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新たな層から人気獲得!時代に合わせた新しい事業展開が成功した事例4選
積み重ねてきた技術や文化、または続けてきたモノやサービスの提供など、長年の歴史があるものは「変えずに守っていきたい」と思ってしまいがちですよね。しかし、時代が進むにつれて、人々が求めるものは絶えず変化していきます。また、例えば海外からの安価な商品の流入や、少子高齢化などの社会問題も、需要の変化を促す一因となっています。そんな世の中で生き残っていくには、時代を適切に読み取る力と、変化していく勇気が必要です。今回は、時代に合わせた変化を恐れないことで、人々に愛され続けている企業の事例をご紹介します。
少子化で生徒減少 自動車学校の生き残り作戦
■陸だけでなく空も
埼玉県川越市にある自動車教習所は、小型無人機ドローンを安全に操縦するための基礎的な知識や技能が学べるスクールを開講した。法規などの講義は教習所の教室で行い、実技は教習コースの上空を使用する。東京都内では飛行禁止区域が設定されているところも多いが、同校は規制外なので飛ばせる。
講習は4日間で、料金は税込25万9,200円。受講生は建築や農業でドローンを活用したい人が多い。同校の他にも全国的にドローン教習を行う自動車学校が増えている。
■人生相談で入校者増加
福岡県大野城市にある自動車教習所は、単に運転技術を教えるだけなく、教習とその前後の時間に教員が進路や就活、恋愛などの相談を聞いている。受講生の中心は18~22歳の多感な時期で、周りに気軽に相談できる大人が少ないため、良い相談相手になると好評だ。卒業後もお世話になった教員に会いに来る受講生も多い。また、就活の相談会や、肝試し大会、卒業パーティーなども実施している。
こうした取り組みが口コミで広がり、入校者数は2年間で約200人増加。売上も毎年約1億円ずつ伸び続けた。最寄りの教習所より同校を選ぶ受講生も増えている。
デニム着物―老舗呉服店の新たな事業展開
東京都江東区・清澄白河で1924年(大正13年)から商売を続ける呉服店。2016年に継いだ三代目は、和服を着る人が激減したことを実感した。若い人はもちろんのこと、年配の人でも70代を過ぎると「着物は疲れるから」と着なくなってしまう。
そこで三代目はもっと気楽に着られる和服を考えた。頭にあったのは、地元清澄白河の風景。かつては多くの材木倉庫が建ち並ぶ水運の拠点だったが、都内でありながら鉄道の駅がないため人通りが減り、寂れた街と化していた。1995年に東京都現代美術館がオープンすると、材木倉庫がおしゃれなギャラリーやショップに変身。2000年代に入って地下鉄の駅が開業すると、区外からたくさんの人が集まり、カフェが次々とオープン。「カフェとアートの町」として注目され、若い世代の住人が増えた。さらに外国人も訪れるようになった。
彼らが手に取り、街の風景に合うものを考えて、出た結論はデニム生地の着物。街のイメージに合うだけでなく、通常のジーパンより軽い薄手の生地を採用したので動くのが楽で、汚しても家庭の洗濯機で簡単に洗える。これで着物のデメリットを解決できた。
販売を始めたら、2年で30~40代を中心に1000着以上売れて大成功。外国人観光客が成田空港から押しかけてきたこともある。着物は疲れるからと着なくなった70代以上の年配の人たちにも大好評だ。
元々の力を活用して煉瓦メーカーから石窯メーカーへ
群馬県前橋市の煉瓦会社は創業115年を超える老舗煉瓦メーカー。建設資材は鉄とコンクリートが主流で、外国産の安いレンガが入ってくる現在、この会社も経営は厳しく、廃業を考えていた。その時、ピザ屋からピザ窯の製作を打診された。イタリアでは砂でドーム型を作り、その上にレンガを載せて固めてピザ窯が作られるので、煉瓦会社なら可能と考えたのだ。しかし、この工法では窯の内部に砂が残り、ピザの上に落ちてしまう。これでは商売に使えない。
そこでこの会社では、空洞のままレンガをドーム型に積み上げる技術を開発した。本場イタリアの職人も「これは真似できない」と驚くほどの技術だ。
ピザの他に、パンの窯も製作。250~300℃の熱で20~30分かけて焼くため熱を長くためられる構造を研究開発した。さらに肉を焼く窯もつくった。レンガから出る遠赤外線により中までよく焼け、ふっくらとして、食材の柔らかさやうまみを残すことができる。
これらの高い温度を長時間、蓄熱できるレンガを使った窯は大好評で、年間200基ほどの石窯を製造し、全国各地のレストラン、ピザ店、さらに日本料理店からの注文が途切れることがない。韓国、台湾、ベトナム、ロシアでも人気となっている。
レンガを知り尽くした会社がその技術を生かして、石窯という新たな活路を開いた。
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