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マーケティング NEW2021年10月 6日

Web広告の基礎知識 はじめる前に知っておきたいインターネット広告の使い方

さまざまなWeb広告の種類

 世の中のデジタル化が進むにつれて、広告においてもインターネット広告への予算が増え続けております。毎年、電通が公表している「日本の広告 費」によると、インターネット広告費は2019年に2兆円を超え、2020年にはとうとうマスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビメディア)広告費とほぼ並ぶまでのシェアとなりました。この伸び続けているインターネット広告ですが、オンライン広告とかデジタル広告、Web広告とも呼ばれていたりします。ここでは以後の表記をWeb広告で統一しますが、このWeb広告にはどのようなものがあり、どのように使える仕組みなのかを確認していきます。
 まず「リスティング広告」は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで検索した際に表示されるページに、検索キーワードに応じて表示される検索連動型広告です。「ディスプレイ広告」は、Webサイトやスマホアプリの広告枠に表示される画像や動画であり、年齢や性別、地域、過去のWeb閲覧履歴などでターゲティングして表示される広告です。また、Web閲覧履歴などで過去に訪問したことのあるユーザーを対象にする「リターゲティング広告」(Googleでは「リマーケティング」と表現される)と呼ばれるものもあります。さらに「動画広告」にはいくつか種類があり、YouTubeやニュースサイトにTVCMのように差し込める「インストリーム広告」、通常のバナー広告枠に配信される「インバナー広告」、FacebookやX(旧Twitter)などのSNSのタイムラインに掲載される「インフィード広告」、Webサイトの記事を読んでいる途中に表示される「インスクロール広告」や「インリード広告」などがあります。
 そして最近、特に多いのが「SNS広告」です。30~40代が多いFacebook、10~20代が多いX(旧Twitter)、女性や"映える"クリエイティブを好むInstagram、生活インフラとして定着しているLINE、それにショート動画配信に向いているTikTokなどのSNS上に広告掲載ができます。それぞれのSNSには性別や年齢、学歴、フォロー状況、嗜好など、他の広告には無い多くの個人情報がユーザーによって登録されている場合が多く、きめ細かなターゲティング配信ができるのが特徴です。
 あとは、特定のWebサイトの広告枠を買い取る「純広告」や「バナー広告」、記事サイトでPRとして配信してもらう「記事広告」、広告主がアフィリ エイトサイトに出稿しWebサイト所有者が自サイトに掲載することでPRしてもらえる「アフィリエイト広告」などがあります。

Web広告をどのように使い分けるか?

 Web広告の活用には、次のようなメリットがあります。少額からでも広告を出稿できることで予算をコントロールしやすいことや、データ取得による効果計測が従来のアナログ広告より確実にできること、近年ではAI(人工知能)が広告効果を最適化してくれたり、柔軟に変更・停止ができることが挙げられます。一方、デメリットとしては、各Web広告の特性や仕組みをしっかり理解していないと費用対効果を最大化させるのは難しいこと、市場動向の変わり目も早く常にABテストなどで検証しつつ長期的に分析しながら効果を高める努力が求められるなど、かなりの忍耐力が必要になることが挙げられます。
 これらのメリット・デメリットを踏まえたうえで、これらのWeb広告をどのように使い分ければいいでしょうか?(図1)それは"潜在層"へのプッシュなのか、"見込み層"の取り込みなのか、"顕在層"のプルなのかで大別できます。潜在層には「ディスプレイ広告」や「動画広告」などが合うでしょう。どちらも認知やブランディング、大量集客に向いていますが、ブランドとして認知が高めで他のメディアとの連動を考えられた広告の場合は「ディスプレイ広告」、認知が低めでも情報量を多くしブランディングを優先させるのであれば「動画広告」が良いかもしれません。一方、見込み層は明確な目的意識の人が対象となるため、「リスティング広告」が合うでしょう。商品・サービスに対して一定以上の関心があり、ぼんやりとした潜在意識から検索エンジンで色々と調査する見込みの段階にユーザーをリフトアップさせるタイミングに最適です。また、顕在層は商品・サービスを認知あるいは一度は利用(顧客層)し、ある程度の理解があるユーザーのため、かなりピンポイントで再リーチさせられる手法となる「リターゲティング広告」がおすすめです。継続的な商品・サービス、買い替えやリピート性のあるものが良いでしょう。

 なお、潜在層・見込み層・顕在層のいずれにも対応しやすいのが「SNS広告」です。ただし、話題性があり、広告を見た次のアクションとしてはシェアやリポストといった拡散が基本となるため、その目的に合っているかどうか注意が必要です。また、きめ細やかなターゲティング配信ができる反面、的確に捉えていない場合はリーチされず、成果が得られにくい点にも気をつけましょう。そのため、SNS広告の場合はプラットフォームで複数のSNSに対して適切に管理することがポイントです。

Web広告の課金の仕組み

 Web広告は種類の多さだけでなく、課金方法もさまざまです。費用対効果を最大化させるためには、運用前にしっかり理解し、予算や効果をシミュレーションしておく必要があります。(図2)
 一般的なのはクリック課金型(CPC=Cost Per Click)で、1クリックに対して費用が発生する方式です。この方式はクリックされなければ費用は発生しないので、無駄のない広告運用がしやすいです。一方、インプレッション課金型(CPM=Cost Per Mille)というのもあり、Web広告が表示される(見られる)回数分の費用が発生する方式です。成果が保証されず表示だけで費用がどんどん膨らむので注意が必要です。また、動画視聴課金型(CPV=Cost Per View)なるものもあり、動画広告が一定時間以上視聴されるごとに費用が発生する方式です。この方式だと基準時間前にスキップされた場合は課金されないため、興味を持ってもらった人には見てもらいつつ費用を抑えながらも配信できます。
 他にも、期間保証型(CPD=Cost Per Day)は、広告の掲載期間に応じて費用が発生する方式で、表示回数やクリック数は考慮されず予算を組み立てやすい反面、効果測定はしにくいです。あとは、成果報酬型(CPA=Cost Per Acquisition)は、コンバージョン(成果)に到達した場合に費用が発生する方式で、購入や利用、申し込み、登録など、確実に成果が得られたものだけに対価を支払います。


 まとめになりますが、Web広告はマス広告と違って、データによる成果(中間成果も含む)が確実に取得しやすい強みがあります。PCだけでなくスマートフォンなどのモバイルデバイスの普及により、Web広告はさらに消費者へ密接に訴求できる手段となっています。そう考えると、どれだけカスタマージャーニー(消費者が商品・サービスとのかかわりの中で辿る一連のプロセス)による顧客理解ができるかがWeb広告運用においての鍵となるでしょう。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■Web広告には「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「リターゲティング広告」「動画広告」「SNS広告」などがある。
■顧客のステージが、"潜在層"、"見込み層"、"顕在層"に応じて広告の種類を使い分けると、より効果的である。
■費用対効果を最大化させるためにも、Web広告の課金の仕組みを理解しシミュレーションしておく必要がある。

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