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マーケティング NEW2020年10月 7日

顧客価値の最大化を目指す 「個客」と向き合い繋がり続けるためのリテンションマーケティング

リテンションマーケティングの重要性

 売上の維持や拡大を考えるとき、多くの企業は新規顧客の獲得(アクイジション)を優先させる傾向にあります。しかし、1:5の法則にもあるように、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストより5倍かかると言われています。一度、お付き合いの始まった顧客であれば、少なくとも自社の商品やサービスを少しは理解してもらっているため、本来は長くコミュニケーションできる可能性が高いです。リテンションとは、その既存顧客との関係を維持していくためのマーケティング活動のことをいいますが、既存顧客のニーズを把握し、他の製品やサービスの案内を行うなどで定期的に顧客との接点を持つようにします。


 リテンションマーケティングの1つに、「離反防止」があります。これは、顧客1人1人の最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入合計金額(Monetary)をCRM上でデータ管理しておき、一定期間来店・購入の無い顧客に対して確実にアプローチすることで継続して来店や商品の購入をしてもらうようにします。例えば、ECなどでは顧客の動向(ページの回遊、お気に入りやカート入れ等の履歴や状況)が殆ど取得できるようになっているので、その情報を元に既に購入した商品に合う別の商品の提案やメンテ方法などの情報を、ワン・トゥー・ワンでEメールや紙DMを送るなどのきめ細やかな対応が可能です。
 他にも、契約によるサービス(いわゆるサブスクリプションモデル)を提供している企業では、「解約防止」のためのコールセンター拡充を行ない、どういったトーク(スクリプト)が顧客の解約を留めさせ態度変容が起きるかを突き詰めることで劇的に解約率が減ったそうです。
 どちらの例にも言えることですが、いかに企業が1人1人の顧客(個客)の状況と向き合うかが重要だということが分かります。そのためにも、CRMなどのデータベースに有効な情報を丁寧に蓄積し、データを駆使した顧客対応を行ないます。

具体的な進め方

 では、リテンションマーケティングとして、具体的にはどのような事をすべきでしょうか? 5つほど例に挙げてみます。

① ブランドイメージの醸成
② インタラクティブなコミュニケーション
③ 1人1人に応じたアプローチ
④ スムーズなサービスフロー
⑤ ロイヤル顧客へのプログラム


 ①については、ブランドイメージが悪くなると、顧客離れが顕著に表れます。たとえ、商品やサービスがどれだけ秀逸であっても、感情的にワクワクしなくなったり、良いイメージができなくなれば、顧客との関係性の維持は困難になります。
 ②については、例えば電話窓口などでどれだけ顧客と双方向での会話ができているか。いただいた声について迅速に対応し、コミュニケーションとして成立しているかが大事でしょう。現在はFacebookやTwitter、LINEなどのデジタル手法もありますが、一方的な情報発信に終始しているケースも多いようです。
 ③については、従来のマス媒体でのアプローチを見直す必要があるようです。②のコミュニケーション同様、一方的な情報発信を続けていると「自分の状況は無視されている」と思い、やがて顧客は離れていくでしょう。嗜好や状況に応じたメッセージや内容を発信すると、「良いおもてなしをしてくれた」を満足してくれると同時に、その特別扱いの感じを受けるとそんなに悪い気はしません。
 ④については、購入やサービスにおいて煩わしさが無いかどうか。誰だか分からない人が応対する、あるいは担当者や窓口がコロコロ変わる、電話をたらいまわしにされる、ECなどではステップや入力等が多い、などなど。手間がかかればかかるほど顧客にとってはストレスになり、いずれ顧客は面倒になり離れていきます。
 ⑤については、上位の顧客が喜ぶ特典が何であって、それが継続的に実施できているか。上位2割の顧客が、売上の8割を占めていることが多い(2:8の法則)ですが、その2割の顧客にはどういう特性があり、期待があり、満足しているかをあらかじめ知っておかないと実現が難しいと思われます。

 リテンションの最大の目的は、顧客価値を最大化することです。LTVなどの定義にもあるように、最終的には顧客にどんな感動体験をしてもらえるかが着地点になります。そのために①~⑤は、全てが顧客を理解するための情報になりますので、リテンションマーケティングを行なううえではその情報がCRM等に全て繋がっていて読み取れる状態にしておく必要があると言えます。

カスタマーサクセスから導かれるLTVの最大化

 近年、カスタマーサクセスという言葉が話題になっていますが、サブスクリプションモデルの普及により徐々に注目されるようになりました。カスタマーサクセスとは、直訳のとおりで顧客を成功(満足)に導くことを表します。カスタマーサポートという言葉もよぎるのですが、下の資料にもあるように姿勢やゴール等が異なります。カスタマーサクセスは、顧客が潜在的に持っている課題や悩みを解決できるよう能動的に働きかけることで、長期的な関係の構築をするものです。非常にリテンションの考え方にも似ているのですが、収益や集客といった目的ではなく、あくまで顧客との伴走で目標(解決)を目指すという理念になります。例えば、「もっとこうならいいのに」「あんなのあったらいいのに」のような顧客の声に対し、それを一緒になって実現させるのがカスタマーサクセスです。こういった理念も、リテンションには欠かせません。

 これまでにも、LTVの最大化のために、一回あたりの平均購入単価の引き上げや、購入頻度の引き上げ、取引している期間を延ばし、接点のためのコストを削減するなどの様々な施策が言われてきました。ここにカスタマーサクセスの理念が加わると、理屈だけでは解決できなかった本当の意味でのLTVの最大化ができるのではないでしょうか。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■リテンションは、既存顧客との関係を維持するマーケティング活動をいう。
■リテンションの最大の目的は、顧客価値(LTV)の最大化である。
■カスタマーサクセスは、顧客と伴走することで目標(解決)を目指す理念である。

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