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進むコネクテッドワールド システムや「紙」の価値を変える新たな価値創造のためのAPI連携の本質とは
アプリケーションやソフトウェア同士を繋げることができるAPIとは
システムのクラウド化が進む中、それぞれのサービスを連携して利便性を高めたり、より効果を上げる動きが加速しております。特に、API(Application Programming Interface)という仕組みを使うと、これまでだと連携そのものが困難であるとか、高額の開発コストがかかるといったハードルもかなり解消されます。
APIは、双方のアプリケーションやソフトウェアがこの機能を持ち合わせていることで連携させることができます(図1)。殆どの場合、Web上に仕様が公開されているWeb APIと呼ばれるものを指しています。もしシステムへの投資などをお考えの場合は、API連携に対応しているかどうかも判断基準の1つになるでしょう。
では、APIはどのような場面で便利なのでしょうか。例えば、ECサイトをクラウド上で運営し顧客データベースは別のクラウドPOS上で管理している場合、双方がAPI連携に対応していれば全く同じデータベース内容として同期が可能になります。仮にEC側のマイページより顧客が情報変更をした際、運営側のPOS上のデータベースにもすぐさま反映されることになります。他にも、BtoBで名刺交換し、それを名刺管理ソフトにスキャンした際、名刺管理ソフト上のデータ化だけてなく、社内で管理しているCRM(Customer Relationship Management)への登録も連携することで自動的に行われます。もっと身近な例だと、例えばブログ記事を更新した際、TwitterなどのSNSにも自動投稿されるのはAPI連携を利用されていることが多いです。
このようにAPI連携は、アプリケーションやソフトウェアの垣根を無くすことができます。そうすることで、サービスを提供するスピードの向上や生産性が上がります。また、昨今DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が叫ばれていますが、APIはレガシーシステムの存在で老朽化・複雑化・ブラックボックス化しているシステムを解消させるための技術の1つとも言われております。
APIで広がるコネクテッドプリンティング
APIによるシステム連携は、カタログやDMを作成・発送する印刷においても利用ができるようになっております。最近は世界中でデジタル印刷の利用も増えており、印刷機そのものや印刷における各工程の管理もかなりシステム化がされております。
印刷がクラウドサービスを支援するための印刷連携サービスを"コネクテッドプリンティング"とも呼ばれますが、これはクラウド上で印刷版データを生成されたものを適切な印刷物製造拠点で生産される概念やプラットフォームを指します。その拠点ごとの印刷データにおける連携はAPIが使われております。連携されている拠点で適地生産されることで、配送が減りCO2排出削減にも貢献することになります。
また、印刷システムがAPIに対応していることで、あたかもデジタルマーケティングに使われるEメールや広告のように、カタログやDMなどの印刷物を扱うことができます。これまでの「紙」の印刷物は、APIなどのシステム連携とは無縁だったため、デジタルとアナログといった形で切り分けて考えられてきました。「紙」の印刷物の弱点は、スピードが遅い点です。しかし、マーケティング・オートメーションといったクラウドサービスと印刷をAPI連携をすることで、例えばECサイトのカートに商品を滞留させている顧客に対し、EメールだけでなくハガキDMをデジタルマーケティングの速さに負けないスピード(翌々日とか)で届けるといった特別な"おもてなし"施策を実現できるようになってきております(図2)。
他にも、スマホアプリで作成したフォトブックが印刷工場から届けられたり、ブラウザ上で自分でデザインした名刺やポストカードが届けられたりと、殆どの場合API連携によるものです。API連携ができるようになったことで、「紙」そのものの価値が変わってきております。
コネクテッドインダストリーズで価値を高める
先にAPIがどのようなものかについてお話させていただきましたが、その背景について確認しておきます。こういった連携技術の議論が加速しはじめたのは、ドイツ政府より発表された「インダストリー4.0(第四次産業革命)」で、AIやIoTといったIT技術を積極的に取り入れて、製造業を改革する動きとなりました。その流れで、日本政府も「コネクテッドインダストリーズ」を打ち出し、データを介して、機械、技術、人など様々なものがつながり、新たな付加価値の創出と社会課題の解決を行うというものでした。
これにより何のためのシステム連携なのか、連携における新たな価値創造が見直されております。ひとつは、「競争」ではなく「共創」という考え方。デジタルや競争相手が仕事を奪うといった点ではなく、むしろ新たな価値を人々や企業が協力し合うことで実現するというもの。そしてもうひとつは、「協力」や「協働」によって社会がつながり、大きな課題解決を導くというものです。これらの明確な取り組みは、次世代に技術をつなぐ役目でもあることを忘れないでください。
最後になりましたが、APIはエコノミーでありながらもオープン(公開)にされることで思いもつかない新たなビジネスモデルが生まれます。そのビジネスモデルによる新たな顧客体験が新たな送客につながり、企業やサービスの認知度が上がります。つまり、APIにおける連携は、お互いのサービスを向上させる究極のエコシステムになるのです。
(株式会社フジプラス)
まとめ
■APIは、アプリケーションやソフトウェア同士を繋げて垣根を無くすDXのための1つの技術である。
■APIによるコネクテッドプリンティングにより、CO2削減やスピード化などの「紙」そのものの価値が変わってきている。
■API連携などのコネクテッドインダストリーズの考え方は、「共創」や「協力」「協働」といった新たな価値創造を見直すためのものである。