「アクティブシニア」ホントのところ

2019年4月10日

vol.8
シニア×健康管理

※写真はイメージです

これだけは手に入れておきたいもの=「健康」!

年を重ねてこそわかる、若い頃には理解しがたい感覚、というのは少なからずあります。その代表が、「健康が一番大事」という考え方。健康が当たり前という大抵の若い世代なら、「いや、美貌も大事でしょう」「そうはいってもお金がないと」等の意見を持つ人も多いでしょう。でも、実際、シニア世代の同窓会では、何かと健康ネタに行き着くのが定番です。かわいい、きれい、かっこいい、ではなく、健康がキラキラまぶしいわけですね。価値観も、年齢とともに様変わりするというお話でもあります。同窓生のだれかが、ダントツで若々しかったりすると、「秘訣は何?」と大注目に!とは言え、一定以上の年齢になると、見た目年齢は個人差が大きいので、同じアクティブシニアでも、自分がどんな目標を持って健康管理を実践するかの関心レベルも様々です。

いろんな情報に振り回されたくはないけれど...

健康に関しては、毎年何かしら新説が生まれたり、新たなエクササイズがあみ出されたり、「実はこの食べ方でないと意味がない」と過去の通説を覆す説が出てきたり、こまめに情報収集すればするほど混乱しそうなご時世。健康は、特にシニア世代には気になるキーワードなので、「つい振り回されてしまっている」という方も少なくないでしょう。日常的に運動してきた方、長年自分なりの健康法を実践してきた方々は、自分流をベースに、多少新しいことを加える程度なので影響は限定的です。一方で、これまで健康管理にシビアでなかったけれど急に目覚めた場合、テレビや新聞、雑誌や口コミ経由のあらゆる情報が気になり、極端な取り組みにより、かえって健康に良くない状態になりかねません、それでは、本末転倒です。もちろん、本人もハッと我に返ります。よって、シニアターゲットの商品の売り手視点で考えると、むやみに不安をあおるような表現での販促は、一時的には効くとしても、後々印象が悪くなる可能性を秘めていると言えそうです。

主に「食」を切り口に健康な体づくりを目指す場合

健康を気遣った食事を長年続けている方を除けば、大抵の場合、食事面で健康対策を始めるきっかけが何かしらあります。例えば定期健診で、治療は必要ないけれども「意識して気を付けましょうね」と指摘される「改善すべき数値」が見つかった時。高血圧、コレステロール値が高い等の結果に、「塩分は控えめに」「好きだけど魚卵は控える」と決意し、対策別のレシピ本を買ったり、市民講座等で栄養面から学んだり、と行動に出ます。一般的に食事作りは女性が担当することが多いので、自分や夫の健康のために食材選びから調理方法に至るまで、できることはやってみようと頑張るわけですね。時には、身近で信頼できる人からのすすめで、補助的にサプリメントを摂ることだってあるでしょう。食事は、毎日毎食ついて回り、長い時をかけて体を作る源なだけに重要です。例えば、「今こうして元気でいられるのは妻のおかげ」と世の夫たちが素直に感謝の言葉を表現できるようになれば、夫婦間の会話も増え、笑顔も増え、さらに健康になれるかもしれませんね。

主に体を動かす習慣づけから健康を意識する場合

運動にも親しんできて、どちらかといえば体力にも自信があり、若く見えると自負する方のほうがむしろ、運動機能の衰えに対しては敏感です。以前、これぞアクティブシニアという方がマラソン大会に参加し「去年まで平気だったのに、今回つらいのがショックだった」という話を聞いた時、そのペースで完走できるなら十分では?と思ったのですが、本人の感じ方なので、むやみにコメントするのは控えました(ここ大事です!)。若い頃から運動習慣のある方は、ご自分に厳しいながらも過去の記憶と照らし合わせて体調コントロールできますが、シニア世代になってから急に取り組む場合は要注意というお話です。「健康のために運動を始める!」と張り切りすぎて怪我をした、筋を痛めた、という失敗談もしばしば。もちろん、一度こういうことがあると慎重になるため「スポーツジムに通って、スタッフからアドバイスを受けて取り組みたい」というニーズも生まれます。食事面でも何でもそうですが、思い込みだけで突き進む「急激に」「極端に」は危険なのです。言い換えると、素人ではなかなか対処できない、というところにビジネスが入りこむ余地がある、ということです。

実はコミュニケーション度合いが健康にも影響?

シニア世代の方々と話していて、ひとつ気付いたことがあります。健康意識へのモチベーションは、元々のライフスタイルに大きく左右されるのは確かですが、もうひとつ影響を与えているかもしれない要素が思い当たったのです。それは、日頃からどれだけ人とコミュニケーションをとっているか、ということ。家族と同居していようが、一人暮らしだろうが、そこが決定的な条件ではなく、積極的に外に出向いて人との関りを持とうとする、つまり自らコミュニケーションをとろうとする姿勢が適切な情報収集・情報交換につながり、正しい判断への近道になっているのでは?という予測です。仲間同士で、「こういうのが体にいい」という肌感覚も含め、情報共有することの奥深さを感じます。そういったコミュニケーション上手なシニアの方々は、「運動=体を動かすこと」への解釈は実にしなやかです。無理してスポーツを始めたりせず、趣味の家庭菜園やガーデニング、犬の散歩、ウォーキング等を組み合わせて、バランスよく体を動かしておられることが多い気がします。健康管理の問題は、実は、日常の趣味・習慣をはじめとするライフスタイルの結晶なのだということですね。

ココに注目!

今回取り上げた健康管理については、アクティブシニアが日常的な体のケアを行う上で、運動と食事という、大きく2つの方向からアプローチして考えてみました。発信される情報量の増加に伴って、健康意識の高まりはあっても、実行するためにどのような目標に向かって、具体的にどういった対応が必要なのか、という視点でセグメントすることで、等身大の消費者像が浮き上がってきました。健康は、日々の過ごし方、つまりは生き方と直結する問題だけに、各自が求める達成感も様々です。価値観の多様化がもたらすのは、それぞれの「こうありたい」にマッチした商品やサービスの分化でしょう。その数だけチャンスがありますね。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.8「シニア×健康」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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