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動画活用のROI(費用対効果)設計について20%35%45% 「動画元年」といわれる2014年から10年が経ち、企業における動画の活用は大きく変化しました。かつて企業の動画活用はテレビCMが中心でしたが、今や若者だけではなく中高年もYouTubeなどの動画を日常的に視聴するようになり、様々な場面で動画が広く活用されるようになったのです。イギリスとアメリカを拠点とする動画制作会社Wyzowlの調査レポート(Wyzowl Video Marketing Statistics 2024)によると、2023年には企業の91%がマーケティングに動画を活用していると回答。2017年の63%から30%近くも伸びており、今やマーケティング活動に動画は必須と言っても過言ではありません。これを後押ししたのは、通信技術の発展、デバイスやアプリの多様化、ソーシャルメディアの世代を超えた普及、そして感染症の拡大によるリモート生活の浸透などでした。とりわけ、近年定着した企業のデジタルトランスフォーメーションとリモートワークがB2B企業 における動画活用を促進しています。 この流れに取り残されることなく、マーケティング活動に動画を採用する企業は増え続けていますが、一方で多くの企業がその費用対効果に困難を感じているのが現状です(資料1)。 B2C市場での大きな変化の一つは、これまで視聴率や露出数という指標でしか評価できなかったテレビ広告に「運用型出稿」という手法が現れたことです。地域を特定してCMを出稿したり、特定の会社名や商品名などでWeb検索される「指名検索数」をリアルタイムで計測することが可能になり、広告と検索の連動性が成果として見えるため、より効果的な広告キャンペーンを展開できるようになりました。 次に、ソーシャルメディアの拡大が挙げられます。2021年にTikTokが史上最速で10億人ユーザーを獲得したのは記憶に新しいことですが、同年夏に人気のTikTokerが筒井康隆氏の小説『残像に口紅を』を動画で紹介したところ、初版から30年以上の時を経て大ブームとなる現象が起こりました。書店に注文が殺到し、本が売れないと言われる時代に6回の重版を重ね4カ月で11万5千部が増刷される「TikTok売れ」につながったのです。そして、TikTokやInstagramなど SNSのアプリが普及するに伴い、ユーザーのスクロールに適した効果的な広告手法として注目されるようになったのが縦型動画です。モバイルファーストを重視するB2Cマーケティングにおいて、ソーシャルメディア専用のクリエイティブが開発されるようになったことは大きな変化だと言えます。 さらに、動画視聴において顕著なのが視聴時間の短縮です。TikTokの動画は基本的に15秒程度。縦型のショート動画は簡単に制作できるため、コンテンツの投稿数も膨大です。そんな中、ユーザーがTikTok画面をフリックするスピードは1秒前後と言われ、最初の数秒が勝負の分かれ目となります。マーケティングで動画を活用する際は、最初の数十秒で視聴者の心を掴むことが重要だと心に留めておかなければなりません。 また、動画活用の拡大エリアとして 注目されているのが「コネクテッドTV」 と呼ばれるインターネットに接続されたテレビです。以前は、若年層の間で「テレビは見ないけれどYouTubeは見る」という人が多数いましたが、今は年齢を問わずTVerやYouTubeなどの動画コンテンツを自宅のテレビ画面で視聴するライフスタイルが定着してきました。 効果測定のできるテレビ広告、ソーシャルメディアでの洗練された動画活用、コネクテッドTVの拡大は、いずれも今後の発展が確実視される分野だと言えます。62024 Summer資料1株式会社記録と記憶 マーケティングにおける動画活用調査 2024年4月n=400■ している■ 難しいがしている■ 難しいためしていない■ 改善が必須であり、改善策が既にある■ 改善が必須であるが、改善策は難しいと考えている■ 改善は必要ないと考えている■ 社内からの要求や状況によるn=181Q.現在動画活用のROI設計をしていますか?Q.今後はどのように考えていますか?14%14%69%3%難しいがしていると答えた方の回答Idea4U vol.701. 動画のマーケティング活用における現状2. B2Cマーケティングにおける動画活用方法の変化と発展マーケティングの成功者は動画活用のプロであるべき理由動画がもつマーケティング発展の大きな可能性

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