「アクティブシニア」ホントのところ

2019年12月12日

vol.20
シニア×癒し

※写真はイメージです

文字通り「のんびりゆったり」の極意

シニアと「癒し」というテーマを考え始めた時、一番悩んだのは、その定義でした。調べるにつけ「癒し」と捉えられる」カテゴリーの範囲は、思いのほか広いと気付いたのです。そこで、心をリラックスさせるあらゆるコト、という定義に至りました。まず、最もストレートな癒しであるリラクゼーションから。お付き合いで行くようなものは、もはや「癒し」ではありません。だれかと行動を共にする場合、本当に気が許せる仲間と、気遣いなしに過ごせることでしか「癒し」は得られません。女性に多いのは、仲良し同士でスーパー銭湯のような温浴施設でのゆったりタイム。お湯に浸かって、時にはマッサージで体をほぐし、お昼ごはんを食べて、ひたすらのんびりするパターンです。積極的に何かすることで、心が落ち着くというタイプの方には不向きな過ごし方ですが、身近で手軽な癒され方の代表ですね。これに近いのが、ハード過ぎないメニューのジム通いだったり、体をほぐす目的での体操教室やヨガだったりします。心を開放する、という意味での癒しタイムですね。

気にせずマイペースに楽しめること

一方、比較的男性に多く見られるのが、一人で完結する「没頭型」の趣味です。夢中になっている時間がそのまま癒しタイムだったりします。マイペースで取り組むのはもちろん、自分で決めた「ここまで」というレベルに行き着いた時の達成感が心地良いのです。リタイアを機に、前から時々楽しんでいた魚釣りを趣味としてリスタートした方は、マニアックなこだわり派とは違い、近場で釣ってきた魚を自分で捌いたり、ご近所にあげるのも含め楽しかったりするわけです。「楽しいこと=癒し」という感覚は、日曜大工にも当てはまります。眠っていた趣味の大工道具を久々に取り出して、小物を作ったら楽しくて再燃!というケース。あくまで楽しみなので、ややこしいものには手出ししません。何かを置く台や、傷んでいたところの補強など、ちょこっとレベルが程よいのです。今のシニア世代の場合、男性で家事が得意という方は少数派なので、日曜大工によって「家の中のことで役立てている」という実感が持てることが、リタイア後の自尊心を支えるものになり得ますね。

目的は違えど、ご夫婦いっしょに?

もちろん一人でも良いけれど、夫婦そろってできる何かで、気持ちもゆったり癒される時間が持てたら理想的です。その一つが、人気上昇中の家庭菜園です。お庭の一部を使って、あるいはちょこっと畑を借りて、手軽に野菜作りを楽しむシニア夫婦も少なくないようです。ここに、面白いデータがあります。「家庭菜園に関する全国調査」(2017年タキイ種苗株式会社)によると、家庭菜園をやってみたい動機にも世代や性別による特長があり、60代男性は「趣味のひとつとして野菜作りは適していると思ったから」が主流、一方で同世代女性は「安全・安心のためには少しでも手作りの野菜が良いと思ったから」が主流です。同じシニアでも、男性は、自分が夢中になれる楽しみとして。女性は家族のためにも何かできるという満足感。ベクトルは違えど、いずれも気持ちを癒してくれるものとなっており、夫婦でホームセンターに行ったり、交わす会話も増えて気持ちが満たされ、結果として夫婦ともに家庭菜園によって癒されている、という見方もありかもしれません。

ペットのおかげで無理なく健康づくり!

シニア世代の方が、犬の散歩をしておられる姿を見かける機会も多いですよね。たとえば、平日の早朝6時頃の住宅街。冬場だと、まだ暗い時間帯ですが、寒い中、犬も飼い主も、軽快な足取りで歩いている姿が印象的です。その元気な姿に、わが身を振り返り、姿勢を正してしまうことも。犬を飼っているシニアの方の意見として、「相棒としてかわいい」のはもちろん、「散歩に連れていくことが、実は自分の運動不足解消法」という事情もあるようです。いくら早く目覚めるとはいえ、特に寒い時期の早朝の散歩というのは、一人では億劫なものです。でも、散歩を楽しみに待っている相棒の存在があると、前向きな気持ちになれます。日々世話をすることで、心が穏やかになったり、優しい気持ちになれて言うことなし!まさに癒されながら、適度な運動もできて自身の健康にも良いということで、ペット(特に犬)を飼うシニアも多いのも頷けます。シニア世帯は、ペットフード等の支出が多く、実はこういうところにもシニア向けの販促に関するヒントが隠されているのです。

コミュニケーションで加速する!

必ずしも体を動かさなくても、何かを作るために手を動かしたり、おしゃべりで口を動かすことが、いろんな意味で癒し効果をもたらすケースも多々あります。わかりやすい例がいくつか。まず、昔から編み物が得意だったシニア女性の例です。手編みで小さなモチーフ編みをいくつも作ってパッチワーク状につなぐブランケットや、かわいいポンポン付きの帽子など何でもお手の物。こちらは、一人集中して手を動かすのが好きなタイプの例です。だれかのために、という思いも手伝って、編むこと自体を楽しめるのが特長ですね。一方で、また別の例も。手芸全般に言えることですが、手芸教室で教えてもらいながら、あるいは数名で集まって世間話を楽しみながら作品を仕上げるのが好き、という方もいらっしゃいます。手芸そのものの情報交換をするだけでなく、おかずのレシピの話だったり、お孫さんをはじめとする家族の話だったり、彼女たちは手と口とを器用に同時に動かすという技を平然とやってのけます。定期的に集まることで交流が生まれ、活発な消費につながっていく。ここが最大のポイントですね。

ココに注目!

今回取り上げたシニアと癒しとの関係については、様々なカテゴリーにわたる話としてまとめてみました。癒しに関するものは、主に趣味分野と重複するので、家計状況によって大きく差が出てきます。ただし、それぞれの経済状況に合わせ、自分なりに「気持ちをリラックスさせるために必要な支出」の設定をして、上手に楽しんでいる方も多いのです。そこのニーズをうまくとらえることができれば、癒しを切り口に求めるコトやモノが見えてきます。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.20「シニア×癒し」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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