「アクティブシニア」ホントのところ

2019年9月27日

vol.15
シニア×通販

※写真はイメージです

始まりはカタログでの洋服選びから?

今の65~74歳のアクティブシニア世代(特に女性)が最初に通販に接したのは、カタログを見ながらの洋服選びだったという方も多いようです。あらゆるカタログが世の中にあふれ出ていた時期に重なっているかもしれません。とある70代女性の場合、洋服をカタログで選ぶ体験のきっかけは生協だったそう。元々は食品中心だったのが、次第に衣類や雑貨等の品ぞろえが充実してきて、「ついでに見ているうちに欲しくなった」そうです(今ではアイテムの種類も相当充実していますよね)。また、かつて主流だった新聞の折込みチラシでの申し込みをきっかけに、カタログが送られてくるようになり、「常にリビングに置いているもの」と化していた、と語る方もいらっしゃいます。東海地方にお住まいの60代後半の女性は、通販への独自のこだわりがあり、「そのカタログで扱う商品の品質を確認するため、まずパジャマを買ってみるんです」ときっぱり!リラックスする時間に着るものが、きちんと配慮して選ばれている場合、洋服を買っても間違い!とは本人談ですが。ただし、カタログが定期的に届き始めると、そうそう頻繁には洋服を買わなくなるので、やがて同梱される雑貨や食品のカタログに目移りする、という流れのようです。

テレビ通販という「わかりやすさ」の勝利? 

カタログを自分の好きな時に眺めるスタイルも、もちろん便利ですが、ここ何年かで急成長を遂げているのがテレビ通販です。24時間連続放送のショッピング専門チャンネルや、地上波の民放系お買い物番組など、そこからヒット商品が生まれることもしばしば。メーカーの方の実直かつ丁寧な実演、商品説明に対し、プロの司会者が絶妙なコメントで切り込むやり取りは、ちょっと大げさに言えば、ドラマの展開のようです。いつしか夢中になり、「これが欲しい!」と思わせるストーリーが用意されているのです。カタログの写真だけでは伝えきれない特長、つまり、洋服やアクセサリーならフィット感、化粧品なら使用感、食べ物ならシズル感を一瞬にして視覚化できてしまうのも強み。シニアは、早朝の時間帯に観る方が多いため、番組サイドも世代を意識した商品ラインナップにするのもわかります。例えば、健康器具、スキンケアやヘアケアなどの美容系は、シニア女性が関心を持つカテゴリーの定番。お肌も髪も「若い頃のようにはならない」とわかっているからこそ、テレビの映像を眺めながら、「今からでもちゃんとしたものを使ってケアして、納得できるレベルをキープしたい」という気持ちになるのは想像に難くないですね。

シニア層のネット通販はまだまだ伸び盛り 

ちょっと前なら、「え?シニアがネット通販?」という印象もありましたが、今や、消費者としての存在感を増し続けるアクティブシニアに限ると、ネットショッピングという新たなマーケットが活況を呈しています。ここまでシニア女性について語ってきましたが、ここでシニア男性のお話も。というのも、ネット通販上で、男性の消費行動が非常に特長的だからです。もともと仕事でPCの扱いに慣れた層がリタイアし、家でもPCを使っている、という方にとっては、ネット通販の利用が日常の1つになるのは流れとして当然でしょう。男性の場合、健康食品の購入に利用するケースが多いようで、利用サイトのカテゴリーの偏りが特徴的です(女性はファッション、コスメ、健康食品とカテゴリーも様々なのに対し)。そして、他の世代と比べて、使用ツールとしてPC派が多いということ。現役世代では、移動しながらどこでも買い物、という感覚でスマホを活用するケースも増えていますが、シニアは家で腰を据えてじっくり選ぶのが主流ということでしょう。今後数年かけて、もう少しスマホの扱いに慣れたシニアが増えていくと、さらにアツいマーケットに成長を遂げるはずです。

自然な流れで進むクロスメディア化

ところで、実店舗で何らかの「いい感じ」体験があると、しっかり記憶に刻まれるものですよね。Vol.1の洋服の回でふれたように、ファストファッションブランドは、「値段の割にモノがいいし、シンプルなデザインとサイズの豊富さもいい」と、シニア世代もコーディネートに取り入れるようになりました。最近では、シニア自身がファストファッションの着こなしをブログで発信し、同世代がお手本にしている動きも一部にはあります。すると、夜、ちょっと時間を持て余した時に、何気なくPCを立ち上げてふと思い出すのです。「あ、あのお店の服、ネットでも買える!」と。店頭での購入経験もあり、実際のサイズ感も把握しているため、お店に行かなくても買える楽しみも味わうことができるわけですね。リアルな体験によって、ネットショッピングのハードルも低くなるという一例です。また、テレビ通販で買ったことのある(見覚えのある)商品をネットでも買える、という利便性に共感するシニアも少なくないようです。その時々の状況によって、買い方を選べることをメリットに感じている証拠でしょう。クロスメディア化も、ごく自然な形で進んでいるのが興味深いですね。

シニアの義理堅さに甘えるような施策はNG!

売る側の視点で見た場合、例えばコスメやサプリのような商品の場合、何としてでも定期コースに誘導して、義理堅いシニア層が断りにくい空気を作ってしまうのは得策ではありません。一時的な売り上げアップにはなりますが、信頼関係ができていたリピーターに、「無理やり勧められた」と印象付け、離脱を促す危険性のほうが高くなるからです。一方、「定期コースのほうが確かにお得だし便利だから」という購入者の納得感につながれば問題なし。先のコスメやサプリのようなアイテムは、続けることで良いことがありそうな予感!というのが重要で、その良い予感に対して、続けたくなる提案ができるかどうかが分かれ道ですね。電話注文の場合、電話オペレーターの対応が気に入って買い続ける方もいらっしゃいます。シニア世代からの注文が多い早朝の時間帯に、シニア対応力に長けたスタッフを配置するなどの工夫で、心をつかみ続けている企業もあるはずです。もちろん、しばらく注文がないお客様に、旧知の友人からの手紙のように心のこもったDMを送ることも、感性に訴えることで、思い出してもらうのに効果的でしょう。本物のファンになっていただくための、丁寧な施策が必要、ということですね。

ココに注目!

今回取り上げたシニアと通販との関係については、あまりステレオタイプ化して考えないことが、正しい理解への第1関門だと思います。シニアにとっての通販はカタログやテレビに限られるものではなく、ネット利用もじわじわ広がりつつある事実は見逃せません。ただし、現役世代のようにスマホを使いこなす方はまだ少数派で、注文はPCが中心という現象からわかるように、自分が使いこなせる範囲であれば、新しくて便利な方法を取り入れるシニアの姿が見えてきました。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.15「シニア×通販」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

お問い合わせフォーム

あわせて読みたい記事

シルバーラボのサービス一覧


当HPは様々な方に見やすい配慮をしたデザインとなっています。