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マーケティング NEW2021年3月 3日

顧客に新たな「購買体験」を提供する 役割を正しく理解して機能させるインサイドセールスのための組織づくり

インサイドセールスのよくある誤解

 インサイドセールスは、電話やEメールなどを使い、遠隔から取り組む営業活動と言われています。起源は1950年代のアメリカにあり、アメリカは国土も広く、営業スタッフが都度顧客先に訪問するのは時間もコストも非効率だったからです。最初は、BtoCでよくあるテレフォンショッピングのような家庭向け(訪問販売の電話版のようなもの)で始まりましたが、そのテレマーケティングが進化して徐々にBtoBにも高額商材を中心に普及してきました。
 しかし、インサイドセールスはいわゆる「テレアポ」と呼ばれるものと役割が異なります。テレアポはアウトバウンド型と言われ、ターゲットに対して電話等で企業から"量"でアプローチを仕掛ける方法です。一方、インサイドセールスはインバウンド型を基本として、事前のマーケティング活動により見込み度の高い顧客を見極め、適切なタイミングで"質"の高いアプローチを仕掛けます。
 それでも、日本国内ではまだまだ正しく普及していない現状があります。1つは、目的が正しく設定されていないことです。単に電話を架けアポを取るだけだと、アポ件数が成果となります。でも、その次に対応する営業(フィールドセールス)にしてみれば、ろくに顧客の内的な情報(インサイト)が分からず訪問しても、取引成立までの道のりは長く険しいものになりかねません。受注確度も低くなり、無駄に活かせないリード(見込み顧客)を供給するだけです。目的は顧客の「課題解決」であり「成功」でないといけませんし、そう考えるといかに"質"の高い受注に繋がる可能性のあるリードを営業にパスできるか、その件数を設定すべきでしょう。
 他にも、単にツールを入れるだけで、失敗しているケースも多いようです。インサイドセールスを実現するにあたっては、MA(マーケティング・オートメーション)とSFA(営業支援システム)は不可欠です。MAに関しては、見込み客の状況がスコアリングやWebサイトへのアクセス、Eメールの開封やリンククリック等で把握できて数値化できていることが最低条件です。SFAについても、顧客とのやりとりにおける記録が確実に実施できているかどうかが大事です。記録の習慣ができていないと顧客とのやりとりが属人的に行われてしまい、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各チームの連携が上手くできない結果となります。
 このようにインサイドセールスは、単なる手法や機能ではなく、組織内での共通の目的を持ち目標管理をすることが求められます。

自社のビジネスに合った組織づくり

 インサイドセールスを機能させるために、自社のビジネスに合った流れ・役割分担・目標設定などを踏まえ組織を再構築しなければなりません。インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの間に位置する役割であることから、その間を効果的に繋げる施策と機能が必要です。

 組織を再構築する際、いくつかの問題が生じます。まず、リードとなる見込み客は必ずと言っていいほど「課題」を持っています。その課題を解決するための提案を望んでいて、その提案ができないフィールドセールスだと力不足です。そのため、フィールドセールスで提案ができる能力を強化するか、インサイドセールスと協力して提案するかしないといけません。よって、商談ができるタイミングになった際に、受注成約までの期間をどのように対応するかを決める必要があるでしょう。
 もう1つ問題を挙げるとすれば、リードを顧客化して引き上げていくための施策づくりです。マーケティング担当は、Webサイトへの流入のためのコンテンツ発信を続けますが、その部分に労力をかけるあまり肝心の施策が伴っていないことが多いです。そのフック(ホワイトペーパーのダウンロード、デモ動画の閲覧、顧客事例コンテンツ等)となる施策は、マーケティング・シナリオが描けていないことが大半です。ここはマーケティングとインサイドセールスとが、どのようなシナリオでリードの引き上げをするかを決めないといけません。
 このようにインサイドセールスは、顧客の課題解決のために「気づき」を与え、顧客に寄り添いながら「提案」をしないといけません。顧客の成功、すなわちカスタマーサクセスを前提に考えて活動することになります。

インサイドセールスの成果指標

 インサイドセールスだけに限らず、企業におけるビジネスの目標数字は「売上」や「利益」の達成になります。ただ、それらはKGI(ゴール)であり、インサイドセールスが確実に機能しているかどうかを測るためのKPI(中間成果)を設定しなければなりません。
 インサイドセールスの場合、まずはリードに関わる数字を中心に見ます。まずリードの中にも有効かそうでないリードが存在する場合があります。その有効リードに対しては、電話やEメールを使ってフォローを行なうので、どれだけフォローができているかも大切です。その中からどれだけ商談(案件)に繋がる営業へのパスができたかどうかが一番重要です。商談に繋げた案件は、最終的に受注成約に繋がったかどうかも把握しておく必要があります。
 なお、この中の有効リードへの絞り込みについてはマーケティングチームと、受注成約の獲得についてはフィールドセールスとの協創により達成できることであるのはいうまでもありません。

 昨今、新型コロナウィルスの影響で思うように営業ができず、遠隔でも実践できるインサイドセールスに取り組もうとする企業が増えていると聞きます。ただ、立ち上げを急ぐあまり本質を理解しないまま進めると、最悪自社のブランド毀損を引き起こしかねません。それだけに、このインサイドセールスにおける取り組みは、顧客が購買体験として納得いくもの、満足できるものに変化させる上で欠かせないものであるといえるでしょう。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■インサイドセールスは、"量"より"質"の高いアプローチを仕掛けるためにある。
■マーケティングとフィールドセールスの間に位置するため、それぞれの間を繋ぐためのフックと提案についても理解しておく必要がある。
■KPI(中間成果)を設定する際に、インサイドセールス部分だけでなく有効リード数(率)と受注数(率)にも注目しておく。

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