2024 Winter8 企業は、当然ながら目的があるからこそ存在しています。企業活動は、何をすることで目的を果たせるのか模索しながら継続していきますが、目指すべき姿を明文化したのがビジョンとも言えます。例えばフジプラスグループは「変化を楽しみ、時代に求められる、永遠のベンチャーマインド企業へ」と、掲げているように。企業として社内外に発信することはもちろん、わたしたちは、働く全メンバーが、ビジョンを正しく理解し、企業文化としてしっかり定着させるまでを意識しています。 ビジョンはその性格上、総論的な抽象表現になることが多く、具体的に何を意識して、企業文化として育てていくのか?どのようにブランド力を高めていくのか?と疑問に思われるかもしれません。そこで今回は、経営とブランディングの関係を理解する「入り口」部分をお伝えしていきます。 「書かれた内容は納得できるけど…」「きれいごとに聞こえてしまう」「だいたいどこの企業も同じようなこと言ってる」等々、企業の掲げるビジョンに対する辛辣な意見も耳にします。多くの企業が自社の公式サイトにビジョンを掲げていますが、目指すべき姿を表現するにあたり、最大公約数的に絞り込んだ結果、図らずも「よくある文言」が並んでしまう現象も見られます。経営者や経営層を中心に苦労して作ったとしても、正しく伝わらなければ意味がありません。ここで、よくある誤解を解いておこうと思います。文面としてのまとまりを意識するため、いわゆる スマートな表現になっているケースも多いですね。ただし、ビジョンは「見栄え重視の看板」ではありません。言葉の根底にある「思い」を正しく結びつける本質的理解が必要です。「ビジョンでこう言っているけど、実際は違う」と言う人がいるとしたら、正しく解釈できていない証拠なのです。ビジョンを分解し具体化してはじめて、実務に必要な視点にたどり着くことができますので、それを元に自分が仕事で担っている役割を見据えて落とし込んでいくプロセスこそが重要なのです。その検討や熟考なしに、言葉の表面だけ捉えてしまうと、誤解が生じます。ビジョンの考え方を実務に活かすのが、あるべき姿なのです。 もう一つのポイントはこうです。一般的にBtoCでのブランディングは想像しやすい一方で、BtoBの場合は「わかりにくい」と言われがちです。一般消費者対象のBtoCのブランド戦略は、その性質上、日常生活の中で体感する機会も多く身近です。コンビニに入れば「今日から〇〇キャンペーンが始まるのか。最近、若者向け企画が多いな」、ファストフード店で「あれ?健康志向メニューが増えてる」と気付くなど、現状のメインターゲットとは異なる層向けブランディング戦略等も、比較的容易に消費者に伝わります。 一方BtoBの場合は、概ね企業同士の商談の中で、商品購入やサービス利用が決まるため、ブランディングの介在余地は限定的なのでは?との意見も耳にします。確かに、決定権は経営層にあるため、「経営層の心に刺さるものを狙えば良い」との考えに至る理由もわかりますが、実は、経営層の選定基準自体も多様化しています。商品やサービスのクオリティは大前提ですが、営業担当者との信頼関係やコスト面等の従来型要素に、社会的責任やコンプライ アンスなどクリアすべき条件が加わりました。最近は、こうした背景も手伝って、価値観の変化と共にBtoBブ ランディングへの注目度も上昇傾向。つまりBtoBビジネスにおいて、ブラン ディングが企業の成長のカギを握るという認識と共に、実践のための環境が整ってきた、とも言われています。イメージIdea4U vol.68イメージなぜかまかり通る虚構ビジョンと実務は別モノ? BtoBのブランディングは見えにくい?伝わりづらい? 企業のビジョンとBtoBブランディング①「わたしたちは何を目指すのか」を具体化し企業文化の醸成へと導く
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