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メーカー発で新たな「価値」を届ける DtoCの取り組みがもたらす いま必要とされるモノづくりの変化について

クラウド環境がもたらしたDtoCの誕生
最近は、メーカーが消費者に直接製品・サービスを提供することも珍しくなくなってきました。環境的な要因としては、機能が十分備わっているECプラットフォームがクラウド上で提供され、大きな予算をかけなくてもショップとして簡単に開業できるようになったことが挙げられます。ただ実際の所、この動きは一気に加速したわけではなく、元々はメーカーが卸売・小売を介して製品を流通させるのが一般的なため、直販ルートを作るといった取り組みは簡単ではなかった背景があります。
少し前であればAmazonや楽天市場などのECモールを使い、他店と価格比較をされる前提でしのぎを削る価格競争が繰り広げられていました。ただ、メーカーだからといって価格調整をして自社製品を直販することは出来ず、基本的には卸売・小売に任せざるを得ませんでした。
この流れが変わってきたのは、主にアパレルや化粧品、靴、メガネ、電動ハブラシ、カミソリといった身の回りの製品カテゴリにおいて、消費者のちょっとしたニーズから需要がありそうな「こだわり」製品の直販をするメーカーが出てきたことからです。この成功には、SNSなど消費者と直接繋がることができる仕組みの活用も大いに影響しております。いわゆるメーカー直販モデルなどを個別に開発したり、同じ技術を使いつつこれまで提供してこなかった製品を直販することで、徐々にこの商流が消費者にも受け入れられてきました。
このように、メーカーが卸売・小売といった中間業者を通すことなく、インターネットを使って消費者に直接製品を販売することをDtoC(=Direct to Consumer)といいます。これまではBtoC(=Business to ConsumerまたはCustomer)が聞き慣れた用語ではありましたが、DtoCは先述の通りメーカーが直接販売することを指す一方、BtoCは小売・卸売業者による販売を指し、意味合いとしては異なるため、使い分けたほうがいいかもしれません。
DtoCによって変化しはじめたモノづくり
DtoCは、基本的にはECによる販売ですが、直販ならではのメリットがいくつかあります。一番のメリットは、顧客情報が直接データとして持てることではないでしょうか。顧客情報とはいわゆる属性(年齢・性別・エリア・時間帯など)や嗜好(形・色・材質・用途など)などのことであり、ターゲットやニーズをしっかり把握できるようになります。これだけ変化の速い時代においては、特に消費者の行動や嗜好はどんどん変わっていきます。それを直接把握できるからこそ、その変化をいち早く察知して柔軟に対応できるのがメーカーの強みなのです。
消費者の声を直接聞くことは、当然ながら顧客との関係強化にもなります。最近では、リピーター獲得のための特典(例えば「割引」などの値下げ)配布だけでは、もはや顧客を繋ぎ留められない時代になりつつあります。いまや消費者側の選択肢は無数に増えており、消費者が納得し、愛着を持ち、価値を感じてもらえる製品が選ばれる時代です。すなわち、モノより先にブランドが選好(プリファレンス)されることが優先されるため、顧客との関係によって出来たブランドの世界観を意識していくことになります。メーカーはDtoCをすることによって明確なブランドビジョンが持てるようになり、そのことが新たなファンを呼び寄せることにつながります。そうすることで、選好し、購入し、体験し、そして次の選好にも繋がるような好循環を生み出すことができるようになるのです。
これまではメーカーとして製品を「作る」ことだけに集中できましたが、販売や個別発送、マーケティングなど、あらゆることを自社で対応する必要性が高まってきています。そのためにはノウハウを蓄積するための人的リソースの獲得が必要であり、直販することによって省けた間接コストを人的リソースに割り当てるなどの大きな変化が求められることになります。
しかし、メーカーがDtoCに取り組むことは、モノづくりの本質を追求するチャンスかもしれません。元々は人に必要とされるものを作ってきたのがメーカーであり、今の時代、嗜好が多様化していて大量にモノを作っても売り切るのは困難です。モノを作るけど必要とされる価値を届けるのがDtoCであると考えると、すんなり納得いただけるのではないでしょうか。
DtoCを実現するために必要とされる変化とは
メーカーがDtoCに取り組みづらい理由はいくつかあります。例えば、社内に常駐できるデザイナーが居ると居ないとで、対応力は大きく変わります。ビジュアル表現を得意とするデザイナーが社内に居ることで、製品自体のデザインもより追求でき、ブランディングやマーケティングの対応力もアップするでしょう。特にSNS等のチャネルでUGC(=User Generated Contents)を増やすことはDtoCでは必須ですが、そのためにもリアルタイムな情報発信が常に求められるため、動画や写真、イラストや図式などを見せるのもデザイナーの力が威力を発揮できるでしょう。
他にも、購買力や在庫の調整力の柔軟性が必要かもしれません。DtoCの場合は、ECプラットフォームを使った販売となり、様々な種類や「こだわり」あるものを数多く扱うためEC特有のロングテール手法が求められます。材料等を数多くストックしてコストを低減させる考え方だけでは、環境的に新たな価値を生み出しにくくなってしまいます。DtoCでは、「モノ」を売ることではなく「価値」や「体験」を売ることを優先し、それに応じた対価をいただく、という発想の転換が必要そうです。
また、顧客の対応について、よく営業担当者や営業事務担当者が割り当てられることがあります。しかし、一言に"顧客対応"といっても、求められるスキルが異なります。小売・卸売とのやりとりはあらゆる条件合わせが中心ですが、消費者に直接販売する場合は「価値」を理解してもらい、共に「ストーリー」をつくる作業が必要です。特に後者の「ストーリー」づくりは、購入した消費者が体験後に続く行動がどのように展開されるか、いわゆるカスタマーサクセスとしてその先まで伴走できる役割が求められます。
このように、時代の変化が急速に進むなか、環境が変わることでこれまでの常識も変わりつつあります。細分化した嗜好や要望はこれからの新たな「価値」の原石とも言えるもので、これを素早く察知し実感できる環境を整えることができるか。メーカーがDtoCに取り組むことこそ、今の時代に必要とされるモノづくりに対応することになるのです。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■消費者嗜好の多様化が把握できるなどのクラウド環境が整ったことが、メーカーがDtoC対応できるきっかけとなった。
■本質的にブランドとして選好されるモノづくりこそが最優先され、その世界観に対応し続けるのがモノづくりの本質である。
■DtoCを実現するためには、常駐デザイナーの獲得、購買力や在庫の調整力の柔軟性、カスタマーサクセスを踏まえた顧客対応などが変化として求められる。
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