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Idea4U vol.682024 Winter4Scope3Scope2Scope3 カーボンニュートラルの取り組みにおける温室効果ガス(GHG:GreenHouse Gas)の削減は、もはや全企業において 必須のものとなっております。日本においても「パリ協定」に基づき、2030年度には2013年度比で46%削減、そして2050年までにはカーボンニュートラルを目指すことを宣言しております (※1)。しかしながら、2030年度までに46%削減とはいえ、現実的にはどれほどの対策を行なうことで達成できるのかはいまだ不透明です。環境省が発表した2021年度の温室効果ガス排出・吸収量は11億2,200万トンであり、これは2013年度比では20.3%(2億8,530万トン)減少しているとのこと(※2)。ここからさらに、26%以上減少させる明確な施策と可視化が必要となってい ます。ちなみに、温室効果ガスの内の9割以上がCO2であり、そのCO2排出量のうち企業活動によるものが8割以上であることが分かっています。Scope1 :直接排出量事業者自ら直接排出する温室効果ガス。例えば、製造物の過程で、燃焼や生成等で発生するもの。Scope2 :間接排出量外部から供給されたエネルギーの使用によって発生する温室効果ガス。例えば、電気やガス等の使用で発生するもの。Scope3 :その他の間接排出量Scope1、2以外で発生している温室効果ガスで、大きくは上流と下流とに分けられる。例えば、上流では原材料(購入物)の製造~配送に関わるものや、関Scope1 この温室効果ガスの排出量を算定し報告する共通手順として、国際的な規準であるGHGプロトコルというものがあります。このGHGプロトコルでは、自社が排出する温室効果ガスだけでなく、特にサプライチェーン全体における排出量を重視していることが特徴です。いわゆるサプライチェーンの上流から下流までの全てを指すのですが、それを大きく3つのスコープ(Scope)に分けて定義されております。係する人の移動(通勤・出張など)も含まれる。一方、下流では、必要先に届ける際の移動で発生するもの、製品の販売や廃棄で発生するものなどと多岐にわたる。(Scope3は全15カテゴリに分類されている) よって、Scope1と2については自社努力の範囲ですが、Scope3においては自社努力だけでは対応できず、取引企業間で協調するか、より排出量を減らすためのパートナー変更などが求められます。 前段にもあるように、CO2排出量はサプライチェーン全体の排出量であり、すなわちScope1~3全ての排出量となります。では、具体的にはどのように算定し可視化できるのでしょうか。 基本の計算式は、【排出原単位×活動量】となります。排出原単位とは、電気であれば1kWh使用あたりのCO2排出量、輸送や廃棄であれば1トンあたりの図1自 社下 流※その他 : ②資本財、③Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動、⑤廃棄物、⑥出張、 ⑧リース資産①原材料④輸送・配送Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)サプライチェーン排出量全般上 流⑦通勤燃料の燃焼電気の使用※その他 : ⑨輸送・配送、⑩製品の加工、⑬リース資産、 ⑭フランチャイズ、⑮投資環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」のホームページより抜粋https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html⑪製品の使用⑫製品の廃棄■GHGプロトコルで全体を把握する■CO2排出量の算定方法と可視化脱炭素で「気候変動」に対応する可視化とパートナーシップによって実現できるCO2排出量削減に向けての取り組み

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