「アクティブシニア」ホントのところ

2019年1月29日

vol.3
シニア×デパート

※写真はイメージです

シニアはやっぱりデパートが好き?

デパートと聞いて、どういうイメージを想像するでしょう。年代、住むエリア、ライフスタイル等々によって、思い浮かべることは全く違うかもしれません。「そういえば子供の頃、屋上に連れていってもらった」(あるいは、「子供を屋上に連れて行ってた」)、「利用するのは催事ぐらいかな」「デパートにはめったに行かない」関わり方の数だけ、印象もいろいろでしょう。ではここで、シニアに絞って考えると、客観的事実として、平日の昼間のデパートは、想像以上にシニア層の姿が目立ちます。食料品売り場(いわゆるデパ地下)、リビング、キッチン関連などが、特にそうです。今のシニア世代は、地方を含め、デパートが生活の豊かさを実感できる場でだったり、キラキラしていた場だった時代を経験した方々。ただし、過去のイメージだけで利用し続けているのではなく、時代と共に変化した新たなサービスを含め上手に取り入れている結果、他の世代よりも通う頻度も高くなっているようにも見えます。もちろん、その土台には、長年にわたって培われてきた「信頼感」があります。

意外と「コト」消費で訪れるシニアも多い

購入対象の「モノ」に対して、体験がメインの「コト」消費の場としてのデパートのあり方は、最近のリニューアルのコンセプトからも顕著です。中でも、「食」に絡む「コト」消費は、シニアとの相性も良いようです。デパートの上層階にあるレストラン街(さすがに、「デパ上」とは呼ばれてないでしょうが)は、平日の昼間はシニア女性を多く見かけます。おひとりの方、おふたり連れに加え、なぜか女性3人グループが多くみられ、おしゃべりも盛り上がっている様子。ご夫婦は、意外と少数派です。あっさり和食が人気なのかと思いきや、必ずしもそうではなく、アジアンダイニングや洋食メニューのお店等も好まれているのは想定外でした。デパートのレストランフロアは、普段自分で作らないもの、話題のものを食べる体験を楽しみ、ゆったり語らう場としてとらえられているのかもしれません。

デパ地下はシニア目線での合理主義にかなっている

また、デパ地下も非常に興味深いですね。ここでは、レストランフロアとは逆にご夫婦で買い物されている姿も多いのです。あちこちのデパ地下でシニアウォッチングしてわかったのは、特にとんかつやクリームコロッケのような揚げ物を買い求める方が多いということ。材料を買いそろえる手間、油の処理、片付けの手間を考えると納得できますが、目の前の現象を見ない限り、気付きにくいポイントでもあります。サラダ専門店も人気。少量ずつ、ショーケースを覗き込みながら複数種買い求める姿をよく見かけます。最初は「なぜサラダ?」と不思議だったのですが、よくよく考えると思い当たることが...。サラダを作る時にみなさんも実感されると思うのですが、少量作るにも、いろんな素材が少しずつ必要なメニューです。ここでも、揚げ物同様、高齢のご夫婦だけの生活の中では、作るより買う方が合理的、という判断がなされているのだと思います。

シニアターゲットを明確にしたデパートも!

シニアにやさしいお店づくりをしている、東京都内のとあるデパートでのこと。平日の午後2~3時頃に行くと、特にデパ地下は手土産やお惣菜を買い求めるシニアでにぎわっています。気付いたのは、店員さんとお客さんとの会話の多さ。ちょっとした言葉にも気遣いが感じられる、おすすめ上手の店員さんと、やりとりを楽しむお客さん。この良い関係が、お店を支えているのでしょう。また、フロア設定からシニア向けに特化しているデパートもありますね。上層階にあるのが一般的なリビング用品や介護用品を、アクセスしやすい低層階に展開するという、おもてなし感があふれています。こうした店舗では、店員さんの年齢層も、通常よりあえて高めにしているのでは?と感じることもあります。シニア層の気持ちをしっかりとらえて、ニーズをちょっと先回りしてアドバイスする姿に、なるほどと思いました。

何はさておき、接客対応がカギになる!

先日、とある70代女性から、こんな話を聞きました。大型の家電量販店でキッチン家電を買うため声をかけた案内役の若い男性店員に真意を汲み取ってもらえず、機能性について長い時間説明されたものの、判断がつかず断念。後日、デパートで買ったそうです。価格は少々高くても、シニア目線に立ってやさしく教えてくれる店員さんから買いたいと考える層も確実にいるわけです。
シニアは、会話を含めてコミュニケーションを重視します。いったん気に入ったら義理堅いので、そう簡単には心変わりしません。関西の、とあるデパートの手芸売り場は、いつ訪れてもにぎわっています。お客さんは、ほぼ全員がシニア女性。にこやかな店員さん(かなりのベテラン風)が、丁寧に作り方を手ほどきしているのですが、その会話のスキルがすごいのです。季節によって作るものが変わるので、何回通っても飽きない。しかも、相談して薦められた材料をそこで買って、作業テーブルでおしゃべりしながら楽しく作る、楽しいからまた行きたくなる、という図式です。
また、シニア女性が、売り場で「このイヤリングすてきだわ」とか「この花柄の靴下かわいいわ」などという姿は、本当にチャーミングです。若い頃と同じように、「似合うわ、それ」などと言いながら、はしゃげる世の中は素敵ですよね。そこに行けばワクワク体験ができる!というワンダーランド。シニアにとっても、必要不可欠な場所なのだと思います。

ココに注目!

今回取り上げたデパートについては、ライフスタイル別(利用目的と直結)でセグメントすることで、シニアが必要としていることアレコレ、が見えてきました。デパートとひと口に言っても、冠婚葬祭関連も含め利用される方から、特定の催事だけ行く方、レストランでのランチ利用がメインの方、デパ地下のみに徹している方など、それぞれ見える風景も違います。商品によっては、品質の良さを求めて行く、また、目的によってはハイレベルな接客に期待して行く、ということもあるわけです。そんな行動パターンから、シニアにとって必要なサービスのヒントが見えてきます。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品(ここではデパート)の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.3「シニア×デパート」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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