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マーケティング NEW2021年5月12日

個客識別マーケティングの重要ポイント① 「モノ」から「コト」に対応するための顧客管理型ビジネスとは

 顧客を抱える業界では、永遠の課題である顧客との関係維持。そのため、企業にとって顧客データの収集・活用によるマーケティング活動は欠かせない。マーケティング手法は現在、ビックデータやICTなどと進化している。これに対応するためには、新しい手法を後追いするのではなく、何よりも基本を理解することが必要である。そこで、データベースマーケティングの基本的な考え方である「個客識別マーケティング」を理解することが重要となってくる。

個客識別マーケティングとは何か

 一口に顧客と言っても、よく来店する人もいれば、あまり来店しない人もいる。個客識別マーケティングは、フリークエント・ショッパー(来店頻度の高い顧客)を識別し、割引等の優先的なサービスを展開することで彼らを固定客化すると同時に、その割合をできるかぎり高めることを目的にしている。そのために顧客の購買行動の動向をデータベース化し、それに基づいて各店舗の品揃え、サービスなどの戦略を探ることが必要になる。
 フリークエント・ショッパーを的確に識別するためには、どの顧客がどの店舗に、どれくらいの頻度で来て、何を買ったか、という顧客プロフィールがデータベース化される仕組みが必要である。そのために、よく用いられるのがポイントカードである。たとえば、カリフォルニア州ロンポックにあるピザとパスタの店では「スーパー・クラブ」と名づけたカードを通じて顧客情報を収集し、3年間で売上げを3倍に伸ばすと同時に、広告費の対売上比率を75%もカットすることに成功した。

個客識別マーケティングが要請される背景

 そもそも、なぜ個客識別マーケティングが要請されるようになったのか。それは、社会や市場の変化に大きな影響を受けていると言える。成熟期を迎えた先進国では、人口増加傾向に鈍りが生じ、金額ベースでのマーケットの拡大もそれほど見込めないため、企業はできるかぎり効率的な戦略を展開せざるを得なくなってきている。このような効率的な戦略展開の一つの方法として、今まで築いてきた累積経験量を徹底的に活かす方向が考えられる。フリークエント・ショッパーは、市場における累積経験量そのものとして位置づけることができる。逆に言うと、流通業者が累積経験量を高めるためには、高頻度来店客をできるかぎり増やしていくことが重要である。個客識別マーケティングのプロモーション効果は、まさに、こうしたことを期待している。
 次に、流通業者においてもグローバルなレベルで競争が激化しつつある。こうした状況では、流通業者の顧客獲得のための競争戦略として、顧客数そのものを拡大するのではなく、むしろ、比較的少数の顧客と長期的なリレーションシップを築き、その中から自社の競争優位性を導くという方法が採用されるようになってくる。つまり、顧客の空間的な拡大よりも、その時間的拡大が重要視されるようになっている。個客識別マーケティングは、こうした戦略展開の重要な武器となっていくであろう。

商品管理型と顧客管理型2つの類型がある

 個客管理マーケティングのために、どのような情報システムを採用すべきかという観点から見ると、商品管理型と顧客管理型の2つに類型化される。

 商品管理型は、取扱商品の動きに関する情報に基づいて流通業者が品揃え、ロジスティクス等に関する戦略を決めていくことを指す。たとえば、どの商品がいつどの程度売れるかということから、顧客の購買行動を推定し、品揃えを決定し、輪配送、在庫管理等のロジスティクス戦略に活用することである。一般にこのような商品管理型ビジネスは、購入頻度の高い食料品や日用雑貨等の品揃えをする業態で有効とされ、スーパーマーケット等に代表される量販店チェーンで採用されてきた。たとえば、夏の暑い日にはアイスクリームや氷菓の売上が伸びるため、翌日の予想最高気温から発注量を増やすというように。このような業態では、有効かつ効率的に展開できる情報システムの高度化が志向されてきた。

 一方、顧客管理型は、個々の顧客の属性やその購買履歴などに関する情報に基づいて、誰がどんな商品をいつごろ買うかということを予想することを目的としている。一般に、この方法は専門品や買回り品を品揃えする業態において有効とされ、専門店や百貨店などがこのシステムを採用し、その高度化を目指してきた。たとえば、よく購入する商品やその関連商品の割引クーポンや、ポイントサービスなどがその手法である。

商品管理型ビジネスから顧客管理型ビジネスへ

 ここで、両者の違いをより具体的に明らかにしておこう。商品管理型は、個々の顧客へのサービスを予定せず、顧客をマスあるいはグループとして捉え、その共通ニーズに向けて品揃えを展開する。それゆえ、相対的に見て、不特定多数の顧客への適応にこのシステムは合致している。すなわち、顧客数をできるかぎり多く捉え、彼らに向けて有効かつ効率的な品揃えをつくり出していく情報システムとして、これを捉えることができる。したがって、品揃えラインを売行きに合わせて拡大していくということが想定されており、その意味でスーパーマーケットのようなフルライン型品揃え業態に適していると言える。
 これに対し顧客管理型では、ターゲットとする顧客をマスとして捉えず、その各々への個別対応が行われる。したがって、顧客は比較的少数の者に絞られ、各々についての長期的な客単価の向上が狙われている。こうした意味での客単価を上げることができれば、あえて品揃えラインの拡大をしなくてもよく、むしろ、そこでは個々の顧客のニーズに適応すべく特定ライン内での品揃えの深さの追求が重要視されてきた。
 さて、この顧客管理型を、従来は商品管理型を展開してきた量販店チェーンを中心に採用している。つまり、個客識別マーケティングの中心は顧客管理型であると言うことができる。ここで重要なことは、量販店チェーンが顧客全体を対象とする商品管理型ビジネスを展開しつつ、一方で高頻度来店客を対象とする顧客管理型ビジネスを展開していくという点である。このことは量販店チェーンの戦略の高度化を物語っており、今後、量販店チェーンが競争優位性を確保していくための重要な手段として個客識別マーケティングが位置づけられる可能性があることを示唆している。

まとめ

■個客識別マーケティングは、来店頻度の高い顧客を識別し、割引等の優先的なサービスを展開することで彼らを固定客化すると同時に、その割合をできるかぎり高めることを目的にしている。
■人口増加傾向が鈍った国や、グローバルな競争の下では、個客との関係維持が重要である。
■個客識別マーケティングには、商品管理型と顧客識別型があり、後者が主流になっている。

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