idea4u_vol72
10/12

Idea4U vol.722025 Winter10 「いいデザイン」の定義は、連載第1回では「世界観の伝わるデザイン」、第2回では「説得力があり購買意欲をかき立てるデザイン」であるとお伝えしてきました。 しかし、この2つの条件を満たしているつもりなのに、なぜかクライアントの社内で提案が通らない…ということはありませんか?今回は全3回の連載の総まとめとして、いいデザインを紐解くキーワードである“良質な対話”を、デザイナーとクライ アントの間でどのように重ねると、クライアントが納得できる、つまり「提案が通る デザイン」ができるのか、またその過程で意識すべき「軸」について解説します。 そもそも、提案が通るデザインの条件とはなんでしょうか。例えば、コンセプトが明確に伝わること、プロダクトやシチュエーションにふさわしいこと、さらに、構成する要素すべてに説得力がある、ということも大切です。いずれも前回、前々回にお伝えした「いいデザイン」を形作る要素の一つであり、これらが揃っていれば、クライアントの社内で意思決定が進みやすく、各個人の好みだけで判断されてしまうこともありません。 デザイン制作に際して「意図が上層部に正しく伝わらず、ふりだしに戻った」「案件に直接関わりのない人からの意見をやみくもに取り入れた結果、本来の目的から外れた仕上がりになってしまった」という壁にぶつかった経験がある方もいらっしゃることでしょう。この壁を乗り越えるための重要なヒントは、制作に関わる人全員が必ず「軸」を共通認識として持っておくことです。この軸とはつまり、デザインの目的と方向性のこと。何のデザインにおいても、その目的は常に“課題解決”ですが、課題の中身はとにかく売れること、SNSで話題になること、イメージの刷新など、クライアントによってさまざまです。この課題が定まれば、自ずと目指すべき方向性が決まります。まず今回の軸は何なのか?ということをデザイナー・クライアント間の対話で見つけ出しておくことで、途中で本質からブレることがなくなります。 軸を意識することで、デザインの意図を問われたり、途中で多様な意見が出たとしても、その都度本来の目的に立ち返って、相手を納得させる説明ができるはずです。イメージ「提案が通るデザイン」とはデザインの「軸」を見つけよう「いいデザイン」を生み出すコミュニケーション③もう悩まない!本質からブレないデザインづくりの秘訣は「軸」の共通認識

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る