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2011年12月19日

弊社代表取締役社長 井戸 剛が「JAGATinfo」から取材を受けました

弊社代表取締役社長 井戸 剛が「JAGATinfo」から取材を受け、2011年12月15日発行の「JAGATinfo12月号 経営者インタビュー」に掲載されました。

社是、経営理念、クレドを大事にし、印刷業からサービス業への展開を図る

不二印刷株式会社
代表取締役社長
井戸 剛氏 に聞く

――御社を簡単にご紹介ください。

会社設立は1933 年(昭和8 年)だが、1967 年(昭和42 年)に倒産の危機に瀕して、現会長が社長として入社し再建した。当社が80 年の歴史を刻み、発展できた背景には、このときに築き上げた不二DNA が脈々と受け継がれていることが大きい。 当社は「進取の気性」によって変革を続けてきた歴史があり、業界では先取りという形で導入したものも多い。また早くからクリエイティブワークの分野を広げてきている。

――社長就任のときに決意したことはありますか。

2008 年の社長就任時、社員のみなさんにコミットしたのは、①いかに不二グループを永続的に存続・成長させていくか、②社員のみなさんとその家族が精神的にも物質的にも、より一層の幸せを感じる組織にするという2 つである。
この思いは就任以来一貫して変わらない。それが社是「共生(ともいき)」で謳う自己優先より利他優先の精神であり、「お客様に感謝される仕事」という経営理念につながる。これらの経営理念を先頭に立って実行していくのが社長の役割である。
当社は全社員が社是、経営理念、クレド(行動規範20 項目を明文化した不二グループの信条)を重視している。これらを日常業務で活かすために、社是・経営理念・クレド等をまとめた社員手帳を作成して、パートを含めた全社員に配布している。

――社員手帳とはどういうものですか。

年に2 回、オフィスも工場も仕事を止めて全社員が参加する社員大会を開いている。上期社員大会では新しい期の経営計画に対して、私だけでなく社員のみなさんにもコミットしてもらうために、一冊ずつ私が手書きで署名したものを全社員に渡している。この社員手帳には社是、経営理念、クレドのほかにも、3 年後の経営ビジョンを明示している。
また新しい期のキーワードを示し、アクションプランを明記している。さらにこのアクションプランに従って、各部門が個別に計画するアクションプランを明示しており、それらに対して自分が今年は何を目標に行うのか、個々人がPDCA シートにまとめていく。朝礼や会議にも必ず携帯している。このほかにも、各部門の業務の進め方やミス・トラブルを起こしたときの対処方法、情報セキュリティー方針、調達に関する方針など、様々な管理や方針、社内ルールも書いてある。
当社の軸になる社是、経営理念、クレドに関しては、最低限ぶれないように厳しく言っている。当社ではこれらの施策がお題目に終わらないように、「愚直に」「地道に」「執拗に」実行している。
例えば挨拶の徹底を掲げる会社は多いが、実践具合は疑問だ。当社では内部の挨拶だけでなく、来社されたお客様への挨拶を徹底させている。当社を訪問されたお客様が普通の会社の感覚でいると、その徹底具合を見てびっくりされている。

―― 3 年後の経営ビジョンはどのようなものですか。

社会全体からすると、紙媒体の地位は年々下がっており、いわゆる「紙の上にインクをのせて印刷するだけ」という事業は減退しつつあり、現状のビジネスにしがみついていては、これ以上の発展は望めない。
従来の印刷業というビジネスに捉われることなく、社会の変化やお客様の新たなニーズを素早く察知し、新サービスや技術を積極的に取り入れている。特にここ数年、印刷業からサ ービス業へと、事業の一大転換を図っている。
デジタル印刷の技術を強みとしつつ、お客様の事業をマーケティングの視点でサポートすることで、「マーケティング・サービス・プロバイダー」として、「お客様に感謝される仕事をしよう」と全社一体となって新たな発展を目指している。

――それら実現するためのポイントは何ですか。

当社の強みは、提案力と創造力、そして技術力という3 つの力。これらを融合することで、印刷の枠を超えた新しいビジネスモデルの構築にも取り組んでいる。そして、この3 つの力を生み出す「人」こそ、不二グループの財産である。
また「会社の成長は、社員の成長ありき」という考えのもと、社内外で様々な社員研修や社内勉強会にも力を注ぎ、提案力、創造力、技術力を持った変化に対応できる人材育成に取り組んでいる。
現在、当社は145 人の社員がいるが、その半数以上は、デザイナーやコピーライターなどクリエイティブな業務に携わっている。社名に「印刷」と冠しているものの、実際には、企画・制作を主体とする印刷機を持っている制作会社に近いと言ってもいいほどである。
また、営業の半数以上が何らかのIT 系資格取得者で、既に当社はサービス業なのだという方向で活動している。

――クリエイティブの方向性はいかがですか。

クリエイティブには、①クリエイティビティを求められるもの、②編集主体のものの2 種類があると思っている。
クリエイティブのコストも下がってきており、クリエイティブにもシステム的な 考え方を入れていきたい。つまり、人間が考えてやらざるを得ないクリエイティブ以外、自働化できるものはシステムを利用して効率的に行っていく。
また、ある程度の日本語を理解すればできるものは、コストの低い国外でできるような体制にしていくし、既に中国にそのような人材を確保している。
また、お客様のことを理解して、なおかつ専門的な知識を持った人材が育ってきているの で、それらの力を使ってお客様がもうける方法をどうやって考えていくかに力を入れ始めている。ここでいうクリエイティブとはプランニングからコピーライティング、デザイン、写真等を含めてお客様の目的を達成するために営業を含めて総合的に支援していくということである。

――デジタル印刷機の位置付けはいかがですか。

近年、ビジネスとして高い成長性が見込まれるデジタル印刷を中心とし、新たに印刷とWeb を融合した個人向けサービスなどの企画・運営を手がけている。
デジタル印刷などは、今後も急速な成長が見込まれる大きなマーケットであると言える。今まで培ってきたノウハウや経験を駆使しながらも、時代の変化を読み解き、お客様のニーズ にいち早く応えていくべく、新たな技術や設備を積極的に導入している。また、従来の大量印刷だけでなく、わずか一部からでも印刷できる最新の デジタル印刷機を活用したビジネスモデルの構築を進めている。Facebook 向け画像配信に関するアプリケーションを用いた新規事業を立ち上げ、時代の先を行くビジネスにも注力している。
小ロット印刷に対応したデジタル印刷機を導入したり、Web 事業にも力を入れるなど、大量印刷にもならず、お客様にリーチできる手法をあらゆる側面から用意している。

――今後の展開における課題は何でしょうか。

課題はいろいろあるが、課題のない組織は成長しないと考えている。今は、かなり優秀な若手社員が集まってきているので、彼らをいかに育てて、より力を伸ばしていけるか、そしてその力をどのように活かしていくかが一番の課題と考えている。