「アクティブシニア」ホントのところ

2019年9月11日

vol.14
シニア×靴

※写真はイメージです

シニアの足元を決定づけるものとは?

一定の年齢を超えると、体のあちこちが悲鳴を上げ始めます。中でも、膝を気にする方は多いですよね。通院して本格的な治療をしている方だけでなく、「歩くとなんとなく違和感がある」程度の方、膝以外にも「ちょっと歩くだけで、足が疲れやすくて困る」という方も、外出時の靴にはいろいろ気を遣っておられる様子。一方で、夏に5センチヒールのサンダルを履きこなすシニア女性も、場所によってはちらほら見かけるようになりました。ずいぶん前に、海外でシニア女性が街を歩く姿を見て気付いた日本との違いが、まさにヒール付きサンダルという点。それが時を経て、日本でも一般化しつつあるのは驚きです。こよなくハイヒールを愛する60代半ばのおしゃれシニア女性によると、「おしゃれして出かけたい、かつ、歩く時間も距離もあまり多くない時にはヒールだけど、旅行にはスニーカーで。出かけ先や条件でいろいろ使い分ける」と。このように、シニアの足元の装いは、多様化しています。いつもふれる話ですが、思い込みは掛け違いのもと。シニアと呼ばれる年齢層の方々は、膝を気にするし、機能性を重視するけれど、ライフスタイルや健康状態や好きなテイストによっては自らの自信を表現する方法としてデザイン性優先のおしゃれ哲学もありということですね。

おしゃれはあきらめたくない!というモヤモヤ

おしゃれなヒールのサンダルを履きこなす、おしゃれシニアが増えてきた!という華やかな光の陰には、「本当は私だっておしゃれなシューズがいいけど、無理して転ぶのは怖い」という本音がありますよね。そういう方向けに、多くのメーカーから出ているのがコンフォートシューズです。すでにひとつのカテゴリーとして確立されています。同じコンフォートシューズと呼ばれる靴の中でも、かなり見た目のおしゃれ感強めのものから、履き心地優先のものまでバリエーションも幅広いですが、進化のスピードも加速しているように思えます。特に女性の場合、若い頃には、おしゃれのために無理してでもハイヒールを履くこともあったかもしれませんが、シニア世代になると、そういう無理はしません。自分がもっと心地良く過ごせることを優先するからです。ただし、これは体の反応。心はもう少し複雑です。例えば、服で頑張っておしゃれしても、足元がいかにも機能性最優先の靴だと、妥協に妥協を重ねた納得、という感覚でしょう。「本当はもっとおしゃれな靴を合わせたい」というストレスを解決してくれる魔法のような靴があるならば頼りたいというのが本音なのです。

旅先でのファッションが靴選びに大きく影響?

シニア世代は、ちょっとした日帰り旅行から、国内旅行であれば温泉旅館でのんびり過ごす旅、はたまた観光地をめぐる旅、海外旅行であれば数か国をめぐる周遊ツアーのように歩きまわる距離も相当な旅もありますよね。そう、ひと口に旅行と言っても、目的や行き先によってふさわしいファッションも大きく異なるわけです。そうなると、周辺アイテムも影響を受けますが、特に足元、つまり靴は身に付ける服によって合う合わないがはっきりします。ですから、同じ「旅行好き」な方に絞って考えた場合も、実は必要な靴のバリエーションの幅が広いということです。「旅行好き」な方にはこういう靴が良いだろう、というざっくりした方向性の定め方はすれ違いの元。より具体的なペルソナイメージをもって想定しないことには、旅行のための靴を探すシニアと売り手側の思いはマッチしない事態に陥ります。中には、TPOにこだわるおしゃれな方で、海外旅行にタイプの違う靴を別に持って行かれる方もいらっしゃいますから、売り手側は、いかに対象となるシニアの実態把握が大事かということですね。

ファッションのカジュアル傾向がもたらしたもの

ここ数年は特に、全世代に共通して言える傾向ですが、服も靴もバッグも、カジュアル化がひとつのファッショントレンドです。かつてカジュアル系と聞くと、あまりお金をかけない若者ファッションを思い浮かべる方も多かったはずです。ところが今や、特に若い世代では、昔の「気合いを入れたドレスアップスタイル」は格好悪いと受けとめられ、こなれたドレスダウンが良しとされる傾向が続いていて、特に足元のおしゃれの変化が顕著です。スニーカーのバリエーションが広がり、スポーティーなデザインとは異なるおしゃれ系スニーカーも増えました。それが次第に40代、50代と広がり、シニア層にまで影響しつつある、という印象があります。当然、今の感覚ではシニア層の間でも、「カジュアルファッションは手抜きではなく、自分たちも楽しめるスタイルだ」と認識しています。それこそ、団塊の世代の方々は若い頃にジーンズ第1世代であることも影響しているはずです。スニーカー売り場で、シニア男性は珍しくないですよね。いわゆる「よそ行きスタイル」であるドレスアップスタイルとは違うおしゃれを、長い期間を経て体得し、年齢を重ねても足元にもカジュアル感を上手に取り入れているのです。

趣味・行動パターンと靴の選び方の関係

先にふれた旅行のような楽しい非日常の過ごし方以上に、注目すべき視点があります。それは、日常の行動範囲と移動方法。外出はほとんど近所だけ、という場合、特に夏場はぞうりタイプのサンダルのようなもので済ます方もいらっしゃいます。そこまで気を遣わなくても良い行動エリアだからです。一方、定期的に趣味の集まりに出向くような方は、当然それなりに意識した足元になります。人から見られた自分というのを、どれだけ意識する生活なのかも靴選びの基準になるわけですね。また、移動は自転車または徒歩、という場合、電車やバス等の公共交通機関を利用する場合、自ら車を運転する場合、という移動手段も影響します。当然、長く歩くほど、靴に機能性を求めますし、車を運転する際は運転に差支えのない靴であることが重要です。そこに、最初にふれた膝や足の健康状態が掛け算的に条件として加わって、それぞれにふさわしい靴が割り出されていくという流れですね。どのようなペルソナのシニアをイメージして靴売り場の店頭を作るのか、あるいはカタログを作るのか等々、売り方の仕掛けを考える際には不可欠な視点です。

ココに注目!

今回取り上げたシニアと靴との関係については、それ以下の世代とは異なる事情が見え隠れしています。日頃だれとどういう過ごし方をするのか、日常的な移動手段は主に何なのか、どういうテイストの服を着ることが多いか、など個々人のさまざまな条件によって大きく変わるということです。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.14「シニア×靴」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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