Vol.03 - ペットと共に暮らす心豊かな社会を築く

高齢者とペットの良い関係づくりを多方面から支援するプロフェッショナル

「高齢者とペット」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか。日本では、ペットブームと呼ばれた時代を経て、今や飼い主とペットとの関係も成熟期に入ってきました。そこで、高齢者の心と体の健康、生きがいや社会参画、さらには地域連携のきっかけという切り口から、特に犬・猫といったペットに着目し、株式会社ペピイとしての取り組みについて語っていただきました。

カレンダ-製造販売からスタートし社会とペットをつなぐ「架け橋」へ!

株式会社ペピイが生まれたのは、新日本カレンダー株式会社(カレンダー製造販売)内に、1993年にぺピイ事業部として始めたペット用品の通信販売がきっかけでした。カレンダーとペット用品2本立ての展開で、ビジネスパートナーの動物病院は今や1万軒超えに。動物病院向け医療用消耗品や医療機器の販売、一般の犬猫飼育者向けにペット用品通販で培った信用を生かして、未来への取り組みをと、2007年に子会社化しました。

事業の中心は、動物病院の医療スタッフ向けセミナーです。グループ内に動物看護師を育成する専門学校を運営している関係で、主に動物病院スタッフの人材育成を重視しているためです。最近は、ペットの寿命も伸びて、高齢ペット独特の病気の専門知識が必要に。さらに飼い主の高齢化で、獣医さんの説明のフォローや治療法の情報提供、次のペットを迎えるアドバイス等、広がり続けてる動物看護師の支援活動の一環と位置付けています。他に、マーケティング調査や市場分析も行い、数字から見る「今」を読み解きながら、ペットと、とりわけ高齢者との関係には特に注目しています。

人とペットとの関係から世相が見える!高齢の飼い主さんに必要なこととは?

ペット用品の通信販売事業を始めた90年代前半は、ペットブームと言われていた時代です。まだ飼い主さんのマナーや飼育方法、身勝手な遺棄等の問題もあり、一方で環境が整わない中でのブームでした。当時、獣医さんとの話で、マナー向上も含め正しい情報提供が大切、ということで一致し、「人と家庭動物が共生できる幸せな社会づくり」というキャッチフレーズが生まれました。

犬の例で見ると、90年代後半~2000年代には、約1,300万頭まで犬の飼育頭数は増加しましたが、2008年をピークに、現在まで減少し続けているのが実情です。この背景の一つが、飼い主さんの高齢化問題。飼っていた犬を亡くした時に、本音ではまた飼いたくても、自分の年齢を考えて最後まで世話できないので次はもう飼わない、と飼育をあきらめる60代以上の高齢の飼い主さんが大半です。ちなみに、若い世代では、飼いたいと思う絶対数も減少中。経済的ゆとりがなく、生体価格の大幅上昇などの影響もあり、理由は違うにしても、結果的に飼いたくても飼えないという状態は同じです。

高齢者と言っても、健康面や経済面、住宅状況も様々ですが、中でも特に一人暮らしの飼い主さんへの配慮は急務でしょう。高齢者の暮らしを地域で支える地域包括ケアの仕組みは、動き始めたばかり。ケアマネジャーさんに高齢者の飼っているペットを把握してもらい、飼い主さんが元気なうちに、もしもの時にお世話をお願いできる人を探しておくのが理想です。ただ、現実には人のお世話で手いっぱい。そこで、動物病院に犬や猫を連れて来院する高齢者の方に、適切に声をかけて不安を聞き出し、納得のいく方法で解決するといった動物看護師の役割の拡大に注目しているという状況なのです。

単なる啓発活動ではないリアルな情報発信が「あした」をつくる

日頃からかかりつけの動物病院をもち、気軽に相談できる動物看護師さんの存在が、とりわけ高齢の飼い主さんにとっては重要です。というのも、信頼関係にある動物看護師さんのアドバイスで、ペットが病気の時に「もしこれで亡くしてしまったら」と心の準備をすることで、いざ亡くした時の心のダメージが軽減されるそうなのです。冒頭でふれた、事業として動物看護師向けセミナーを開催する意味は、こういうところにも繋がってきます。

また、西澤代表は、2015年7月に開催された「第4回神戸全ての生き物のケアを考える国際会議」シンポジウムに、NPO法人動物愛護社会化推進協会の代表として登壇。犬猫の飼い主対象の調査結果から、注目ポイントを挙げておられます。「ペットとの暮らしで良い面は?」の質問に、60歳以上に限ると、上位3位は、癒される、毎日が楽しく過ごせる、自分自身の健康に役立つ(P2資料1参照)。さらに、「健康に役立つと答えた方があてはまるものは?」との質問に対しては、よく歩くようになった、が最多に(P2資料2参照)。ペットとの関係は、高齢者の実情を知るのに有効な切り口と言えるでしょう。

高齢者の社会参画応援から心豊かな生活の「場」のプロデュースまで

「高齢者にとって、何らかの形で社会と関わることが大切」と言われますが、ペットを飼うことで可能になる社会参画とは何でしょう。それは例えば、小学生の通学路で犬の散歩を兼ねた見守りボランティアや、散歩途中のあいさつで地域を活性化すること。無理なくできることで地域の役割を担う意識と、世話もちゃんとしなければ、という責任感こそがキーなのです。

2015年秋から、(公社)大阪市獣医師会による「子猫リレー」という取組みがスタートし、ペピイも活動を応援しています。60才以上の方を「キトンシッターボランティア」として募集し、行政から譲渡されワクチン接種等のメディカルケアを施した子猫を、期間限定で育ててもらう活動です。(その後、子猫は最終飼い主へとバトンタッチされます)。たとえ限られた期間でも、社会に役立つ充足感も得られる、意義ある試みとしておすすめしています。

また、2018年春にはグループ内の新事業として、ペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI」の開設を予定しています。以前から、獣医師会の方に聞いていた、施設の都合で仕方なく家族同然のペットを手放した高齢者の話も、背中を押した格好です。「高齢になってもペットを飼いたいという方を幅広くサポートしていける存在でありたい」と語る西澤代表。動物をこよなく愛する心が、様々なアイデアの源だと実感しました。

(シルバーラボ/株式会社フジプラス)

株式会社ペピイについての詳細は、こちらでご覧いただけます。
https://www.peppy.jp/