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マーケティング NEW2020年12月 2日

分析から見えるペルソナ/シナリオ ビジネス課題をマーケティング施策につなげる「戦略」の考え方・立て方

「戦略」を忘れてはいけない

 日本は「ものづくり大国」といわれた時代があるゆえに、今でも技術的な話が先行して表に出てくるケースは非常に多いです。デジタル時代になってからも、新しい技術や手法が出てきては、「Webサイトを作ります」「メール配信をします」「SNSをします」といったように、目的が不明な情報までもが市場に氾濫する事態になってしまっています。
 よく「戦略」と「戦術」の違いについて問われることがありますが、前述の例では「戦術」だけが先行してしまっているように感じます。新しく事を起こすのに、いきなり具体的な施策や方法の検討、数値目標の設定等になっていないでしょうか?元々、「戦略」や「戦術」という言葉は軍事的に使われた歴史があるようで、定義は以下のとおりです。

  • 戦略・・・特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・科学。
  • 戦術・・・任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術策。

(ウィキペディアより一部抜粋)

 これらが、企業経営やマーケティングの視点で言い換えると、「戦略」は長期的・総合的なビジネス課題を明確にし購買等のプロセス(この場合はシナリオと言うべきか)を可視化して方策を決めることになります。時流を読み、実現すべき事を絞り込み、引き算して方策を見極める必要があります。一方「戦術」は、戦略で明確にしたビジネス課題に対してどう施策を打つかを考え、運用に関わる組織体制を決定・配置し、プロセスにおける数値目標を設定することになります。ビジネス課題の解決のためにあらゆる可能性を用意し、足し算してどんどん実行していくことが必要です。

「戦略」の立て方

 経営学者でありマネジメントの発明者であるピーター・ドラッガーは、「企業において価値を生み出す活動はマーケティングとイノベーションの2つだけで、その他はすべてコストである」と言っております。よって、企業経営やマーケティングにおける「戦略」は重要であり、誤ったり無かったりするとたちまち費用(コスト)ばかりが出ていきます。
 まずは、外部の市場と内部の現状を、徹底的に分析することから始まります。よく3C分析やSWOT分析などが用いられます。3C分析で市場顧客や競合、そして自社を確認します。SWOT分析で自社の強み、弱み、機会や脅威のカテゴリーで確認します。これらの分析をすることで、ビジネス課題も見えてきます。

 その上で、対象の顧客を誰にするか定めます。先の3C分析結果を活用しつつ、業種や業態、地域、年齢、趣味趣向などを細分化しつつも最大の成果を出すためのターゲット(ペルソナ)を絞り込んで見つけます。
 また、どのような商品やサービスに絞り込んで提供するか。先のSWOT分析結果を活用して、どの方策に可能性があるかを検討します。弱みや脅威のリスクを確認しつつも強みや機会から見える王道的なもの、あるいは隠れていたものに気づき発見したもので、顧客がどのような道筋(シナリオ)を辿ってやってくるかを決めます。
 最後に、商品やサービスを提供するにあたり、そもそもの戦い方(いわば戦略)を決めないといけません。経営学者のマイケル・ポーターが、3つの基本戦略を提唱しています。「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」がありますが、原則この3つの中からどれか一つを選ばなければなりません。
 このように、「戦略」の立て方は、①分析→②ターゲット(ペルソナ)決定→③シナリオ決定→④戦い方の一本化が基本となります。

「戦略」立案に重要なペルソナ/シナリオ

 いざ「戦略」を立てるとすると、誰にどんなストーリーでリーチしてもらえるか、考えれば考えるほど混乱するかもしれません。おそらくですが、「戦術」を考えるときと同じで、あれもこれも色々と取り込もうとするためです。あくまで「戦略」を考える時は引き算ですので、絞ったペルソナあるいは絞った商品やサービスに対して、どんな興味を持ち、どんな行動をとるかを、点を線で結ぶように考えていくことをお勧めします。
 とあるブランド企業の例を挙げてみます。これまでのビジネスとは異なる分野で新たに美容器具を販売するのですが、ブランド力を活かした販売展開を想定しております。上記の図のように3C分析、SWOT分析をしたところ、3C分析では、ブランドイメージを活用しつつも他社とは異なるアイデア製品でブランドターゲットと同じ20~40代の女性とします。またSWOT分析では、ブランド力やこれまでの販路を最大に活かしつつ、決してブランド毀損をしない斬新で有効な製品を届けることで良い評判を口コミ効果として狙えると考えております。
 このように分析してみて、ターゲットは社会で活躍している①自分を磨きたい20代OL、②こだわり強く合理的発想を持つ30代女性、③エイジレスな魅力にこだわる40代女性等としました。またシナリオとしては、ブランド力で既に繋がっている顧客への認知活動を行ない、興味を持ったターゲットをWebやリアル店舗に誘導、色々と比較検討するもアイデア製品のためさほど比較対象が無く、手が届きやすい価格帯に設定しているため購入、確実な美容効果でSNS等での口コミも拡がることで新たな顧客を引き込むことを想定することにしました。
 ここまで整理すると、実際の具体的な「戦術」をこまかく決めやすくなりますし、先に「戦略」が明確なので「戦術」のアイデアを出す場合もビジネス課題に対してブレずに進めることができるでしょう。

 今回ご紹介した内容は、あくまで基本的な手法(それもごく一部です)に過ぎないですが、まずはビジネス課題を明確にすることを徹底的にしましょう。ご紹介した例は、これまでのビジネスが人口減少等の社会的な要因でやや下降しているという課題のもと、新たに何の製品やサービスが提供できるかを模索しながら展開されております。何よりも、企業経営における課題がマーケティング施策と連動していくことが最大の成果につながります。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■「戦術」よりも、まずは「戦略」を考える。
■3CやSWOT等の分析を十分に行ない、ビジネス課題を明確化する。
■十分に分析した内容を活かして、ペルソナやシナリオを設定し、ブレない「戦術」を立てられるようにする。

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