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https://www.youtube.com/c/BUZZMAFFBUZZMAFF(農林水産省)の例● 事業戦略からきちんと マーケティング戦略に落とし込むこと● マーケティング戦略を実現する 「実行群」として施策を認識すること● この時点でROI設計とKPI設計に 落とし込んでおくこと 近年注目されているとはいえ、日本のB2Bマーケティングは多国に比べて著しく浸透度が低いのが現状です。デジタルマーケティングに専任担当を置いているB2B企業はわずか18.7%(※)に過ぎません。これは、日本企業の経営者の多くが営業出身であり、営業中心の事業展開に重きを置いているという背景が一つの要因でしょう。新規開拓よりも既存顧客の維持などのアプローチが重視され、戦略なき戦術の積み重ねで成長してきた結果、B2B企業では戦略的なマーケティングの導入が遅れてしまったのです。今後は、営業活動のデジタル化、すべての活動におけるWebサイトの活用、商談化促進への工夫、CRM/SFAの導入の組み合わ せによるマーケティング力に加え、上流の顧客戦略策定、中流のマーケティング施策の最適配置など、本格的なマーケティングの導入が企業の競争力を決定する重要な要素となるでしょう。 B2B企業における動画の活用範囲は、B2Cと同じくテレビCMやソーシャルメディア(B2Bでは主にYouTubeとFacebook)ですが、それに加えてオンラインセミナーやリードナーチャリング分野も広がっています。製品・サービスの説明やデモ動画や事例紹介動画などは、テキスト情報よりもわかりやすく、端的に伝えることができる上に印象にも残りやすい。どこにいても見られるというメリットもあります。 面白い例に、BUZZMAFF(資料2)という農林水産省の動画があります。職員が自ら出演し、個性を活かして農林水産物の魅力を発信するという斬新な取り組みで、これまでにはないアプローチに一躍注目が集まりました。職員の人柄が溢れる動画は、普段なかなか知りえなかった情報を楽しく伝え、視聴者に親近感を与えると共に好感度や認知度アップに貢献しています。 オンラインセミナーやオンラインイベントはコスト効率が高く、参加者の利便性も高いため、コロナ禍のリモート対応で多くのB2B企業で活用が進みました。一方で、リードナーチャリングにおける動画の活用は、まさにこれからのテーマといったところでしょう。テレビCMとは異なり、ユーザーが能動的に情報を得るWeb動画は、広告主である企業が地域や属性、興味分野などを絞り込んでターゲティングがしやすいと言えます。それには、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援)ツールとの連携が重要です。例えば、「どの動画をいつ誰がどれくらい視聴したか」というデータを営業チームに連携すれば、動画を見た人にフォローアップのコンタクトを図る、追加情報をE-mailで送るなどのアクションが可能になります。さらに、見込みの深度に応じて表示する動画を変えたり、ある動画を見た人には次にこれを勧めるなど、MAやSFAと連携しながら統合運用ができれば、動画の活用も本格化するでしょう。 また、顧客理解を深めるためのデータ解析が進み、AIのリコメンデーション機能を活用すれば、適切な動画を適切なタイミングで自動的に送信することも可能になります。これらの技術を活用していかにマーケティングを実践していくかが、今後B2B企業の経営とマーケティングに求められる課題であり大きな差別化の機会だと言えます。 米国のフォレスター・リサーチ社のジェームズ・マクベイ(James McQuivey)(※)https://markezine.jp/article/detail/19783博士による2014年の発表では、1分の動画から伝わる情報量を文字に換算すると180万語に及ぶとの研究結果が示されています。Webページに換算するとまさに3,600ページ分。動画は、短時間で細部まで魅力を伝えられることに加え、五感に訴えかけるため記憶にも残りやすく、共有や拡散がされやすいと言われています。より短い時間で効果的に情報を伝えたいマーケティングで動画が中心になるのは当然の流れでしょう。動画は、製品やサービスの認知拡大、ブランディング力向上、販売促進、ファンづくりなどに今後も大きな期待ができますが、重要なのは動画を使うか否かの判断ではありません。マーケティングの本質は、顧客を理解し、ニーズを見出し、それに対して価値を提供して関係を構築すること。そして、それをいかに売上や利益につなげるかです。顧客を理解したうえで最適な動画を届けなければ、情報はただのノイズにしか過ぎません。忘れてはならないポイントは以下の3点です。 動画は、単体の成果を見るのではなく、様々な顧客接点の中の一つとして位置付けるべきですが、わかりやすく結果を求められることが多いため、視聴数だけを稼ごうとするような活動もまだ多く見られます。マーケティング活動を経営の一部に組み込み、売上や利益に貢献させるためには、マーケティング部門が乗り越えなければならない壁がそこにあると言えます。その壁を乗り越えてこそ、マーケティングが企業の経営に根付いていくのでしょう。表現力豊かで、かつ手軽になった動画は、B2CとB2Bいずれの分野においても、施策の中心として今後益々活躍するはずです。(アイデアウイルス編集部) 7Idea4U vol.702024 Summer資料23. B2Bマーケティングにおける動画活用方法の発展4. 忘れがちな視点、 そして最も大切なこと

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