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マーケティング NEW2020年10月21日

データドリブンで成果を上げる デジタルマーケティングに必要とされる「デジタル+紙」のハイブリッド戦略

E-mailマーケティングの限界

 顧客との関係構築において、最近はデジタルによるマーケティング施策に傾倒している企業が多く見られます。デジタル施策の例として、E-mail配信やSNSでの情報発信、Web広告掲載やスマホアプリ等の配布など様々です。その中でも、E-mailは顧客との距離が近くコミュニケーションを行なうための最重要ツールですが、未だに同一内容の情報を多くの顧客に一括配信されているケースも多いようです。
 人が一日に目にする広告数は約3,000件とも言われておりますが、その中で顧客に記憶される内容はほんの数件といったところです。これだけ多くの情報があるので、たとえE-mailによる発信であってもすぐに必要で無ければ開封されず未読のまま削除されます。このような事が繰り返し行われると、顧客との関係構築にも支障がでます。E-mailがコミュニケーションにおける最重要ツールと考えると、顧客から配信停止されないように工夫しなければなりません。

デジタル領域とアナログ領域の連動が重要に

 E-mailにおける顧客との関係が断絶しないためにも、改めてE-mailでコミュニケーションするための役割を明確にしなければなりません。E-mailでアクションが少ない顧客には、ひとまず配信頻度を下げて、相手に必要と思われるコンテンツのみに絞ります。E-mailの特徴として、素早く情報発信できる、コストが比較的安価である、Webサイトに誘導しやすい等が挙げられます。裏を返せば、次のようにも考えられます。

- コンテンツ内容によっては、タイミングをみて発信すべき内容もある。
- コストは多少かけても、しっかり費用対効果が得られれば良い。
- 本当に興味ある内容であれば、Webサイト等で詳細を調べるはずである。


 E-mailがこれほど普及する前までは、紙によるダイレクトメール(以下、紙DMとします)が主流でした。それも今ではコスト削減(実際には別のマーケティング費用に割り当てられている場合が多い)などにより、広告郵便などの大量利用は減っております。前述の条件を踏まえたうえで、改めて紙DMを有効に活用できるのではないでしょうか?
 また、マーケティング施策の中でアナログ領域(紙媒体等)における施策は減る傾向ですが、効果はデジタル領域(E-mail配信等)の施策よりも強く実感できると日経BPコンサルティング社の調査結果(下表)からも出ております。デジタル施策とアナログ施策を連動させることで、施策の効果をより実感できるとの企業が68.2%にまで及んでいます。

進化する「デジタル+紙」でのマーケティング施策

 某メーカーでは、紙DMとE-mailは相乗効果があると仮説を立て、展示会における集客のために2つのシナリオを作り施策実行をしました。1つは「紙DMのみ」2,000通を発信し、もう1つは「紙DMの発信+2度のE-mail配信」を各2,000通ずつ発信。求める成果としては、来場特典を明記した特設Webページに誘導し、フォームからの事前登録としました。結果として、前者では0.8%のみの誘導だったのに対し、後者では4.9%の誘導に成功しました。
 他の例として、顧客管理システムを提供している企業では、ターゲットを「E-mailのみ」「紙DMのみ」「紙DM+E-mail」の3つのクラスターに分け、「E-mailのみ」でのアプローチで反応が無かった顧客が紙DMで効果が出るかを確認。求める成果としては、顧客にとって役立つ資料を提供し、Webページへのアクセスとしました。結果として、アクセスされた率は「E-mailのみ」<「紙DMのみ」<「紙DM+E-mail」となり、「E-mailのみ」に対して「紙DM+E-mail」は約2倍の反応があったようです。

 こうした「デジタル+紙」でのマーケティング施策ですが、継続的に実施するにはデータドリブン(上図)でアプローチするための十分なデータが求められます。従来から、紙DMでは「ターゲット」「タイミング」「クリエイティブ」「オファー」の4要素が重要とされております。この中で「ターゲット」と「タイミング」は、Marketoのようなマーケティングオートメーションシステム等による顧客データの蓄積があれば掌握できます。シナリオを設計しテストを何度も繰り返すことで、自社に合った"成功パターン"が見つかります。

デジタルマーケティングに必要な「紙」の使い方

 E-mailと比較して紙DMの利点として、①視認性、②独自性、③保存性等が挙げられます。①視認性は、デジタルと比較してタッチポイントが大きく一目で情報が入ってくる点です。「紙」がリアルに存在することで、手で触った感触や音などがダイレクトに五感に伝わるところがデジタルと比べて優れています。②の独自性は、体裁や形、色などを自在に変えることができ、情報の全体像そのものをコントロールできる点です。工夫を凝らすとそれ相当のコストがかかりますが、クリエイティブにおける発想次第でマーケティング施策の効果にも影響します。③の保存性は、デジタルと違って埋もれにくく、リアルに残せていつでも読み返せる点です。E-mailだと通常1 ~ 2日の効果だったとしても、紙DMの場合はコンテンツ内容によっては一ヶ月後でも反応があります。
 これらの利点は生かし方次第で、「デジタル+紙」の効果を最大化できます。解決すべき課題として、E-mailと比較して時間がかかる点、コストが高くなる点かもしれません。時間に関しては、"成功パターン"をテンプレート化し、顧客行動のシナリオのここぞという場面で自動的に送る仕組み作りさえ出来れば短縮可能です。コストに関しては、元々のマーケティング予算から大量投下しているコンテンツ等の予算配分を見直すことで、捻出も可能になるのではないでしょうか?
 いずれにしても、「紙」をデジタルマーケティングと絡ませて使う場合は、これまでの既成概念にとらわれない新しい発想こそが、顧客との新たなコミュニケーションを生み出してくれるでしょう。

まとめ

■E-mailでアクションの少ない顧客には、配信頻度を下げて必要と思われるコンテンツに絞る。
■デジタル領域とアナログ領域において、蓄積データから顧客のターゲットとタイミングを絞り継続的に相互補完させる。
■紙の視認性、独自性、保存性を生かし、紙だからこそ有効なクリエイティブとオファーを考える。

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