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デザイン NEW2024年10月10日

「いいデザイン」を生み出すコミュニケーション② 「売れる」に繋がる!説得力のあるデザインでターゲットの心を掴む


 第1回では、デザインとはあくまでも課題解決のための手段のひとつであること、そして「いいデザイン」とは、多くの人の目に留まり心を惹きつける、「世界観」が作り込まれたデザインであることをお伝えしましたが、デザインにも様々な種類があるように、「いいデザイン」の捉え方も場合によって異なるでしょう。例えば商業デザインにおいては、商品やサービスが多くの人の目に触れ、何かしらの目的を達成することが必要です。つまり、商業デザインにおける「いいデザイン」とは「売れるデザイン」です。今回はそんな「売れる」に繋がるデザインについて、掘り下げていきたいと思います。

商品の良さを「デザイン」で伝える

 商品を売るためには、その商品の魅力を購買層にアプローチするための手段が必要です。その手段の一つがデザインであり、その媒体は「チラシ」「パッケージ」「ポスター」などさまざまです。世の中にある全ての商品には必ずデザインが関わっています。
 購買層にアプローチする上では、商品そのものが心惹かれるものであることは大前提ですが、その良さが「ターゲット」に的確に届いていなければ、どれだけ魅力溢れる商品でもなかなか手に取ってもらえません。

売れるために必要なのは「これがいい」と思える説得力

 では「商品の良さをターゲットに的確に届ける」というのは具体的にどういうことなのでしょうか。  売れるために必要な要素は色々ありますが、「値段が安い」というだけでも、人によっては購入するきっかけとなるでしょう。そのため「売れるためにはこれが必要不可欠」「これさえ守っていれば売れる」という確実なセオリーはありません。しかし、売れるための要素の一つとして確実に挙げられるのは、デザインによる「説得力」です。
 例えば、アパレルの商品カタログに掲載されているカーディガンの写真が、横脇に抱えた状態のものしか無かったとしたらどうでしょう。たとえターゲット層の好みに合ったビジュアルであっても、「着用しているところが見たかったのに、これだとよく分からないな」と感じてしまいますよね。「こんな風にコーディネートすると素敵」「これなら自分にも似合うかも」という、ある種の納得感や共感がなければ、「購入」には踏み切れないものです。この納得感や共感を与えるためには、ターゲットが求めている情報が正しく伝わるデザインで、訴求力を高めることが効果的です。

「説得力」をデザインで表現するには

 説得力をデザインで表現するためには、クライアントと同じくらい、デザイナーも商品の特徴や強みを理解しておくことが重要です。
 「アプローチしたい層はどこなのか」「どんな人におすすめか」「どの商品を一番に売りたいのか」「商品の特徴」「口コミの反応はどうだったか」など、商品に関するこれまでの土台となる情報や、制作の背景を互いに共有することで、これらの情報を根拠として、ターゲットへ購買を促すためのデザインに落とし込むことができます。クライアントの要望を汲みながら、「商品の良さをターゲットに的確に届ける」という本質からブレない範囲で、幅広い発想で提案するなど、綿密なやりとりを重ねていくことで、デザインにおける説得力が生まれていくのです。

架空のビジュアルを例に考える

 説得力のあるデザインが実際にどう生まれるのか、どのような思考・対話を経てデザインを構築していくのか、架空のビジュアルを元に検証してみましょう。クライアントはコスメアイテムを製造・販売するメーカー。依頼内容は、商品の売り上げ向上のためのフライヤー制作であると仮定します。ターゲットは20代後半~ 30代前半の「自分に似合うメイクを慎重に選びたい」と感じている女性。価格帯は「5,000~15,000円」程度とします。
 Beforeはターゲット層への理解が深まっていない状態のまま制作したもの。対してAfterはターゲット層のニーズを掘り下げ、説得力のあるアプローチを探った結果、仕上がったデザインです。

 Beforeのデザインは、色味やあしらいもPOPで可愛らしい印象が強く、ターゲットである20代後半~ 30代前半の働く大人女性の目に留まるデザインであるとは言えません。また、コスメそのもののディテールは分かるものの、イメージ写真がないために発色や塗った時のイメージが湧かず、ターゲットの求める「自分に似合うかどうか」という判断もしづらいのではないかと考えられます。 対してAfterでは、「『このアイテムを使えばこういうメイクになる』といった分かりやすい情報が欲しい」というターゲットのニーズを意識して制作したデザインです。仕上がりが分かるイメージ写真と使用したアイテムでグルーピングして掲載し、全体の雰囲気も落ち着いた大人な印象にまとめ、ターゲット層の目に留まりやすいデザインに仕上げました。
 商品を売りたい!という強い想いから、「商品画像をなるべく大きく入れて充実感を出したい」「コピーで特長を細かく伝えたい」と思うのも自然ですが、情報量が多いと強弱がつけにくくなり、むしろどれも目立たなくなってしまいます。そのため、膨大な情報の中から「今回のターゲットにとって最も伝えるべきことは何か」を考え、情報に優先順位をつけながら取捨選択をしていくことが重要です。
 もし、手元にある情報だけで表現が難しい場合は、バイヤーの意見や口コミの情報などを、クライアントを介してデザイナーが引き出すことも必要となってきます。こうしたやりとりを重ねて「その商品ならではの見せ方」を提案することは、ターゲットに納得してもらうきっかけの一つになるでしょう。
 「売れる」というゴールを常に意識しながら双方で対話を繰り返すことで、よりターゲットのことを意識した「説得力のあるデザイン」が生まれます。

おわりに

 「いいデザイン」のはじまりは、クライアントとデザイナーの良質な対話です。そこから一歩先に進んで「売れる」という目的を叶えるためには、「クライアントとデザイナーの対話の先にはターゲットがいる」という意識が大切です。ターゲットを意識し、小さな提案を対話で重ねながら制作した「説得力のあるデザイン」は見る人に納得や共感を与え、商品を購入するきっかけとなります。そうして顧客満足度を高め続けることで商品やブランドの信頼感にもつながり、ターゲットの心を掴むことができるのです。

(株式会社フジプラス)

まとめ

■商品を売るためには、その魅力をターゲットに的確に届けることが大切。
■売れるための要素の一つとして、デザインによる説得力がある。
■「説得力のあるデザイン」が人に納得や共感を与え、購買に繋がる。

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