比率を5対5にしたいと考えています。まずは「ワン・パブリッシングって、メディアだけじゃなくて、企業のソリューションもめちゃくちゃ強いよね」と、対外的に浸透させたい。そして、将来的に扱う対象が半々の割合になれば、コーポレートサイトの入り口から「メディア」と「ソリューション」を分けても良いかもしれませんね。最初から目的別に分けることで、より一層、両軸を提供する企業としての認知が進んでいくでしょうし。
 周囲から聞こえてくるのは「出版社でソリューションにここまで注力している例はあまりないですよ」という声です。ナショナルクライアントであっても、まだまだSNSやオウンドメディアの活用に課題を抱えているケースも少なくありません。すなわち、私たちのコンテンツ制作力が、企業の課題を解決する強力な武器になると確信しています。

専門コンテンツを支える人材をどう確保されていますか

 人材に関して語るにあたって、まずお伝えしたいのは、私たちの根っこには、やはり「コンテンツへのこだわり」にあるということです。私たちが作るコンテンツの特徴は、料理や歴史、オカルトに家電など、「趣味」に寄ったものが多いということ。それを支える人材としては、しっかり固定ファンがいるような各カテゴリーで、それぞれのコンテンツに真摯に向き合えなくてはならない。コンテンツを通じてそのカテゴリーのファンに熱狂を届けることが、一番大事だと思います。
 つまり、外部からの人材の確保は容易ではない、ということです。そうなると、やはり大切なのは育成であると感じています。各界隈のプロフェッショナルが、そのノウハウ、スキル、人脈を後輩に引き継いでいく、この流れこそが「ワン・パブリッシングの魂」と言えるかもしれません。とはいえ、外部との関係値も重要です。日頃から同業者の会に顔を出すなど、業界のネットワークも非常に大切にしています。そこからの流れで、かつて存在したオカルトメディアの出身者を『ムー』の編集部に迎え入れた例もあります。最近では人材確保に限らず、実務として競合誌とのコラボレーションも進んでいます。業界全体を見渡して、同じ熱量を持つ人たちと繋がっておくことが、最終的には高度な専門性を維持する鍵だと考えています。

表現を取り巻く環境変化と「プロ」の価値をどう捉えていますか?

 今や一般の方がコンテンツを作り続けた結果「いつのまにかSNS上で人気のクリエイターになっていた」、というケースも珍しくありません。コンテンツとは別の仕事を持っている方が継続的に料理コンテンツを発信した結果、多くのファンを得て注目され、書籍化につながる例も増えています。弊社の『一汁三菜おぼん献立』がまさにその一例で、現在12万部をこえる大ヒットとなっています。この時代、クリエイターの世界では、プロフェッショナルとアマチュアの境界が地続きになってきており、明確な線引きをする必要はないのだと思います。編集者としては、そうした一般の方の魅力を引き出し、プロレベルにまで仕立てるという仕事も増えてきているように感じます。

 一方でやや反対のことを言うようですが、誰もがAIでクリエイターになる現代は、「誰が作っているのか」という視点がますます重要になっているように感じます。なぜならば、そこには「プロが作った」という信用があるから。AIはコンテンツは作れても、「歴史」そのものは作れません。何十年というメディア運営の中で培ったファンと、そのファンからの信頼が何よりの価値なのです。「この媒体が言うならそうだよね」というリスペクトこそが、今の時代最も大きな価値と言えるでしょう。
 それくらい「誰が作ったか」は重要であり、信頼そのものなのです。経営者がビジネス本を出すのも、第三者の視点で、自身の歴史をコンテンツとして世に発信したいからでしょう。広めるだけならSNSでも十分かもしれません。でも大切なのは「出版社が自身の価値を認め、本として作ってくれた」ということなのです。その考え方において、「ワン・パブリッシングだから」と言われるようなパブリッシャーになりたいとずっと考えています。
 一冊の本を作る作業は、自分の考えを体系化し、歴史を振り返るような非常に大変な作業です。そこに編集者が入り、第三者の視点で「どう読者に届けるか」を設計する。この二人三脚の「編集」という工程こそが、情報の価値を最大化させるのです。

メディア&ソリューションが築く未来の理想形を教えてください

 私としては「出版社」という言葉はあまり使わず、自分たちを「パブリッシャー」と呼ぶようにしています。コンテンツをパブリックに発信していくのが我々の役割であり、その形は雑誌かもしれないし、SNSやYouTubeかもしれません。重要なのはコンテンツの入れ物の形ではなく、コンテンツの中身そのもの。コンテンツ自体が面白くなければ、雑誌でもYouTubeでも決して良い結果は出ないでしょう。
 AI時代において、既存の情報を並べるだけのコンテンツは厳しくなる一方。しかし、誰かと会って直接話を聞いて手に入れる「一次情報」の価値は揺らぎません。編集者の感性や意見、実際に使ってみた経験といった「フィジカルな部分」を足していくことで、コンテンツはより重要になります。AIには、まだきっと『ムー』は作れないと思います。
 紙の雑誌というパッケージは、今後ますます非効率となり、ある種の芸術品のような存在になっていくかもしれません。しかし、コンテンツ制作のハードルが極限まで下がったいま、紙に情報を印刷し、形にするという行為自体の価値は相対的に上がっていくでしょう。紙に対しても、ある意味「歪んだほどの愛情」を持つプロフェッショナルを育てながら、コンテンツの力で人々にワクワクを届けていきたい。これからの変化が楽しみで仕方ありません。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■メディア&ソリューション企業としてBtoB事業にも注力し両軸で展開。
■コンテンツで勝負する時代だからこそ、編集者の存在価値が高まる。
■パブリッシャーとしての使命感のもと、ワクワクの可能性を開拓していく。

ワン・パブリッシングについては、こちらからご覧いただけます。
https://one-publishing.co.jp

※所属及び記事内容は、2026年4月当時のものです。

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