「アクティブシニア」ホントのところ

2019年1月17日

vol.2
シニア×カフェ

※写真はイメージです

最近は、カフェの風景にもちょっとした変化が!

カフェと聞いて思い浮かぶ全国展開しているアメリカ発祥のカフェは、店舗数も多く普段から利用頻度が高いのですが、職業柄まずざっとフロアを見渡して、客層チェックをするのが習慣のようになっています。実は、ここ数年で特に、ちょっとした変化に気づきました。もちろんお店の立地や時間帯にもよるのですが、「あれ?意外とシニア世代の方もいらっしゃるのでは?」と思うことが多くなったのです。確かに以前は、学生を含む若い世代や、ビジネスパーソンが中心のイメージで、シニアは稀でした。情報及び知識が断片的に入っていると、「シニアは、こういうところより昔ながらの喫茶店のほうが落ち着く、という話ではなかったのか?」という疑問が湧いてきて、目の前の事実が気になって仕方がなくなります。

目的起点でお店を選ぶのはシニアにとっても同じ

ある時、数名のシニア世代の方にこの件で話を聞く機会があり、納得のいく答えが見つかりました。60代女性数名でランチを楽しんだ後、コーヒーだけ飲みたい人と、ちょっとしたスイーツも食べたい人が半々ぐらいだったそうです。両者の要望を満たし、たまたま近くにあったという理由で入ったのが、先ほどふれたおしゃれ系カフェだった、という経験があるそうです。他にも、健康面を気遣って、完全禁煙のお店にこだわる60代男性が、そのお店を選んでいるという話も。やはり、それぞれの方の、その場での目的に合っていたから、ということなのです。「シニアは昔ながらの喫茶店が好き」というのも、1つの側面として正しいのですが、目的ありきだということ。ゆえに、選ばれるお店のスタイルも当然さまざまなわけですね。
マスターが淹れるコーヒーの味が好きだから、店員さんとのおしゃべりが楽しいから、長年通ってて落ち着けるから等、そこにしかない魅力に対して、昔ながらの喫茶店を愛するシニアも、多くいらっしゃいます。ただし、「今、カフェ(喫茶店含む)に入りたい目的は、そういうことじゃない」という場合は、当然別の選択をします。友人とのおしゃべりメインのついでのコーヒーだったり、近々行く旅行の相談場所が必要なだけで飲み物は正直何でも良かったり、歩き疲れて座りたいから手っ取り早く選んだのがカフェだったり。「こういうところには来ないはず」という場所起点での先入観は、シニアのニーズを見誤る原因になってしまいます。

シニアにはシニアなりの事情もさまざま

とある70代女性の、「おしゃれなカフェも、たまにはいいと思うんだけど、照明が暗すぎて足元が見えにくいのが難点」という指摘もなるほど、と思いました。「間接照明=おしゃれ という公式を鵜呑みにしていると、加齢の影響で見え方が変わってくるシニアの事情を見落としてしまう例です。自分で動き回れる元気なシニアでも、大なり小なり体の変化があるわけです。決しておしゃれカフェが苦手だからではなく、照明の暗さが不安で行かなくなる可能性は、当事者に聞いて初めて知り得た事実でした。他にも指摘にあったのは、「店員さんによっては、早口で聞き取りにくいから、あれこれ説明されると焦るの。笑顔で親切に言ってくださってるのに、こっちはメニューの名前もよく分からないし『普通のコーヒーをお願い』とは言いにくくて」というもの。そうなんです。おしゃれさも、親切さも、シニアのニーズにマッチしてない場合は、残念ながら心に響かないんですね。当然全てのシニアがこうだというわけではなく、人によっては心地良かったりします。つまりステレオタイプ化して見ないことが大切、ということです。

シニア向けカフェと言われたら抵抗感あり

また、こんな話もありました。居心地が良くて客層も比較的年齢高め、という喫茶店のチェーン店について、「あんまりシニア向け、とか高齢者が多い、とか言われると、なんとなく行くのをためらうというか・・・」とのご意見。自分たちがシニアだと自覚はしているものの、束ねられて記号化されてしまうのには抵抗感を感じる方の存在も、正しく理解しておくべきでしょう。微妙な心理をとらえた本音だと思いました。直接的すぎない表現で、シニアにとって快適であるかを伝えることの大切さがわかります。結局は、先に述べた「目的」とのマッチングが全てかもしれません。仲間同士でおしゃべりするのに都合が良ければ、たとえ客層が自分たちと同じ世代ばかりでも、ポジティブに受け止めることができるはず!それこそ、メニューが好み、量がちょうどいい、長く座っても疲れない椅子があるなど、特にシニアの場合は、口コミ要素になり得る魅力があればあるほど、長く愛されるお店になるのでしょう。

カフェの概念もどんどん拡大中

大規模ショッピングモールにあるフードコートは、いろんな要素が影響して、シニア世代が集まりやすいところ、ほとんど見られないところ、の差があるように思えます。実際、若いファミリー層をメインターゲットにしたフードコートやイートインスペースでは、シニアが利用するにはやっかいなハードルがちょこちょこあります。最も高いハードルは、セルフサービスで買ったもの(特に冷たい飲み物はグラスの背も高いので不安定)をトレイにのせてテーブルまで運ぶ動線です。そもそも距離が長かったり、テーブルの間隔がギリギリで狭いため、トレイを持ちながらでは歩きにくかったり、シニアには不安かもしれないですね。しかしながら、最近はスーパーやコンビニにも設置されているイートインスペースでは、シニアでにぎわっているところも多く見られます。ほど良いスペース、安心して歩ける動線が、安心して過ごせる空間だという認識につながっているのでしょう。
また、リーズナブルさを快適にアレンジする方法を楽しむ、こんな事例も。日頃車で移動する70代夫婦の話ですが、外出先からの帰りにコーヒーが飲みたくなった時、いくつかの選択肢がある中、コンビニで淹れたてのコーヒーとスイーツ(クッキーなど食べやすいもの)を一緒に買い込んで駐車場でしばしカフェタイムを楽しむそうです。もちろん、ゆったり喫茶店で味わうこともあるけれど、時にはコンビニコーヒーで車をカフェに変えて、デート気分を楽しむ「コト」消費に転換する技はさすが!といったところです。

ココに注目!

今回取り上げたカフェについては、男女別というより目的別でセグメントすることで、本当に求められること、シニアの心に響くもの、が見えてきました。カフェを、単にコーヒーなどの飲み物や軽食をとる場、としてとらえるだけでは見えないもの。それは、カフェ、喫茶店の多様化はもちろん、それに類するスペースのバリエーションの広がりが目覚ましく、シニア世代もその波を上手に使いこなしているということ。「モノ」でなく「コト」という体験型へのシフトが、ここにも!フードコートやコンビニのイートインスペース、あるいはファストフード店でシニア世代の方を見かけた時、そんな視点で見てみると、なるほどと納得できることも多いはずです。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品(ここではカフェ)の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。その第二弾のvol.2「シニア×カフェ」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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