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Idea4U vol.692024 Spring2 社会の変化とともに、「給食サービス」分野に求められるものは多様化の一途を たどっています。そんな中、創業以来、半世紀以上にわたって、お客様満足の探究を 大切にしながら、給食委託事業というフードサービス事業に取り組まれている企業に注目しました。地域に根差し、新たなことにも積極的な姿勢で臨む原動力とは?さらにその実現の過程とは?等々お話を伺うべく、名阪食品株式会社 代表取締役社長 清水克能氏を訪ねました。「総合力の名阪食品」として、常に挑戦し続ける姿勢について語っていただきました。 1968年に奈良で創業した先代の時代を経て、2013年春に私が経営全般を引き継ぎましたが、財務関係も全て見始めたのは2006年のことでした。当時、こんなことを思いました。大企業は社長交代を機に、時代や価値観の変化に対応し組織の一新もあり得る。生き残りを賭けて時代を読み取り経営政策も変える大企業に対して、小さな会社は社長が変わろうが、そう変わらない。それでいいのか?と自問自答した結果、社長就任を機に、企業として生き残るための課題から着手しました。最優先は、「私たちは何を目指すのか」の明文化です。企業として目的を果たすにあたって「考え方」の整理に1年かけ、理念としてまとめました。(※資料1参照)。 浸透させるために取り組んできたこ とは、当社にとって重要な歴史だと思っています。それまで各自がいろんな方向を向いていた状態から、お客様満足の探究という同じベクトルを得たのは大きな進歩。事業戦略に関しては、茶道や武道等の修行プロセス「守しゅ破は離り(※A)」に当てはめ凡事徹底を心がけ、少しずつでも進化することを目指しています。正しい現状認識と目標を持つことも大切なのです。 理念の中にもある「おもてなしの心」については、相互作用による好循環からプロフィットが生まれることから、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)はイコールに近いと考えます。お客様からの感謝が社員に良い影響を与え、喜んでいただく努力につながり、また感謝されます。大切なのは、お客様を取り巻く社会、業界、環境が変化する中、自分たちの独自領域を作ること。給食事業は、高齢者施設、学校、保育園等、社会問題と直結し、変化も激しい分野が対象なので、お客様と信頼関係を築き、ニーズレベルでの正しい状況把握ができて初めて社会の一員としての役割が果たせます。以前はスペック情報中心でのアプロ―チや、アンケート調査も行いましたが、「まさに今」への対応としては不十分なので、現在では、お客様の「まさに今」を知り、未来予測のためMA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理システム)などのデジタルツールも活用しています。顧客接点を作り育成する中で、価値観を理解していただけるようになりました。ビジネスの始まり方も様変わりし、最近は新しい引き合いの大半がネット経由です。デジタルツールの導入だけでいきなり成果は出ません。使う側が肝心で、どう使えば効果的か、リレーションシップによって現状をいかに良くできるか考え続けることで、次の時代を作っていけるのです。2007年から積極投資してDXを進める中で、当たり前を見直し、効果を確かめながら、進化させてきました。やや抽象的ですが、部分最適ではなく全体最適の中の部分最適を作るような、組織のあり方を模索しています。 お客様からの直接的要望(ウォンツ)に沿った過剰なサービス設計より、お客様自身は意識していないニーズに対し解決策を示すほうがCSも上がりますので、最近は特に「ハイブリッド給食」を強化しています。異なる給食サービスの組み合わせで効果を最大化する、つまり、各領域の「最適」を活用する方法です。材料から調理して提供する給食もあれば、一般製品を提供する給食もあります。冷凍技術が進んだことで、 お客様にとっての全体最適を一括して創り上げることも容易になりました。デジタル化の導入コストが下がって、可能になったことも大きいですね。変化に対し、デジタルマーケティングのKPIとして重要なコンバージョンを、どう設定するか考えながら対応しています。ツールや仕組みを使いこなす には、使う人の成長が必須です。よく鬼と金棒に例えるんですが、金棒はツール、仕組 みで、鬼が人間力。金棒があるから鬼が力を発揮できるのですが、大きさが違いすぎると機能しません。両者を良いバランスで成長させる必要があります。会社の中の 文化、空気感も大事なので、若手と中堅中心の部門横断的な委員会という組織をいくつか作っています。会議では、始まりも終わ現在に至る歩みと御社の特長について 事業展開で大切にしていることは? 給食エキスパートとしての「強み」とは?「今」に対応し提案し続けるエキスパートハイブリッド施策でお客様に寄り添い給食事業で社会課題を解決する!

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