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価値の連鎖から生まれたパーソナライズパッケージ 『オリジナルコアラのマーチ』に迫る
長年愛され続けている『コアラのマーチ』は、可愛いコアラが描かれたサクサクのビスケットにまろやかなチョコレートが詰まった定番のお菓子だ。ユーカリの木をモチーフにした六角柱のパッケージは、誰もが一度は手に取ったことがあるだろう。そんな有名なお菓子のパッケージがあなただけのキャンバスになったら? 4社の技術を結集し、Web上で簡単に自分好みのパッケージをデザインできるサービスが実現した。高付加価値パッケージサービス実現までの秘話と新たな市場開拓の可能性に迫る。
写真左から
gf.K株式会社 ロジスティクス第1事業部 物流業務課長 藤木 悠平氏
株式会社協同クリエーション 部長 清宮 功一氏
株式会社協同制作 D-Smart 担当部長 石橋 競氏
株式会社小松総合印刷 営業部 部長 塩原 実氏
株式会社ロッテ マーケティング本部 EC戦略部 EC企画課 課長 鬼頭 真氏
株式会社ロッテ マーケティング本部 EC戦略部 EC企画課 立花 至氏
お客様への新しい価値追求から誕生した『オリジナルコアラのマーチ』
株式会社ロッテは2011年にオンラインショップを開設し、オープンから数年間はスーパーやコンビニで販売している商品の詰め合わせをオンラインで展開していた。ロッテオンラインショップの企画・運営を担う鬼頭氏は「せっかくお客様とダイレクトに関わることができるのに、店舗販売の延長のような取り組みしかできていませんでした。ECならではの可能性を探っていたところ、協同クリエーション様からオリジナルパッケージの提案を頂戴しました」と当時を振り返る。企画立案、協力企業の選定、開発と進め、2019年10月にパーソナライズドパッケージサービス『オリジナルコアラのマーチ』が誕生した。
『オリジナルコアラのマーチ』では、季節ごとに50~60のフレームが用意されている。ユーザーがWeb上のツールで名前や写真を入れたり、イラストのパーツを組み替えたりするだけで、わずか数分で世界に1つだけのオリジナルデザインが完成する。10個ワンセットでコアラの顔がプリントされた外箱に詰めて発送されるこの商品は、クリスマスやバレンタインには通常時の倍以上のオーダーが入るという。
「特にご注文をいただくのは、赤ちゃんやお子様、ペットの写真などで作るオリジナルパッケージです」と鬼頭氏は話す。「お菓子本来のおいしさや楽しさ、やすらぎを大切にしながら、自分だけのオリジナルという特別感や喜びが、通常の商品とは異なる価値を生み出していると感じます。お客様から『とっておきたくなるお菓子だね』という言葉や、結婚式でご利用いただいたお客様から『披露宴に出席した祖母が、神棚に飾ってずっと大切にしている』という喜びの声をいただくと本当に嬉しいです」と語った。創る人の想いが詰まったオリジナルパッケージならではの特別な商品である。
「『コアラのマーチ』のメインターゲットである小さなお子様は、成長と共に趣味趣向が変わり、いずれ大人になるにつれて『コアラのマーチ』から離れてしまう傾向がございます。ですが、オリジナルコアラのマーチを人生の記念日に使っていただければ、幼い頃に食べていたお菓子を懐かしく思い出し、話もはずむでしょう。このように、世代を超えてつながることができるのも魅力なのかもしれません」と鬼頭氏は言葉を継いだ。
価値の連鎖を生む関係各社の役割分担と強み
当プロジェクトで最も苦労したのは、品質で妥協しないために各プロセスで最適なチームを選定し、連携させることだった。ロッテの窓口として企画運営を一手に担う株式会社協同クリエーションの清宮氏は「1つ1つ異なるパッケージで、配送ミスは許されない商品設計である為、各工程で厳密な管理が必要です。生産ルーティンが完成するまでに1年程かかりました」と振り返る。
Web上でオリジナルパッケージをデザインするツールは、株式会社協同制作のD-smart事業部にて開発、パッケージの生産は、B2サイズでパーソナライズが可能なHP Indigo 10000デジタル印刷機を保有し、印刷から抜き加工までを一気通貫してできる株式会社小松総合印刷に決定。清宮氏は「特に苦労したのは物流倉庫です。Pマークを持ち、セキュリティがしっかりしていて、個人情報の取り扱いに長けている会社はなかなかありません。商品がチョコレートなので温度管理や清潔であることも必須条件でした」と語る。何社も足を運び、ようやく千葉に物流センターを持つgf.K株式会社が見つかった。理想的なチームが出来上がった瞬間だった。
システム、印刷、アセンブリーの連携
オリジナルパッケージを作成する上で重要なのがオンラインデザインツールだ。使いにくいものになればマイナス効果にもなりかねない。開発を担当する協同制作の石橋氏は「商品の購入だけではなく、写真や名前、メッセージを入れる工程があるので、操作性を大切にしました。また、印刷を行うため、通常Webでは扱わない大きなデータの対応にも苦労しましたが、この分野は同社が国内でいち早く取り組んでいたのでノウハウを発揮できました」と語る。ユーザーは楽しみながらパッケージを作るので、一般的なサイトよりも滞在時間が長い。この体験を楽しんでもらうことで、商品の愛着が深まり、ロッテにとってはエンゲージメントを高める絶好の機会にもなる。
印刷・加工面では、デジタル印刷機で1人1人に異なるパッケージを印刷する。小松総合印刷の塩原氏は、発注を受けて完成品を倉庫に届けるまでの流れを可能な限り自動化したという。「発注データはプログラムに投げると印刷用のPDFが自動生成されるなど、できるだけ人を介在させない仕組みを構築しました。手作業は遅延や人為的ミスなどのリスクを伴うので、受信したデータを自動処理し、いかに生産まで円滑に回すかというフロント側の仕組みが重要です」と自社の強みを語る。
最終工程となるのがアセンブリーだ。gf.Kの藤木氏は「商品が正しく届くことは当然であり、大前提です。前工程で積み上げてきたものをここで壊すわけにはいきません。六角柱のパッケージの組み立てには相応のスキルが必要なので、責任を持って専属チームを組み、お客様をがっかりさせないようにとにかく美しく仕上げることにこだわっています」と語った。裏面には1つ1つ異なるQRコードが印刷されており、システム上で伝票番号とQRコードを紐づけて厳密に配送管理している。
このように、各社が専門分野で存分にプロとしての力を発揮・連携し、価値の連鎖によって特別なパッケージが生まれているのだ。
B2Bという新しい市場の開拓へ
現在は個人向けがメインだが、サービスを続けていく中で新しい可能性が見えてきた。それが法人需要だ。ロッテの立花氏は「建設、IT、保険、塾などの業界で採用され始めました。企業のロゴを入れたオリジナルパッケージは、イベントやノベルティ、取引先への挨拶で活用され、会話のきっかけや話題作りに貢献します。建設業界であれば、コアラのイラストにヘルメットをかぶせる、背景を建設現場にするなどのフルオーダーも可能です(※セミオーダー(400個~):60種類のデザインから選択。フルオーダー(1万個~)デザインから完全なオリジナル)」と説明する。
六角柱のフォルムは他のお菓子にはなく、オリジナル性が高いのもポイントだと鬼頭氏はいう。「現在オリジナルパッケージ活用による商談率のデータを基に、説得材料となる商談資料を作成したり、組み立て前の展開図のパッケージをDMで送るといった施策を進めています」と次なる挑戦に積極的だ。
発注量が多くリピート率の高い法人市場は、ビジネスをスケールさせる絶好の機会だ。誰もが知るお菓子だからこそ、SNSなどを通じて話題が広がり、宣伝効果も生まれやすい。あらゆるシーンで人々に寄り添ってきた『オリジナルコアラのマーチ』は、企業内や企業と顧客をつなぐ新たなコミュニケーションツールとして新しい風を吹き込むだろう。
(アイデアウイルス編集部)
『オリジナルコアラのマーチ』の詳細は、こちらからご覧いただけます。
https://lotte-shop.jp/contents1/my-koala.html
※所属及び記事内容は、2025年1月当時のものです。
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