「アクティブシニア」ホントのところ

2019年8月30日

vol.13
シニア×デジタルツール

※写真はイメージです

シニアがデジタルツールに弱いってホント?

ステレオタイプ化して考えがちなのは、何もシニアのことに限った話ではありませんが、特にシニアの場合、親子ぐらいの年齢差もある層をひとくくりにすると、実態とズレた理解になりがちです。シルバーラボでは、65~74歳のアクティブシニアを対象としていますので、ここではそこを基準に話を進めていきます。さらに同じ年齢層でも、現役時代の職業やライフスタイルによってデジタルツールとの接触機会の差異があり、当然スキルの度合いも様々というのもポイントです。総務省による統計トピックスNo.113「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上が世帯主の高齢者世帯でネットショッピングを利用した割合は、2017年は18.2%。2007年からの10年間で2.6倍にも増加したことになります。項目別には、「旅行関係費」25.1%が最多、次いで「食料」15.7%ですが、同じネットショッピングでも非高齢者世帯と比較して、「医薬品・健康食品」が1.64倍というのが特徴です。他の世代と比較するとスピードはゆっくりですが、パソコン等のデジタルツールを使った買い物が、シニア層にも、じわじわ浸透してきているのがわかります。

不便さを解決する方法としてのデジタル化

「離れて暮らす孫の写真や動画を見たい」という動機でスマートフォン(以下スマホ)にしようと決心するも、いざショップで説明を聞いて断念、というケースも。身近なところで「ちょっと教えて」と言える存在の有無でスマホのりかえのモチベーションに影響するのは必至です。デジタルツールへの苦手意識が強いシニア層に共通するのは、わからないことに起因する漠然とした不安感や不信感でしょう。「店員さんの説明が早口だし、言葉の意味自体もよくわからない」「いちいち聞き返すと嫌な顔をされるんじゃないかと思ってためらう」という話をちょくちょく耳にします。若いスタッフは通常通り説明しているだけなのでしょうが、それが一定の年齢以上の方にとっては自尊心を傷付けられる原因になることがあるのです。ゆえに、一部では、その不満をヒントにスマホ(あるいはタブレット)使い方講座を開催しているショップもあるようです。リテラシーが同じ程度であれば、みんなの前で質問する照れも軽減されますし、そもそも初歩の初歩が前提なので、遠慮なく何度でも聞ける安心感もありますよね。ショップとしては、お客様サービスの側面に加え、参加者の質問を分析することで、何をどう伝えたらわかってもらえるかのノウハウ集積もできるので、マーケティング的に得るものも大きいわけです。

むしろシニアとの相性が良いデジタルツールの存在

漠然とした「わからない不安」がある程度解決したら、好奇心が刺激されて、次第に興味も深まっていきます。極端な例として、いわゆるシニアユ―チューバーまで登場する世の中ですが、そこまでではないにしろ、趣味関連や、家族(特にお孫さん)の写真や動画に夢中になるケースは多いようです。以前、パソコン経験ゼロの方に、目の前で指を2本使ったピンチと呼ばれる操作をしながら、写真や文字を拡大できることを伝えると、「こんなに簡単なの?これなら使えそう」とポツリ。知るきっかけさえあれば扉が開く、というお話です。どんなきっかけにせよ、無理のないところから始めるのが正解です。デジタル初心者がいきなりパソコンは難しいかもしれませんが、タブレットやスマートフォンなら操作がシンプルで感覚的に理解できるので、とっつきやすいかもしれません。さらにAIスピーカー、スマートスピーカーと呼ばれるものも、音声で簡単に操作できることから、シニア向きとも言われています。

意外なところでサクサク使いこなしている姿も!

元々仕事で日常的にパソコンを使っていた場合、リタイア後も自宅で使う方が多いようです。文書作成やメールを基本に、ブログの更新、健康管理のための数値管理など、使用目的も様々。以前、大阪のカフェで70代前半らしき男性2人が、パソコンを買い替えた話で盛り上がっているのを耳にしたのですが、デジタルシニアと命名したいほどの会話内容でした。また、趣味が写真という方も、男女関係なく多いですよね。撮影データの管理はもちろん、場合によっては撮影画像を使ったオンラインショップでのフォトブック作成、という流れもあるようです。一方で、パソコンは使わなくとも、スマホ・タブレット活用派も!町なかで見られる様々なデジタル化に順応しているシニアは、意外と多いのです。飲食店にあるタブレットでのオーダーシステムも何のその。お昼時に60代後半と思しき女性が、慣れた様子で注文する姿を続けざまに見かけました。美容院では、美容師さんがお客さんの年代に合わせて雑誌を数冊選んで置く代わりに、タブレットを渡して好きな雑誌を選んで電子版で読めるようにしているところもあるようです。好きな雑誌を、好みで拡大できるので、老眼鏡なしでもじっくり読めるメリットもあり、意外にもシニアにやさしいサービスとして定着するかもしれません。

ちょっとしたことでも不安を取り除くことの大切さ

このように、身近なところでデジタルツールも日々進化していきますし、使い方の多様化スピードも加速しています。その代表が、スマホのQR決済のような新たな支払い方法。「スマホの使い方はわかった。でもスマホ決済って何?」「最近やたらと〇〇Payって全部同じもの?」と新たな疑問も生まれてきます。すぐにユーザー登録まで進むのは難しくても、スマホの初めの一歩で通ったプロセスと同じように、「こういう仕組みなんですよ」「こういうところが便利ですが、こういうことに気を付けないといけませんよ」という丁寧な説明を続けると、納得感が得られたシニアは、新しい仕組みやツールに対して寛容になれたりするのも興味深いところ。顔見知りのショップ店員ができると、信頼関係の構築にも役立ちます。高機能スペックを求めるユーザーと同じ対応では話が通じないのは当然!余計な情報を盛り込まず、シンプルな表現で伝えることが何より大事です。笑顔で元気で聞き上手な、シニア対応を得意とするスタッフの存在も、実は重要なのです。

ココに注目!

今回取り上げたデジタルツールとの関係性は、現役時代のパソコンとの関わり度合いはもちろんのこと、現時点での仲間とのコミュニケーションの密度が大きく影響していると言えます。シニアの間でも、趣味や習い事の仲間でSNSを活用するなどスマホが大活躍する時代ですから、何かきっかけさえあれば、一気にデジタル環境が変化する可能性も秘めているのです。

そこで、シルバ―ラボでは、独自の視点でシニアをカテゴライズし、傾向を割り出していわゆるペルソナ、つまりサービスや商品の典型的なユーザー像をまとめたシートを作成しました。vol.13「シニア×デジタルツール」がこちらです。例えば、この分類をベースに、実際には商材によってさらに絞り込んだり、ペルソナを細かく設定したりしながら販促のシナリオづくりをすることで、より現状に沿った施策が可能になります。

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