「アクティブシニア」ホントのところ

2019年3月27日

vol.7
シニア×美容ケア

※写真はイメージです

「美容ケア=若い女性の関心事」ではない!

以前なら、デパートの化粧品売り場や、話題の美容院、エステサロンと言えば、若い女性が中心のメージだったかもしれません。「外見に気を遣い、キレイのためにお金を使うのは若い女性」という、ややバイアスのかかった「常識」(実情はそうでなくとも)を前提としたプロモーション展開が多かったためです。ところが、最近は、例えばカウンセリング化粧品のカウンターで見かける女性の年齢層も様々。おしゃれ感度の高いシニア女性が増えたのも一つ。年齢なりのお肌のお手入れやメイク方法があるので、周りがどう思うかよりも自分の気持ちに忠実に行動するシニア女性が増えた、というのも事実。キラキラした瞳で化粧品を眺める姿を見かけるたび、素敵な未来の予感にワクワクします。

「なるほどそんなきっかけもある!」という気付き

大阪・梅田の地下街を歩いていた時のこと。後ろを歩く、年の頃は60代後半かと思われる2人の女性(あとで振り返って確認。品のあるいでたちのお2人でした)が、エステについて語っておられました。一方の女性が、カタログギフトのチケットで、高級ホテル内エステサロンに行ってみて気に入り、頻繁に通うようになったそう。「ちゃんとしたエステは、私たちの年代こそが行くべき」と語っておられました。よほど満足度の高いサービスだったのでしょう。シニア女性は、一度納得するとリピーターになりやすく、さらに家族や友人にすすめることも。見えにくいながらも、口コミを駆使した隠れたインフルエンサーになり得る存在です。シニア女性の気持ちに寄り添うサービスや商品は、適正にサービス提供すれば、リピート買い、指名買いに直結する可能性が高いということなのです。

加齢由来のコンプレックス解消という視点

美容、という言葉が示すカテゴリーは、年々拡大中。お肌やヘアケアに関することを始め、ネイルケア、フットケア、はたまた体の内側からキレイになることを目指すインナービューティーという考え方まで。ただし、シニアに対しては、よりわかりやすい、言い換えると「指摘されるとドキッとするキーワード」からのアプローチが多く見受けられますね。お肌のハリがなくなった、目元口元のシワが気になる、髪の毛のコシがなくてトップにボリュームがない、という一般的な加齢現象に対する問題解決型商品は、ちょっとでも解決したい方々にとっては願ったり叶ったり。彼女たち(主に女性なので)にとっては「価値ある情報」なのです。日々接する膨大な情報の中から、自分たちに必要な情報を見つけるのは大変です。できるだけシンプルな方法で、わかりやすく伝えることが肝心です。ふさわしい人に正しく伝われば、「私はこれを探してた!」という運命を感じてもらえるはず!そういう仕掛けあってこそなのです。

「どうありたいか」の違いが感動ポイントの違い

アンチエイジングを含め、エステでも何でもやって若さを保ちたい!という例は、わかりやすいので最初に言及しました。ただ実際は、無理のない範囲でケアしたり、気になるところだけに絞って対処するケースが多数派でしょう。美容ケア全般を望み通りに享受するには経済的な条件も必要ですし、モチベーションを維持し続けるのも一苦労。だから大抵は、ケアするパーツの優先度で、自身に必要な対策を見極めていきます。以前、60代前半の女性が、断言しておられました。「人に見てもらうためでなく、自分が自信を持つためにお肌のお手入れをしてます」と。そこには、自信を持つためのベースは美しい素肌である!という信念があるわけです。目指すところも現状の基準も各自違うのが当然なので、例えば「だれもが気になるであろうキャッチコピー」なんて発想は持たないことです。予想されるポイントを抽出し、「(具体的に)こういう人が気になるキャッチコピー」を複数作るのが正解、ということになります。

シルバーヘアの市民権はまだまだこれから?

2018年は初めて大々的にシルバーヘアが注目された年でした。芸能界でも、あえて白髪を染めないシルバーヘアで素敵に輝くアイコンの登場で、話題となりました。シルバーヘアの女優さんをモデルに起用したムックも続々創刊され、市民権を得た感覚でしたが、もっと身近なところでは、そうそう単純ではないと感じました。長年白髪染めをしていた方の話ですが、シルバーヘアへの変身はかなり大変だったのだとか。自然に少しずつ変化させるため、いつも以上にマメに美容院に通ったそうです。「ほったらかしシルバーヘアは疲れたおばあちゃんに見えるでしょう?」と。また、変身する覚悟ができずに悩み続けるケースも。いざシルバーヘアに!と決心したものの、踏ん切りがつかないパターンです。ふと「老けて見えるかも」と不安に。若さだけが価値じゃない!年齢なりの美しさがある!と思う一方で、どこか受け入れることができない・・・。そうです。矛盾する複雑な心理状態も、人間のリアルな姿。そういう真の姿を理解してこそ、シニアマーケットを捉えることができるわけです。

シニア女性の気持ちは揺らぎつつも収束する

例え年齢を重ねて、自分なりに自分の顔(顔に限りませんが、象徴的にこう表現)を作ってきた、と受け止めている方でも、「そうは言っても、若いって言われたらうれしい」と思うものです。自然体で輝けるものなら、それがベスト!と考えつつも、多少は抵抗してアンチエイジング対応したくなるのも素直な話。でも、彼女たちは分かっているのです。長年自分と向き合ってきて、若い頃はコンプレックスでいやでいやで仕方なかった特長ですら、いとおしく感じることだってできる分別ある大人。シリアスな問題解決の提示ではなく、やさしく問いかけるような提案が適しています。「これだと、お肌のお手入れもワンステップで楽ちん」「朝起きた時、頬にふれるのが楽しみになる」といった、ストーリーのあるアプローチです。心に響く、とは、そういうことだと思います。

ココに注目!

今回取り上げた美容ケアについては、さまざまなジャンルがあって、それも年々拡大しているような状況で、どうありたいか、目指すところはどこなのか、という切り口からセグメントすることで、利用者像が浮き上がってきました。多様な価値観がじわじわ広がりつつも、まだまだ過去の考え方を乗り越えられなかったり、気持ちが揺らいだり、それはもう悩みはつきものです。でも、そういうシニア女性のあらゆる願いや思いがある限り、さまざまな気持ちのステージにふさわしい商品やサービスとの出会いが必要とされてくるわけです。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.7「シニア×美容ケア」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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