「アクティブシニア」ホントのところ

2019年2月27日

vol.5
シニア×国内旅行

※写真はイメージです

そもそもシニアにとって旅行の目的って何?

シニア×旅行、という切り口で考えようとした際、すぐに国内も海外もひとまとめに語る無謀さに気付きました。非日常感レベルの違いもありますし、旅行にも、条件や過ごし方、目的等であまりにも幅があるからです。そこで、まずは国内旅行から考えてみることに。ひと昔前ならば、シニアと言えば、団体バス旅行!という印象も強かったと思いますが、それは数多い選択肢の中の1つにすぎません。企業や団体が実施しているシニアの趣味に関するアンケートでも、旅行は決まって上位に入るほど「コト消費」の代表です。相当数多くのシニア世代が行くわけですから、目的も満足のツボ、も違って当然!まず、コスト的な目安や滞在日数、だれと一緒に行くのか、滞在型が良いのか、あちこち動き回りたいのか、最も重視したい楽しみ方からニーズが見えてきます。もっと言えば、行く前の準備段階に始まり、帰って来てからの思い出の整理(画像データ保存、場合によってはフォトブックの作成)まで、さまざまな要素で構成されていると言えるでしょう。

「ゆったり」「のんびり」な過ごし方なら?

あちこち動き回る旅行でなく、ゆとりある日程で、夫婦や母娘での個人旅行のようなケースでは、どういうニーズがあるのでしょう。以前、旅行会社で見かけたご夫婦のお話です。カウンターで相談中の60代後半と思われるご夫婦は、「せっかくなので」というフレーズを何度か口にしながら、ちょっと贅沢な温泉旅館を探しておられた様子。結婚記念日だとか、多忙を極めた旦那さまの退職記念に「妻への感謝の豪華温泉旅行プレゼント」という可能性もあるでしょう。別のご夫婦は、クルーズ専用のカウンターで検討されているところでした。比較的お手軽な価格のクルーズも増えたこともあって、人気も上昇中のようですね。また、大人の母娘旅という形もこの「ゆったり」「のんびり」カテゴリーのひとつだと言えます。例えば、働いていた期間も長く「感覚も若い60代母」と、比較的自由にお金を使える「働く30代娘」の場合、2人の趣味や興味対象が似ていると、旅行に求める満足レベルも支出も高くなると考えられます。各種イベントやアート、ご当地限定グルメ等がその一例でしょう。

ワクワク+思い出づくりが目的なら?

一方、仲間や家族とわいわい言いながら楽しむカテゴリーではどうでしょうか。以前、京都で、60代と思われる女性3人がランチを食べつつ旅行を計画する場面に出くわしたことがあります。観光とグルメ目的の伊勢志摩へ、とのことで「結局、旅行先でもしゃべってばっかりだったりして」と盛り上がっていました。また、昔からの友人や同級生など、気心知れた仲間と行く日帰りバス旅行の話も耳にします。ちょっとした同窓会のような形で、思い出話に花を咲かせながら、おいしいものを食べてお土産を買って帰る、というもの。気軽に参加できるのが魅力なのでしょうね。また、息子(または娘)夫婦と孫と一緒に3世代旅行に行きたいと考える「じいじ」も少なからずいらっしゃいます。孫かわいさが動機の中心なので、「じいじ」は計画に積極的で、金銭面でも多めに負担するケースが見受けられます。シーンや動機は様々でも、いつもと違う方法で親睦を深める、というコミュニケーション主体の旅行である点は共通しています。

実はこんな現象も起きている!というお話

身近な70代ご夫婦の実例なのですが、数年前から「青春18きっぷ」を利用した日帰り旅行に夢中になっているそうです。ネーミングゆえに勘違いされがちな「青春18きっぷ」ですが、年齢制限はありませんので、どなたでも使えます。全体から見れば例外的な現象かもしれませんが、移動そのもの(どういうルートで行こうか、どこで途中下車しようか等)を楽しむことも目的であることが特徴でしょう。ご夫婦揃って、地図を片手に計画する段階から相当楽しめるのだそうです。確かに、書店でも使いこなし術をまとめたガイドブックも見かけますね。それこそ、「ゆったり」「のんびり」の概念の別方向への進化による現象でしょうか。ごく一部のシニアの好奇心は、お金をかけて得る「ゆったり」「のんびり」ではなく、知恵を絞ってたっぷりある時間を最大限楽しむゲーム感覚の旅、という新たなカテゴリーすら生み出したわけです。

新たな「シニア」が国内旅行に求めるものとは?

周囲の60~70代の方とお話をしていると、「私は感覚も若いし、年齢より若く見られる!」と思っている方が実に多いと気付かされます。外見や健康、体力の自信の表れこそが、「まだシニアなんて言われたくない」と思う根拠です。ネット上で見かける各種調査結果等でも、「シニアだと思う年齢」が当事者世代の間で年々上昇しており、まだまだ気持ちが外向きで、好奇心旺盛な状態であるということがわかります。確かに、先の「青春18きっぷ」の例もあり、「最近の70代は若くて元気だな」と思う場面も多いのですが、そうは言っても限界もあります。若い頃のようなハードスケジュールの旅行プランはさすがに無理ですから、移動にもゆとりを持たせたり、十分な休憩時間を設定したツアーで、ニーズに応えている例も。シニアにシニアと言わず、ネガティブに受け止められる可能性のある表現も使わず、気遣いを最優先するのです。旅館やホテルも、シニアに配慮した部屋の構造だったり、細やかなおもてなし対応だったりすると、「行ってみたら実は快適だった」と、口コミで人気が広がることも少なくありません。そういうところから、さらにまた別のシニアの国内旅行文化が生まれるかもしれませんね。

ココに注目!

今回取り上げた国内旅行については、シニアのライフスタイルや価値観の変化をヒントに、だれとどう過ごしたいのか、という目的基準でセグメントすることで、従来型、新型を含めた購入者像が見えてきました。ここでも、「シニアだからこうだろう、という勝手な思い込みは、判断を見誤ってしまうことに。レジャーの代表である旅行、中でも身近な国内旅行に求めるもの、結果得たいもの、という観点から紐解いていくことで、「遊び上手」な今どきシニアの心の内を少し理解できたような気がしました。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品(ここでは国内旅行)の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.5「シニア×国内旅行」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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