idea4u_vol70
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イメージ 「デザイン」と聞いて、何をイメージしますか?アーティスト・スタイリッシュ・敷居が高い…など、いわゆる「アート」に近いイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、デザインは美しいビジュアルを作ることだけを指す言葉ではありません。デザインとは要するに課題解決のための手段のひとつです。「冷蔵庫にある具材で夕飯を考える」「友人のプレゼントを選ぶ」といった普段の何気ない行動もデザインであり、実は誰にとっても身近なのです。 それでは「いいデザイン」とは一体何なのでしょうか?「いいデザイン」をつくり上げるために、クライアントはデザイナーにどう依頼すればよいのでしょうか?幅広い視点で深堀していきたいと思います。 「おしゃれなコーヒーショップの看板」「誰もが手にとりやすいシンプルな生活雑貨」など、街中には素敵なデザインが溢れています。デザインソフトやアプリケーションが目まぐるしい進化を遂げたことで、ある程度のクオリティを保ったデザインは比較的誰でも簡単に作ることができる時代となりました。これは一見喜ばしいことのように思えますが、デザインで差別化を図るということが難しくなっているという側面もあります。そんな中でも多くの人の目に留まり、心を惹きつける、つまり「いいデザイン」を生み出すにはどうすればよいのでしょうか。 デザインにもトレンドがあります。近年では生成AIを用いた先鋭的でスタイリッシュなデザインを目にする機会も多くなりました。しかし、流行やトレンドが全て正しいというわけではありません。どれだけ美しいビジュアルであってもデザインの目的、すなわち「伝えたいこと」と表現がマッチしていなければいいデザインとは言えません。むしろ伝えたいことと相反するビジュアルになっていた場合、見る人に誤った印象を与えてしまう可能性もあります。まずはデザインの目的や伝えたいことを明確にしてから、コンセプトに沿ったデザインを作っていくことが大切です。そして、その過程の中で「世界観」をどれだけ作り込むことができるかどうかが「いいデザイン」を生み出すための重要なポイントです。 ここで言う「世界観」は、本来の意味とは異なり、俗に言う、その作品がまとう「雰囲気」や与える「印象」のこと。デザインにおいて世界観が作り込まれている状態とは、「フォント」「色」「空間」「音楽」「プロダクト」など、ありとあらゆる要素すべてに一定の法則性があり、誰が見ても同じ印象を持つことです。“アート”は一つのビジュアルに対して複数の解釈が生まれることが醍醐味のひとつですが、“デザイン”の場合、伝えるべきことは明確で唯一なので、見た人全員の解釈が同じであれば、世界観が作り込まれている、すなわち「いいデザイン」であると言えるでしょう。「世界観」が伝わる「いいデザイン」を生み出すためには、デザイナー本人の力量も勿論ですが、クライアントとデザイナーがいかに良質な対話(コミュニケーション)を重ねられるかが重要です。対話の目的は、デザインで伝えたいことを明確にし、双方の認識を合わせることです。 しかし対話をするといっても、具体的に何をどのように伝えるべきなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。「デザインの専門知識もないのにどうすれば?」と悩むお声も時折耳にしますが、はじめから完璧な指示をする必要はありません。例え具体的なイメージが定まりきっていなくても、まずは何を伝えたいのか?今回のデザイン制作の目的は何か?ということについて、掘り下げるところからはじめてみましょう。自社の立ち位置や現場の熱量など、文面だけではだけではなかなか伝わりづらい感覚的な部分も含めてありのままデザイナーに伝えてみることで、互いに理解が深まり、デザインの方向性がぶれることは少なくなります。「言葉で伝え10Idea4U vol.702024 Summer「いいデザイン」のカギを握る「世界観」「対話」がデザインをつくる「いいデザイン」を生み出すコミュニケーション①デザインは対話で磨かれる!広がるアイデアと世界観

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