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2021年2月 1日

「炎上」しないための基本中の基本!ダイバーシティ発想の表現って?

ここ2~3年で、ダイバーシティ(diversity:多様性)という言葉を耳にする機会が増えてきました。言葉の定義や意味合いは理解できるものの、「ビジネスで、もはやダイバーシティは不可欠な視点です」と言われたところで、具体的なイメージが浮かばず戸惑う方もいらっしゃるかと思います。ダイバーシティが意味するのは、性別(ジェンダー)や年齢、職歴、人種、国籍、障がいの有無、働き方、ライフスタイルなど、あらゆる属性の方々が互いに認め合い共存している状態。マイノリティを含めた幅広い属性の方々がしっくりくる表現であることが大前提、ということです。特に企業や団体が何らか情報発信する際は、十分に配慮した表現が求められます。

広告や販促キャンペーンに関わる表現について考えてみましょう。大切なのは、「その表現方法、ダイバーシティの観点から見て大丈夫ですか?」という視点です。何しろ、多くの企業や団体が「炎上」を経験していますよね。キャッチコピー、画像や動画の見せ方、あるいはネーミングで、と、表現全般にわたっています。かつては、企業のアクションに対し、消費者からの直接的な反応は見えにくかったのですが、デジタル化やSNSの台頭で一気に「見える化」され、一気に拡散するようになりました。良い評価であればブランドのイメージアップに直結しますが、逆に悪い評価だと「炎上」一直線です!しかも幅広く拡散されてしまうと、簡単には収まらず、長期化すればするほどブランドイメージダウンで痛手も大きくなります。というわけで、リスクを把握しておくことが大切なのです。問題の種になる可能性の高い事項と、それぞれ何がどう問題なのか理解していただくために、ポイントを整理しておきましょう。

  • 性別によるステレオタイプ化イメージ
     →さすがにかつてほど極端な表現はないものの、特に女性への無意識バイアスが働いて、不適切な表現だという意識もなく取り入れられてしまうような例。最終的なコンテンツの決定プロセスに女性が不在で、男性目線で進んでしまった結果、という事例も。言葉の選び方、ビジュアル表現で、モラル的な問題にまで発展しダメージが大きくなる可能性ありです。

  • 世代だけで一括りにしてしまう単純化
     →年齢で単純に語るのは危険。例えば、シニアと呼ばれる世代にも、いろんな段階があり、同じ年齢でもライフスタイルにより価値観も様々で、消費傾向も違うのは当たり前。わかっているはずなのに、最後の最後でかつての一般論に頼ってしまうとすべてが台無しに。リアルなペルソナを見て表現しない限り、共感してもらえないどころか、むしろ反感を買ってしまう。

  • 外国人に対する勘違い・思い込み
     →悪意はなくとも、国籍や人種、宗教など様々な切り口で、先入観のように受け止められるようなビジュアル表現には要注意。グローバルな時代に、かつての単純化されたステレオタイプ的表現を参考にするようなことは避ける。国内向けの情報発信でも、海外からの旅行客が目にする機会もあり、日本人の国際感覚のリテラシーを疑われかねない。

  • 地方特性の勘違い・思い込み
     →例えば、センスを兼ね備えた自虐アピールならば一定の理解は得られる(クスっと笑えるコピー等で)。ただし、極端かつ演出過剰なトーンで県民性を設定して展開するようなケースでは、「ちょっとした遊び心」のつもりでも、「偏見に基づく悪口」として受け止められる危険性もあるので、あくまでも客観的な判断が不可欠。

最近では、自社の情報発信で、ウェブ関連を中心に一部内製化を進める企業・団体も増えています。これ自体は、合理的な側面もあったり、社員の育成的な意味で悪いことではないのですが、注意点もあります。炎上のリスクを避けるためにも、「思い込み」「先入観」「バイアス」が含まれる偏った表現になってないか、十分にチェックできる流れを作ることが大切です。単独での判断は、リスクも大きくなります。自分にとっての当たり前の感覚は本当に大丈夫なのか?と立ち止まり、あえて違う属性の方に、違う角度から眺めてもらう仕組みを用意しておきましょう。

ダイバーシティという視点を無視できない時代にあって、常に情報は更新しておく必要があります。また、新たな情報を入手する、調べて学ぶ、という姿勢は常に継続することです。かつて身に付けた自分にとっての常識が、時と共に非常識になっているかもしれないのです。少なくとも、自分の感覚だけで判断することの危険性は、十分に意識しておくことで、不本意な「炎上」は避けられるはずです。