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Idea4U vol.689 都合上、架空のフルーツの卸専門会社を例に説明します。フルーツの魅力を広めるとのミッションを掲げるα社は、スーパー、百貨店、食品加工メーカー、レストラン、カフェ向けにフルーツを販売しています。最近刷新されたα社のビジョンは、「フルーツで笑顔あふれる世界を作りつづける」というもの。人事担当者Aさんが、新規採用のための企業説明会で学生と話をするにあたり、自身も改めて理解を深める必要を感じ、ブランドマネジメント全般を担うBさんと打合せしました。 α社が目指すのは、納品先を通じてフルーツや加工品を食べた消費者に「おいしい」と実感して笑顔になってもらうこと。ここまではAさんも説明できますが、それ以上の解釈に自信がなく、説明会で質問される場合に備えて、確認したい点でした。Bさんの説明により「笑顔」を創出する対象は、α社の事業をフルーツの安定供給で支える生産者や取引先も全て含むと理解しました。国内外を問わず、フルーツを通じて笑顔あふれる世界が生まれ、好循環し続ける仕組みを作ることが重要なのです。 α社は取引先だけでなく広く世の中にメッセージを発信します。お米のような主食でもなければ、肉や魚のようなおかずでもないフルーツの、どんな価値に注目し、どう定義するかで、事業への評価やブランドイメージも大きく変わります。AさんはBさんとの会話の中で「生きるための栄養源でなく、味や見た目の効果も加わり心の満足をもたらす嗜好品の一種」という定義に共感しました。贈物としてのフルーツ、美しく加工されたケーキやジャムを想像すればわかりやすいお話です。●フルーツは、プチ贅沢にも欠かせない食材。特別感のレベルは、どこで何を食べるかでグラデーション的に多様だが、フルーツを食べる「口福感」が「幸福感」に結びつくという情報発信が重要。資料2参照 フルーツは人間が生きていく上で必須かと問われるとそうではないものの、人生には適度な「余白」も必要です。Bさんから「その余白に収まる食べ物がフルーツだとしたら、当社が担う役割も明確ですよね?」と言われハッとしたAさん。「既に事業として扱っているものを、改めて定義付ける発想はなかった」との正直な感想は、BtoBの「ブランディング迷子」になった時のヒントにもなります。企業としてこう見られたい、こう評価されたい、という理想に近付くために必要なプロセスなのです。 BtoBのブランディングで、まず大切なのは、自社が目指していることを正しく理解すること。これが大前提ですが、そこに至るために欠かせない大切なものはズバリ「会話」です。経営層から組織としての表明があり、しかるべき部門の責任者から「当社のビジョンはこうで、これはこういう意味です」と説明があるのは当然なのですが、そこでストップしてしまうと「ブランディングはお飾り」という間違った解釈が独り歩きする危険が生じるわけです。日頃から仕事に取り組む上で、各部署のチーム単位で語り合える環境があれば、たとえ誤解があったとしても、早めの軌道修正が可能となります。もっと言えば、ブランディングを「カッコ良く見せるもの」と捉えていた場合、企業文化を醸成していく以前に足並みが揃わず苦しむことになります。文化の醸成は並大抵のことでは実現できませんが、企業として何に向かって何を目指しているのかを正しく理解し行動することが、結果として働くメンバー自身の自尊心や達成感につながっていくのは確かでしょう。(株式会社フジプラス)資料1発 見「笑顔」ってフルーツを食べる人の「笑顔」だけじゃないんだ!ココに注目α社VISIONフルーツで笑顔あふれる世界を作りつづけるアドバイス生産者も、取引先も含め、みんなの「笑顔」のことですよ!資料2架空のα社ビジョン解説/会話が大事② 「フルーツ」を定義する発 見ゼロベースでフルーツの定義付けをする発想はなかった!ココに注目α社VISION世界を作りつづけるアドバイスフルーツのどんな価値に着目して、どう発信したいかが大事!人事担当Aさん●α社が言う「笑顔あふれる」は、「主食でもおかずでもないけれど、心も豊かにするおいしいフルーツを食べて笑顔が生まれ、幸せを実感できている」状態。これを軸に企業としての理想像を探る。資料1参照架空のα社ビジョン解説/会話が大事① 「笑顔」が意味するものブランディング人事担当Aさん担当Bさん2024 Winterフルーツで笑顔あふれるブランディング担当Bさん自社のビジョンを正しく理解することから 架空企業の例から考える1基準は「世の中全般に正しく伝わる」価値提供 架空企業の例から考える2[終わりに]まとめ■ あらためて「ブランディングは経営と直結しているカテゴリー」という認識が重要。■ ビジョンに根差した方向性への理解が進むと、BtoBブランディングにも効果がある。■ 「定義付け」と「会話」で事業への理解を深め、未来に向け企業文化の醸成に努める。

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