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「働く=会社に行く」時代の終焉?「多様性」起点でとらえると見えてくる働き方の大変革とこれからの世界
株式会社 日本HP 経営企画本部 マーケティング推進部 部長 甲斐博一氏
折しも、新型コロナウイルスの影響で、世界中がほぼ同じタイミングで生活全般の見直しを迫られている今。仕事も例外ではなく、世界中で働き方の大変革が起きています。一方、日本で数年前から始まった「働き方改革」と言えば、当初はわかりやすさから労働時間短縮に直結していた印象でしたが、急速に本質の見直し、再定義が進んでいます。そこで今回注目したのが、早くからのテレワーク導入等で独自の視点から働き方改革を打ち出し、時代の先を行く、株式会社日本HPです。今回は特にマーケティング視点から「働く」ということの意味を改めて考えるべく、経営企画本部 マーケティング推進部 部長甲斐博一氏に、今ビジネスパーソンとして考えるべきポイントを語っていただきました。

「革新的なテクノロジーで人々の暮らしをより豊かにする」こと
1939年、アメリカ・カリフォルニア州パロアルトの小さなガレージから始まったHP。時代と共に変化を遂げつつも、イノベーションの歴史と、信頼と尊敬に基づく企業文化を礎とする姿勢はそのままに、世界中の人々の暮らしをより良いものにすることを目指す企業です。日本で事業を展開する日本HPは、PC事業とプリンティング事業に対し、各々BtoBとBtoCを対象とする4象限でビジネスが構成されていますが、2007年にテレワークを導入するなど働き方が先進的なことでも有名です。PC事業は、1997年に日本市場でわずか3%だったシェアが、2019年に外資系で初めてPCブランド別国内シェアNo.1に[※注1]。プリンティング事業のうち、デジタル印刷分野のグラフィクス市場では、商業印刷・出版やパッケージ、テキスタイルまで対象も幅広く、3Dプリンティング市場では、新たなモノづくり分野までカバーしています。こうした中、甲斐氏は、BtoCを中心にテレビやイベント関連の各種マーケティング(資料)に携わった後、直販ECサイトの立ち上げメンバーとなったのを機に、マーケティングもデジタルに舵を切ったとのこと。こうした経験から、テクノロジーと働き方を検証することで、課題解決のヒントや新たなアイデアが見えるようになったというのも頷けます。

日本HPによる新しい働き方提案の法人向けPCプロモ―ション事例(2017年)。
SNSを活用したことで話題に。動画コンテンツより引用。
【出典元】[※注1]PC出荷台数/IDC Quarterly PersonalComputing Device Tracker,2019Q4 Share
「働き方改革」といえば労働時間規制?女性活躍?その本質とは
「4年ほど前に始まった、内閣府の働き方改革推進の活動を見て、自分たちが関わっているPCのマーケティングに結び付けようと思いました。働き方改革によってPCの使われ方が変わると確信したからです」と甲斐氏。政府が「働き方改革」を大きく謳う中で、労働時間規制、女性活躍推進、テレワーク推進を対象としたKPI(重要業績評価指数)がありました。しばらく労働時間ばかり取り沙汰されていたのはご承知の通り。とにかく残業時間を減らす、女性就業率を上げるという数字だけの目標は、女性の雇用形態、管理職の少なさ、賃金格差という本質的課題とは別物として扱われていました。他に比べ注目度も低く、企業での導入も限定的だったテレワークは、図らずも新型コロナウイルスの影響によって、急速に広まっています。これまで進まなかった背景には、製造業と流通業を合わせるとほぼ5割という日本の産業構造上の事情も。この2つの業種が変わらない限り、改革は容易には進まないということです。甲斐氏によると、テレワークに関するヒアリングを実施して、製造業の経営者の意見にある共通項があったそうです。1つは、工場でできないことを営業だけやるのは公平でないと考えてしまう思考。2つ目は、前提となるデジタル化の遅れに対し「できない理由」への言及。最後は、経営陣が抱える、変化がもたらすリスクへの抵抗感です。特に着目したのは、かつての日本型経営的な発想として高度経済成長時代から続いている「終身雇用という保証を与える代わりに、全員が会社の要求する画一化された働き方をすべきだ」という考え方。テレワークの本質でもある多様性と矛盾する部分です。多様性をいかにビジネスに取り込み生産性を向上させるかを考えた答えがテレワークの活用、という本来あるべき姿への理解が、企業が変わるきっかけになるのかもしれません。
すべてのベースは多様性にあり!「働く時間と場所の自由」という発想
ここでさらに多様性の本質に迫ると、従来の「常識」に疑問が生じます。ロジカルシンキングが必要な仕事は午前、クリエイティブ系は午後のほうが向いているという脳科学的検証結果があるにも関わらず、管理の都合上、勤務時間が一律なのがその例。「みんな同じというのは、生産社会の構造で、現在の創造社会には当てはまりません」。さらに、「今、日本の就労者人口の中で最多の40代中盤が、日本の未来を決めるというのが持論です」とも。過去にとらわれず、次世代にどんな文化を伝えていけるのか...。経験から本質部分だけ助言できても、時代は変化しているためノウハウは過去のものです。だからこそ、その本質だけを伝え、前例のないことだらけの中で、若手が自ら考える力を身に付ける手助けが必要なのです。「同時に、若手に歩み寄る勇気をもつことも大切。最近多くなった文字ベースのやり取りには想像力が必要なので、絵文字やスタンプを使いこなす彼らの方法を学ぶのも一つです」。こうして世代を超えた文化交流が進み、ヒエラルキー型から世代に依存しないフラットな関係に近づくと、良い伝承をもたらす文化融合が期待できます。
もう一つの視点は、働く時間と場所は自由であるべき、その選択権は社員・従業員側にあるべき、というもの。成果主義、アウトプットが全てという評価になると、会社は成果を出すのに最適な環境を用意し、雇われる側が働く時間と場所を選ぶのが当たり前、となるわけです。これこそが多様性を取り入れるということ。多様性というと、人種だ文化だと大きい話になりがちですが、食べ物の好みと同じです。私はこれが好き、あなたはこれが好き。人に好みを押し付けない、という話なのです。この考えが進むと、「時間の壁」に加え「距離の壁」も越えることも可能です。例えば東京の会社に所属したまま、北海道の仕事もできるような。多様性を受け入れることで、PCさえあればパラレルワークで複数の収入源が持てる、労働力不足を補う手段にできる、といったメリットが生まれます。
イノベーションが加速し世界は新たな価値観に向かう
未来に向けての抱負を伺うと、「日本HPの考え方はとてもシンプル。注目する4つのメガトレンド(地球単位の動向)に対応するテクノロジーが、投資の対象です」とのお答え。①「急速な都市化」②「人口動態の変化」、③「超グローバル化」、④「加速するイノベーション」というメガトレンドに向けて何ができるか、開発されたものを世の中にどう浸透させるか、が重要です。例えば、切り口の1つとしてZ世代(1995年以降生まれ ※諸説あり)の価値観を分析すると、より「個」に向かうパーソナライゼーション傾向や、地球環境持続への貢献ニーズが見えてきます。今後世界的に多くの人口を占めていくZ世代も日本では少数派のため、ローカル実情に合わせた最適化も必要ですが、環境保護や循環型社会の創生は世界的流れであり、「超グローバル化」の中で存在感を増すZ世代への対応は急務なのです。
現在のコロナ禍において、「afterコロナ」の前にしばらく続く「withコロナ」期間に、働き方の再定義を!ということでしょう。未来が不透明な中で唯一はっきり見えてきたのは、以前の世界には戻らない、という事実。「働く=会社に行く」の時代は終わりました。同じ時間にみんなが密な場所に集まる前提ではなくなったのです。社内打合せも、お客様との商談も、直接会わなくてもWEB会議で対応できると知った今、必要なコミュニケーションスキルも変わり、それ以上にリーダーシップの意味も変わってきました。「多様な人が多様な形で仕事をする中では、ステレオタイプの強力なリーダーシップとは別の、ゴールを共有して積極的に関与しながらも、他者を支援していく意味合いが中心になるでしょうね」。自ら考え動く能力が必要とされる今、多様性という視点がますます重要です。学術的にも、イノベーションは多様性の中からしか生まれない!と言われる通り、私たちは、時代に試されているのかもしれません。今こそ、しっかり前を向いて、新しい世界を切り開き変革すべき時なのでしょう。

地球規模の大きなうねりとしての、4つのメガトレンド。これをベースにマーケティング戦略を決定。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■ 未来を正しくとらえ過去にとらわれず、テクノロジーによって多様な働き方が実現する。
■「 働く時間と場所の自由」という発想が、テレワーク浸透によって広がり未来をもたらす。
■ 今もこれからも、世代間の融合と多様性が、イノベーションを加速させる原動力になる。
株式会社 日本HP についての詳細は、こちらでご覧いただけます。
https://jp.ext.hp.com/hp-information/
※所属及び記事内容は、2020年5月当時のものです。
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