「アクティブシニア」ホントのところ

2019年7月29日

vol.12
シニア×コンビニ

※写真はイメージです

「コンビニ=若者が行くところ」ではない!

コンビニと言えば、どこにでもあって当たり前の存在です。かつては、販売スタッフもお客さんも若い世代、というイメージでしたが、大きく様変わりしてきていますよね。まず、販売スタッフの方でいうと、年齢層の広がりは体感的にも顕著ですし、エリアによっては外国人の学生アルバイトの方もかなり増えてきた印象です。コンビニスタッフ募集のサイトをざっと見て気付くのは、「シニアも活躍中」といったコピー。なるほど、こういうところから変化しているのです。お客さん側も、あらゆる世代に広がりました。コンビニで扱う商品バリエーションや提供できるサービスの多様化によって、行く目的も広がり、結果としてこれまではまだ少数派だったシニア層が増えてきている、という印象です。内閣府が公開している「都市圏と地方圏別にみた高齢者の購入形態別消費シェア」の調査結果に見られるように、特に都市圏でコンビニ利用が宅配と共に多くなっており、日常の買い物先として定着しているという印象です。一部ファーストフード店の例のように、同年代の販売スタッフがいるとなんとなく安心感がある、入りにくさを解消する、という相乗効果があるとしたら興味深いですね。

劇的変化!コンビニの役割のさらなる多様化

以前に比べ、利用者目線で見た時に「コンビニでできること」がどんどん拡大し、求められる役割も少しずつ変化してきました。これは、行動範囲が狭くなっていくシニア層には特に注目のポイントです。これまで通り、近所にあるとうれしい便利ショップであることは大前提ですが、コンビニ内にイートインスペースが設けられるタイプが増えてから、淹れたてコーヒー(時にはスイーツと共に)をその場で飲んでカフェ代わりに使う方が増えたのも大きな変化。また、ミニスーパー感覚でお弁当や総菜を買い求めたり、イベントチケット発行のために行く方もいらっしゃいます。また、銀行ATMや、公共料金や税金の支払いはご存知の通りですが、住民票発行や、食事の宅配、ECサイトの受け取りサービスに至るまで、生活関連サービスの扱いも拡大中です。また、2011年の東日本大震災での経験から、コンビニが果たすべき役割について、地域の災害時対策的な見方も広がりました。都市部と地方で事情の違いはあるにせよ、徒歩圏内のお店の有無がシニア層の生命線、というのは決して大げさな話ではなさそうです。

一部の「買い物難民」を防いでいるという役割

最近では、「買い物難民」という表現を耳にすることがちらほら。買い物に行くのに何らか困難がある方々を、メタファー的に表現していますが、高齢化に伴う社会現象の中でもかなり深刻です。例えば足腰が弱って自由に動けなくなると、自力で遠くまで行くのは難しく、「自分の好きな時に買い物に行くのがこんなにも大変なのか...」と実感することになります。そうなると、「近所なら歩いて行けるし、コンビニが便利」となるわけですね。ある地方都市でのこと。商業施設が集中する駅前から離れた住宅街のコンビニに、70代後半ぐらいの女性が、小さめの買い物カートを引きながら入ってきました。彼女が選んでいたのは、お惣菜や小分けパックの野菜、お豆腐等。生鮮品もそろうコンビニは、さしずめミニスーパーです。確かにその近辺にスーパーらしきものは見当たらなかったので、彼女にとっては日々の買い物の場なのでしょう。危うく「買い物難民」になるところを、コンビニに救われている状況かもしれません。外出がままならない方には宅配サービスという選択肢もありますが、自ら買い物に行くという行動は単なる買い物の問題ではなく、社会的活動を続けるという大きな意味を持つがゆえに重要なのです。

もちろん利便性だけで選ぶわけではない!

先ほどの高齢女性の例のように、なんとか一人で外出できる方でも、歩く速度にしろ、持てる荷物の量にしろ、若い時のようなわけにはいきませんから、自分で車を運転したり、乗せてもらったり、という環境にない限り、行動範囲は狭くなるものです。それゆえ、徒歩圏内を想定して住宅地にも点在するコンビニは、遠出しにくい方にこそ重宝がられることになります。ここで大切なのは、アクセス面での魅力だけで選ばれているわけではない、ということ。ニーズに合った魅力的な商品ありきなのです。最近はお惣菜やスイーツを始め、保存性の高い冷凍食品も、コンビニ各社がプライベートブランドとして展開する商品クオリティもどんどんアップしています。特に一人分の量になっていて、電子レンジで温めるだけで昼食や夕食になるものも多く、毎日一人分の料理をするのは面倒、というニーズにもマッチしたことも一つ、さらに、ついでにちょこっとお菓子(和菓子も洋菓子も)やアイスクリームも買える、という「ついで買い」需要も見逃せない魅力になっているはずです。

人が「集う場」としてのコンビニのこれから

立地条件によってコンビニの果たす役割も少しずつ違うとはいえ、あらゆる世代が商品やサービスを求めて立ち寄る場所になった今、さらに何かプラスする形で地域の拠点的役割を果たせるようになると理想的です。ある70代夫婦の場合、行きつけのコンビニのチラシについているクーポン券を常に持っていて、会計の時に「今日の買い物で使えるものってありますか?」と会話することで販売スタッフとコミュニケーションが深まり、好みをわかってもらえたことでついつい立ち寄る頻度も高くなったそうです。対話によって「ついで買い」が増える、という流れですね。シニア層には、デジタル経由のオファーはハードルが高いので、シンプルでアナログ的なものでファン化を考えるのが妥当でしょう。参考になりそうな話としては、ドラッグストアで様々なイベントを企画してシニア層の来店を促し、共感度を高めていく施策をとるお店もあるようです。コンビニでも同様の企画が実践できれば、「集う場」としての魅力も増しますよね。やがてシニアに限らす、様々な世代との交流の場として進化していくとしたら、安心感も含め、地域の拠点としての価値も高まるはずです。

ココに注目!

今回取り上げたコンビニについては、前回の食品スーパー同様、居住スタイルや、その背景である家族構成にも左右されますが、そもそもコンビニの多機能化の中で、シニア層との親和性を高める流れにシフトした側面が、行動に大きく影響しているはずです。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.12「シニア×コンビニ」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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