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DX NEW2021年11月 4日

ブロックチェーンが社会や市場を変える ブロックチェーン技術におけるスマートコントラクトの概念とNFTの価値とは

ブロックチェーン技術と活用の可能性

 皆さんは「ブロックチェーン」という言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか。ブロックチェーンは、データやプログラムの持ち方そのものを大きく変える可能性を秘めており、いま様々な分野での応用が期待されております。有名なのは仮想通貨「ビットコイン」で取り入れられている技術であり、全世界で利用するための仕組みとして応用されております。
 ブロックチェーンの基本的な仕組みは、取引履歴(ブロック)が暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげる形で記録され、一つのブロックは合意された取引記録の集合体と、各ブロックを接続させるための情報(前のブロックの情報など)で構成されます。このブロックが複数連結されたものがブロックチェーンであり、データの破壊や改ざんが極めて困難なことや、障害によって停止する可能性が低いシステムが容易に実現可能であることが特徴です。ブロックチェーンはデータベースの一種であり、特にデータ管理手法に関する新しい形式やルールを持った技術と言えるでしょう。従来のデータベースは中央管理を前提としている"集中管理型"ですが、ブロックチェーンの場合は相互で常にデータが同期され中央を介在せず共有でき参加者の立場がフラットであることから"分散型台帳"などと呼ばれています(図1)。なお、実際には「暗号技術」だけでなく、「P2Pネットワーク」「コンセンサスアルゴリズム」「偽造防止」といった複数の技術の組み合わせで実現されております。

 では、ブロックチェーンはどのような分野や場面に適しているのでしょうか?たとえば、国際送金など無駄を省き当該者のみのやりとりでスピードアップさせたい場合や、記録システムやトレーサビリティなどデータの一元化が重要なものに有効です。他にも、永続的な記録がビジネスとして有効である分野、あるいは多数のステークホルダーが存在するものなどに適しております。
 このブロックチェーンは、AIやIoTと並ぶDX分野で期待される技術です。DXは、情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革する手段とされているため、このブロックチェーンを活かすためには業務や組織、人材育成など、あらゆるプロセスを大きく変革する前提で取り組む必要があります。

ブロックチェーンとスマートコントラクト

 ブロックチェーン技術を理解するうえで、その概念となるのが「スマートコントラクト」と呼ばれるものです。スマートコントラクトは、あらかじめ規定されたルールに従って行われるブロックチェーン上でのトランザクション(取引)や、外部情報をトリガーにして実行されるプログラムを指します。この"スマート"には自動的に実行されるという意味があり、スマートコントラクト=契約の自動化には、事前定義から決済に至るまで、一連の契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉が狙いとしてあります。
 提唱者のNick Szabo(ニック・スザボ)は、自動販売機を例に挙げて説明しております(図2)。自動販売機はスマートコントラクトの「契約の事前定義→条件入力→履行→決済」という一連の流れを全て自動化している点で分かりやすい例であり、これがいずれデジタルに制御されるさまざまな情報や資産に関わるプログラム実行への適用可能性があると示唆されていました。このスマートコントラクトのメリットとしては、仲介者(第三者)を介在しない「信頼性」や、取引の記録がブロックチェーン上で公開される「透明性」、手数料不要や手続きの時間短縮による「コスト削減」などが挙げられます。
 ブロックチェーンとスマートコントラクトには、DAO(=Decentralized Autonomous Organization)という共通の思想があります。DAOは、中央の管理者をもたないネットワーク型組織のことで、個々に自立したネットワーク参加者が自由に振る舞う中で、組織全体としての判断や意思決定、実行が自動的になされていくような組織形態です。こうしたブロックチェーンとスマートコントラクトの切っても切れない関係を理解するうえで、DAOという思想への理解は外せないでしょう。

ブロックチェーンとNFT

 デジタルデータは比較的コピーが容易な分野とされてきておりますが、ブロックチェーン技術を使って唯一無二な資産価値を付与し新たな売買市場を生み出そうと注目を浴びているのがNFTです。NFT(=Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン上で鑑定書や所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン(デジタル権利証)のことです。
このNFTは、こうした固有性や資産性を持たせることができれば、取引が可能になります。取引内容はブロックチェーン上で公開されるので、誰にでも検証が可能であり、安全性の高い取引ができます。また、NFTは共通規格で発行・流通するため、複数のプラットフォームをまたいだデジタルコンテンツの利用を技術的に可能とするため、相互運用性が担保されます。あと、NFTは先程取り上げたスマートコントラクトを用いて実装可能なため、取引数量を制限したり、時間の経過とともに価値を上下させたりといったさまざまな機能を追加できます。
 NFTが一番身近に使われはじめているのが「デジタルアート」です(図3)。その名の通り、デジタルを使って作られた芸術作品ですが、ブロックチェーン技術によってデジタルアートの偽造不可能な所有証明書を発行できるようになりました。これにより、デジタルアートに資産価値を生み出せるようになり、そのアートの所有者は誰か、所有者歴なども全て記録・確認することができます。この技術のおかげで、偽造等の無い正規のものが、オンラインのマーケットプレイス上で取引できるようになりました。


 ブロックチェーン技術の登場で、近い将来、当たり前のインフラとして浸透するのが想像できるのではないでしょうか。金融、ポイント、資金調達、デジタル認証、資産管理、商流管理、コンテンツ管理などにおいて、この技術は次世代プラットフォームとなる可能性を持っております。まさに、ブロックチェーンが作る未来は、おそらく誰も否定できない公明正大な記録が透明性の高い社会をつくっていくことになるでしょう。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■ブロックチェーンは、取引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術である。
■スマートコントラクトは、契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を意図したコンピュータプロトコル(規約・手順)である。
■NFTは、ブロックチェーン上で鑑定書や所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン(デジタル権利証)である。

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